アヤメの花が咲く頃に

ずんだもち

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外出

「信じること」「信頼すること」というのは、

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「菴輔°逹€たい服縺ィ縺�ある?」
「…」

 まただ。母さんを殺す前にも時々あった。話していることは分かるのに、内容が滑って理解できない。それに少し吐き気がする。
 まだ彼らの一存で生かされている立場だ。彼らの好きにされていよう。それなら考えなくていい。

「特には…無い、です」
「ふーん、縺倥c縺�勝手に決めて縺�>��」

 それでいい。僕が死んだら秋名さんがそれを使えばいい。だから勝手に決めてもらおう。
 ただ、その前にいくらか整理しておきたいことがあった。

「いくつか質問していいですか?」
「いいよー、じゃあ先に繧ォ繝輔ぉ縺ァ繧�行こうか、寒いし。ほら、手繋ご──アダッ!」

 静電気だ。秋名さんは一瞬手を引っ込めたがすぐに手を繋いだ。別に逃げる理由がないから不要だ。逃げたところで何も無い。それに外に出た時からまた神奈木さんの視線がする。
 秋名さんに手を引かれ、人気ひとけの少ない路地のカフェに入る。席について注文をする。とりあえずブレンドを頼んだ。秋名さんはカフェオレとケーキを頼んでいた。

「ここのケーキすごく美味しいんだよねぇ、真も食べる?」
「いえ、あまり食欲が無いので。」
「でも最近ほとんど食べてないんだってね?」
『氷花になんでもいいから食わせろって言われてんだよなぁ』
「…。分かりました。同じもので。」

 注文を受けたウェイターが一礼して僕と秋名さんが座っている席を離れる。あの症状はだいぶ落ち着いてきた。人混みにあてられていたのだろうか。
 秋名さんは姿勢を変え、サングラス越しにこちらを見てきた。

「それで、質問は?」
『後で氷花に怒られそうだなぁ』
「大きく3つです。事務所の方々の事、事務所にいた…何でしょう、生き物?について、あとは──」
「真の言う仕事のこと?」
『でもだいぶ知ってるよね?』
「はい。」

 2つめ以外はある程度理解しているつもりだ。ただ確認しておきたかった。回答次第ではこの街から逃げて、今度こそ終わりにしてしまおう。

◆◆◆

 氷花がはぐらかしたせいで面倒な役回りが来たなぁ。でも真のお願いだからぼくに答えられる所は答えよう。

「えーっと、どれから聞きたい?あーでも順番に答えようか。事務所のことだよね。あそこは興信所だよ。探偵。井綱の爺さんからビルごと引き継いだらしいよ。凄いよね?古くさいビルだけどあれでも人気あるんだよ?氷花も井綱もあの見た目で結構やり手なんだよね。氷花とか事務所の精算で銀行に行った時にやってきた強盗一人でねじ伏せてたからね。ありゃゴリラだよ」

 なんかスマホの通知が増えた。うるさいから電源切ろう。あ、真の表情少し変わった。

「お二人と随分親密なんですね。」
「嫉妬してる?そんな関係じゃないよ。ただの腐れ縁だよ。中学のころからつるんでたらいつの間にかこうなってたんだよねぇ」

 本当にいつの間にかこうなってたんだよね、氷花もだいぶ丸くなったし井綱は性格悪くなった。

「腐れ縁か…あ、いえ、なんでもないです、次の質問いいですか?」
「黒檀のことだよね」
「はい。」

 なんか悲しそうな表情してた?そういう顔は見たくないかも。

「黒檀かぁ…難しいなぁ、うーん…あまり大きい声で言えないやつなんだよねぇ」
「神奈木さんは『怪異』とか言ってましたが」
「あーまぁそうだね。大体そう。人間じゃないよ、アレ。なんかヒトの感情を糧にしてるとか言ってたっけ、そういうのに敏感なんだよね。それに黒檀に干渉できる手段がほぼ無いんだよ。あいつ何考えてるかまったく分かんないんだよねぇ。あ、これ他の人に話しちゃダメだよ。」

 首ちょんぱされるからね。国家機密なんだよねコレ。

「黒檀はウソはつかないからある程度信頼できるよ?」
「そうですか。」

 あれ、興味ない?どうでもいいか。

「黒檀については井綱に訊くといいよ。大体井綱について回ってるから。んで、えーと『仕事』についてだよね?」

 これ聞いて真はどうするんだろ。

────

「『信じること』『信頼すること』というのは、
自分を相手に向かって投げ出していくことである。」加藤諦三
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