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事務所にて
思想もまた、人に語ることによって
しおりを挟む『なんでこんなことも出来ないのよ!』
『あんたがいなければあの人は…!』
ほら、そうやって僕を通して父さんしか見てない。
…
『母さんがそんな事するはずが無いだろう』
『母さんの言うことを聞きなさい』
仕事ばかりで何も見てないのになぜそう言えるの?
…
『こんな事になるならいっそのこと…!』
もう何度こうやって体に痕を付けられたのだろう。殺されるのなら僕も反抗していいだろうか────
目が覚めた。ここまでハッキリと夢を見たのは何時ぶりだろうか。
部屋には誰も居なかった。神奈木さんは秋名さんに僕を連れ回すように言っていたが、その話は振りだしに戻ったのだろうか。
部屋を出て階段を降りる。神奈木さんや秋名さんの記憶ではこの場所は興信所で、所長が所有するビルのようだ。ここの構造は神奈木さんと話していた時に覚えた。彼女たちに迷惑がかからないうちに此処を出よう。
スマホを見てみれば、母さんを殺してからもう4日経っている。
此処を出たらどうしようか──
「わっ」
「おっとっと、あ、起きたんだ」
階段を登ってきていた秋名さんとぶつかった。
◆◆◆
「…確かに貴方がたなら僕を生かすも殺すも、どちらも簡単ですよね。貴方がたは僕をどうしたいんですか?」
真と出会ってからずっと驚かされてるなぁ。なんでぼく達のことをそんなに詳しく知っているの?
「今は保護しているだけだよ。」
そう、今は。
「じゃ、出掛けよっか!断らないでね?真の服少なすぎるから買いに行くよ!」
「ここの人達はプライベートもプライバシーもあった物じゃないですね」
「はははっ、確かにね。」
それきり真は口を閉じてしまった。面白くなかったかな。
階下に降りたら氷花が本を読んでいた。
「あ?戻って──ああ、起きたのか」
「先程は失礼しました」
「いや、気にすんな。それよりも出かけるんだろ?金は気にすんな。」
「…説明はしてくだらさないんですね」
ようやく氷花が手元の本から顔を上げる。あの表情は本気で真面目な話する時の顔だ。
「今の状態で話す方がはばかられる。少しくらい外出て気分晴らしてからにしろ」
「目的が───」
「needとwantは別物!行くよ!」
このままだと行きたいところにも行けそうにない。真を氷花から引き剥がして事務所を飛び出した。
────
「思想もまた、人に語ることによって、より確実に自分のものになる。
すなわち、教えることは学ぶことであり、与えることは与えられることなのだ。」
ジョン・トッド
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