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事務所にて
「助けて」と言える人、そう言える相手がいる人は
しおりを挟む『瑞城くん寝かしてた部屋』
氷花からメッセージアプリに連絡が来てた。7年くらい仲良くしてるからって淡白すぎるよね。
スマホを閉じて席を立とうとしたら井綱が声を掛けてきた。なんか凄く微妙な顔してる。
「お呼び出し?」
「そそ。真関係かなぁ」
「…氷花がいるとは言え既成事実は作るなよ?」
「やだなぁ、黒木探偵事務所の所長様は従業員の事も信用できないの?」
「ぶっ飛ばすぞオメェ」
「キャーコワーイ」
井綱のぶっ飛ばすはシャレにならないから逃げるように真のいる部屋に入る。変なことは何もしてないから怒られたりは無い。真も起きてた。うとうとしてる、かわいいな。
「透、こいつ連れ回していいぞ、今まで出来なかった青春味わわせてやれ」
氷花が頼み事!親父さんが見たら泣いて喜ぶよこれは!とりあえず訊きたいこと訊いとくか。
「代金は?」
「井綱持ち。」
「分かってるねぇ!」
「そしたら休暇取ること井綱に言っとくよ」
さすが分かってる。
「いやあ助かるよぉ、そしたらさっそく…あれ?」
「?」
真の方を見たらいつの間にか寝ていた。布団が小さく上下している。
「真、そんなに疲れてたの?」
「いや…目ぇ覚ましてからそんなに時間は経ってないはずだが。多分鬱の類の過眠だろうな、こればかりは医者にかかって欲しい所だが、まあそこは本人の意思に任せるしか無いんだよな。私らは通院を強制できないからな。」
「へぇ」
病気由来の眠気とか言ってたっけ。不満だけど今起こしたりしたらタダじゃ済まなさそうだからそっとしておこう。最悪殺られる。
────
時間を潰しながら真の様子を眺めてたら部屋に誰かが入ってきた。
「よぉ生きてるー?この状況で1時間も連絡無かったら心配になるんだけど」
「全員五体満足だよー」
入ってきたのは井綱だった。もう1時間も経ってたのか。真は一向に起きない。
「まだ起きないの?」
「いや、また寝ただけだな。」
二人が真の状況について簡潔にやり取りしている。話を聞いてる井綱の手には何やら分厚めの封筒があった。
「井綱、その封筒は?」
「え?ああそうそう、コレの事話に来たんだよ。この調子じゃ彼しばらく起きないだろ?場所移して説明したいんだけど」
────
「『助けて』と言える人、
そう言える相手がいる人は、
それだけで十分強いのである。」川村則行
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