52 / 171
星降る収穫祭編
女神セラフィ=リュミエール
しおりを挟む
バニッシュたちが獣人国ルガンディアをたってから5日が過ぎた頃、王都では衝撃が走った。
王都・政庁、非常評議の間、重い扉が閉まった瞬間、室内の空気は鉛に変わった。
壁一面の魔導地図に、赤の斑点が次々と塗り足されていく。光点が消える音はしない。だが誰もが、聞こえもしないはずの断末魔を耳奥で聞いた。
「……獣人国ルガンディア、陥落確定」
報告官の声はかすれていた。
昨夜から休息がないのだ。
いや、ここ数日、誰もまともに眠っていない。
「続報。エルフの里エルフェイン――本樹が焼失。神木の魔力が逆流、森そのものが崩落……生存者は、未確認」
会議卓の上、記録水晶がひび割れた光を吐いた。
椅子が軋む。誰かが祈る仕草をしかけ、指を途中で止める。
祈りは、効かなかった。
「……これで――」
執政長官が唇を噛む。補佐官が無言で数字の札を差し出す。
最前列の将軍が、重い鎧の手でそれを受け取り、卓上に置いた。
「世界の……四割だ」
わずか数語が、海より重かった。
沈黙。蝋燭の炎だけが揺れて、壁の陰影を震わせる。
窓外では鐘が鳴る。弔いか、警鐘か、もう判じがたい。
「勇者を失い、黒の旗が市井を荒らす。治安は瓦解の瀬戸際だ。補充兵も徴税も、もはや回らぬ」
「市中の“黒き勇者礼賛”は増えています。『秩序は恐怖で鋳る』などという落書きが……」
「やめてくれ」
若い文官が小さく吐き、口元を押さえる。
彼の机には、ルガンディアへ向けて出したはずの援軍要請書が、未投函のまま積み上がっていた。
「……神は、いるのか」
老臣が誰にともなく呟いた。
誰も答えない。
否定も、肯定も、ここでは贅沢だ。
「希望に替わるものを用意せねば、人は耐えられん」
執政長官が、ゆっくりと立ち上がった。
目の下の隈は深い。
だが声は真っ直ぐに通る。
「――決めよう。我らは“人間だけ”ではもう持たぬ。背に腹は代えられぬ。残る種族へ、全方面に伝令を飛ばす」
ざわめき。
反対の言葉はすぐにこない。
皆、わかっていたからだ。
これは“恥”であり、“現実”でもある。
「対象は――」
補佐官が巻物を開く。
紋章が連なる。
高地の民《竜人族》、海の都《海人族》、地下街連合《ダークエルフ族》、樹海の里《妖精族》、遊牧同盟《鬼人族》……名が呼ばれるたび、地図の上に印をつけていく。
「対等の盟約を提示する。徴兵ではない、“並び立つ”盟約だ」
「人の法を押し通せば、必ず亀裂が生まれます」
短い答えに、室内の視線が集まる。
執政長官は、しばし皆の顔を見渡した。
そこに“人間の都の矜持”はもうない。
あるのは、燃え残った責務だけだ。
「生き延びるために、我らは自らの“地位”を降りる」
「伝令は誰が行く」
「私が」
将軍が片膝をつく。
髭に灰が絡んでいる。
彼はこの三日で二つの前線を落とした。
勝ちではない。撤退の指揮だ。
「いや、軍の長は城に残れ。代わりに――」
執政長官は、窓辺の影に目をやった。
そこに、黒い外套の男が一人、壁にもたれて立っている。
情報局の長だ。
「……やりましょう」
低い声が答えた。
彼は卓上の地図へ歩み寄り、いくつかの点に小さな刃を刺した。
人の通らない獣道、潮汐が作る隠し瀬、古い坑道の横穴――地図の裏に描かれていた“細い救い”が、現実の上に立ち上がる。
「使者は三系統で同時に走らせる。魔導転移の残骸を避け、視認できる星を道標にする。交渉役は――」
「学匠院から言語士を四名、聖教残存派から中立の神学者を二名、工巧会から技術録官を三名。……それと」
「それと?」
「……民間の語り部を、一名」
室内がわずかにざわついた。
老臣が目を細める。
「なぜ語り部だ」
「物語は、信義より速く届くからです」
補佐官の声が、疲労の奥で凪いだ水面のように静かだった。
人は信じたいものを掴む。
難しい条文より、焚き火の傍の一話が国境を越えることがある。
希望が死んだと言うなら、まず“語”を火種にするしかない。
「よかろう。――布告を作る」
執政長官が羽根ペンを取る。
言葉を選ぶ時間はない。
だが、誤れば誰かが死ぬ。
「名義は王都ではなく、“人類連合臨時評議”。椅子は空席のままでいい。座るのは、来る者だ」
筆が走る。
告
此度、世界の四割が滅びに呑まれた。
我らは、孤立の誇りを捨てる。
種の名を問わず、まだ灯る火を持つ者は、共に“円卓”へ。
互いの違いを縛らず、互いの力を束ねるために。
敵はただ一つ――滅びである。
書き終えた瞬間、魔導鐘が鳴り渡る。。
情報局の長が顔を上げる。
「行け」
ひと言に、部屋が動く。
扉が閉まる。
残った者たちは、短く息を吐いた。
「……苦渋だな」
「苦渋の選択だ」
「だが、飲める。今はな」
老臣が、祈りにも似た所作で額に手を当てる。
そこは、地上からは決して届かぬ場所。
天へと伸びる無限の白壁に囲まれ、天上から絶え間なく降り注ぐ神々しき光が、大理石の床を淡く照らしていた。
純白の円卓を中心に、十二の座席が並んでいる――いや、正確には十一。
ひとつだけ空いたままの椅子が、その場の異質さを際立たせていた。
「……これは、深刻な事態です」
静けさを破ったのは、切れ長の瞳を持つ女神だった。
声は清澄でありながらも、確かな緊張を孕んでいる。
「世界はすでに四割を失いました」
その言葉に、別の女神がクイッと眼鏡のブリッジを押し上げる。
理知的な瞳が、冷ややかに事実を告げた。
「地上には我らの加護を授けた“勇者”が存在していたはず。しかし、その勇者は……すでに姿を消しています」
「どういうことですの!? 勇者がいなくなった?!」
翡翠の冠を戴く女神が椅子を叩き、声を荒げる。
その隣の女神も、憂慮を隠さぬ顔で続けた。
「それでは、世界を誰が守るのです! 魔王に対抗する術は――!」
「地上は今まさに炎に呑まれつつあるというのに……!」
席のあちこちから、声が飛び交う。
嘆き、憤り、疑念、焦燥。
そのどれもが、天上の白壁に反響して会議堂を揺るがせた。
「――静まりなさい」
その一言で、空気が凍りついた。
中央奥の席に座す、統括の女神が凛とした声を放ったのだ。
彼女の言葉は鐘の音のように澄みわたり、瞬時に他の女神たちの口を閉ざさせる。
長い沈黙の後、統括の女神は深くため息を吐いた。
その翡翠の瞳は、議場にいる一人ひとりをゆっくりと見渡していく。
「……各々の言いたいことは理解しています」
柔らかくも冷徹な声音。だが、その後に紡がれた言葉は、会議堂の空気をさらに張り詰めさせた。
「それよりも――ひとつ。セラはどうしたのですか?」
しん、と静まり返る。
全員の視線が、同じ一点へと吸い寄せられた。
空いたままの椅子へ。
「……は?」
誰かが、思わず声を漏らす。
次の瞬間、残る十一柱の女神は同時に思い至った。
――また、あの子は。
苛立ちを滲ませる者もいれば、呆れを隠さず肩をすくめる者もいた。
だが、確かなのはただひとつ。
女神セラフィ=リュミエールは、またしてもこの会議に姿を現していない。
世界が滅びに瀕しているというのに――。
会議堂から遥かに離れた場所。
そこは、四季の概念すら無意味に思えるほど、絶え間なく花が咲き誇る一面の花畑だった。
白も赤も紫も、どの花も陽光を受けてゆらゆらと揺れ、風が吹けば甘い香りが波のように漂っていく。
そんな楽園の真ん中に――花に埋もれるように、すやすやと眠る少女の姿があった。
透き通るような白い肌。腰まで流れる桃色のような髪。
薄桃色の唇がわずかに開き、寝息に合わせて頬が小さく上下する。
女神セラフィ=リュミエール。
天界を統べる十二柱の一柱にして、その呼び名を縮め、皆からは親しみを込めて「セラ」と呼ばれていた。
「……むにゃ……ふわぁ……」
胸の上で小さな手を組み、いかにも幸せそうに眠るセラ。
会議をサボっているのではない。
そもそも会議があることを「聞いていなかった」のだ。
いや、正確に言えば――知らされてはいた。
だが、告げられた言葉が右から左へと抜け落ち、お散歩とお昼寝という日課が優先された結果である。
花畑の隅から、小鳥が一羽、ちょんちょんと跳ねてきた。
黄金の羽根を持つその鳥は、天界に棲む神鳥の一種。
女神たちの使い魔としても知られている。
小鳥は、すやすやと眠るセラの頬を小さなくちばしでつついた。
「むにゃ……くすぐったい……うみゅ……」
むずがるように片手で頬をかき、寝返りを打つセラ。
花弁がぱらぱらと舞い散り、その顔を飾るように降りかかった。
安らかで、穏やかで――。
世界が滅びに向かっているなどとは、到底信じられないような光景だった。
しかし、その時。
――ゴロゴロゴロッ!!
晴れ渡る天界の空に似つかわしくない、落雷のような声が轟いた。
『セラーーーッ!!!』
「ひゃああっ!?」
セラの身体が飛び起きる。
銀の髪が宙に舞い、花びらが弾けるように散った。
大きく見開いた蒼の瞳が、驚きのあまり潤んでいる。
「な、なに……? え、え、いまの雷……?」
寝起きのぼんやりとした顔のまま、きょろきょろと辺りを見渡すセラ。
その声は確かに雷鳴のごとく響き渡った――女神会議堂から。
セラはきょろきょろと辺りを見回した。
空は晴れ渡り、花畑はどこまでも続き、小鳥のさえずりと風の音しか聞こえない。
「……あれ? なんだぁ、夢だったのかなぁ」
小首を傾げ、胸を撫で下ろしたセラは、ふわあと大きなあくびをひとつ。
そしてそのまま花の上に再びごろんと寝転がり、目を閉じようとした。
――そのとき。
「セラ様」
さきほど彼女の頬をつついていた神鳥が、羽ばたきも軽やかに彼女の顔の前へ舞い降りる。
金色の羽根が陽を反射し、小さな声でしかしはっきりと告げた。
「今日、大事な会議があったのではありませんか?」
「……かいぎ~?」
セラはまるで聞き慣れない単語を口にされた子供のように、きょとんと瞬きを繰り返す。
そして「えーと……」と呟きながら、懐から何かを取り出した。
それは、まるで小学生が使うような可愛らしい手帳だった。
表紙にはお花やリボンのシールが貼られ、天界の女神というよりは街角の少女が持っていそうな代物である。
「えーっと、今日は~……」
ぱらりと手帳を開き、セラは中を覗き込む。
だが、眉を寄せてしばらく眺めたあと――
「……う~ん、そんな予定は入ってないね~」
と、拍子抜けするほど間延びした声を出した。
神鳥は、セラの肩へとひょいと飛び移り、その手帳を覗き込む。
「……」
そこに広がっていたのは、純白を思わせる真っ白なページ。
そう、一行も、ただの一度も、何も書かれていない。
理由は単純だ。
セラは一度たりとも予定をメモしたことなどなく、興味のあること――お散歩、昼寝、おやつの時間――以外は、右から左へと聞き流してしまうのだ。
「……はぁ」
神鳥はセラの肩の上で、羽をすぼめて深いため息をもらした。
その吐息は小さくとも、どこか世界の未来を憂うように重たかった。
「ん~? どうしたの? 眠いなら一緒にお昼寝する?」
屈託のない笑顔で問いかけるセラに、神鳥はただ天を仰ぐばかりだった。
「セラ様。今日は“下界について十二柱で会議する”と、先ほどご連絡があったはずです」
神鳥は仕切り直すように、真剣な声で言葉を放った。
花畑に漂う呑気な空気に似つかわしくない、硬い声音。
「ええ~、そうなの~?」
セラは頬をふくらませ、ぷくっと不満顔。
その表情は神々しさよりも、駄々っ子のそれに近い。
「もっと早く言ってほしいな~」
「ですから、先ほども申し上げましたでしょう……」
肩でため息をつく神鳥。
だが諦めることなく、翼をぱたぱたと揺らしながらセラを促す。
「とにかく、会議堂に向かいましょう。皆、すでにお待ちなのです」
「ん~……しょうがないなぁ」
セラは大げさに肩を落としながらも、ひょいと立ち上がる。
白い衣が花畑の風に揺れ、その姿はどこか無垢で幻想的ですらあった。
だが――
――きゅるるるるぅ~。
間の抜けた音が、静寂の花畑に響く。
「……?」
駆け出そうとした格好のまま、セラはぴたりと固まった。
神鳥が怪訝そうに首を傾げる。
「どうなさいました、セラ様?」
「……あ」
セラはぽん、と手を合わせた。
「そういえば、まだお昼ご飯食べてなかったわ!」
その瞳がきらきらと輝く。
次の瞬間、彼女は会議堂ではなく、自宅の方向へと足を向けていた。
「……セラ様っ!」
慌てて肩に乗ったままの神鳥が叫ぶ。
「会議が先です! お昼は後にしてください!」
「でも~、今はお腹が空いてるんだもん。考えられるのは“ごはん”のことだけっ!」
まるで当然だと言わんばかりに胸を張るセラ。
その姿に、神鳥は再び深く深くため息をつくしかなかった。
――そう、女神セラフィ=リュミエールは、一度にひとつのことしか考えられない。
彼女の世界は、いつもきらきらと“今”だけで満ちているのだった。
「さあ、お昼ご飯を食べましょう!」
神鳥の必死の静止も聞かず、セラは軽やかな足取りで花畑を抜け、自分の家へ帰ろうとした。
白い衣がひらひらと揺れ、まるで散歩帰りの少女のように呑気である。
――その時だった。
ぐいっ、と後ろから首根っこを掴まれる。
「あら?」
セラが振り返ると、そこにいたのは――額に青筋を浮かべた、統括の女神。
その冷え冷えとした瞳には、雷鳴のごとき怒気が宿っていた。
「セ~ラ~……」
低く、底冷えするような声。
花畑の空気が一瞬で凍りつく。
だが当のセラは、首を傾げてにこりと笑った。
「あら、お姉様。どうしましたの?」
まるで他人事のように、きょとんとした顔で問う。
統括の女神の眉が、ぴくぴくと震える。
「……貴方。会議があるから“必ず出席するように”って、私が言いましたよね?」
「あら、そうでしたっけ?」
セラは悪びれることなく、ぽんと手を合わせる。
「でも、今からお昼ご飯を食べるんですよ?」
その言葉に、統括の女神は額を押さえ、深いため息を吐いた。
「……もういい。ご飯は後です。――いいから、いらっしゃい!」
そのままセラの腕をがしっと掴み、ずるずると会議堂の方へと引きずっていく。
「えぇ~っ!? ご飯~! ご飯がぁ~!」
セラは抵抗するが、統括の女神の腕力には敵わない。
花畑に間抜けな叫び声がこだまする。
その後ろで、神鳥は小さく翼をすぼめ、またもやため息を落とした。
「……これで本当に、世界は守れるのでしょうか」
天界の空に、神鳥のぼやきが虚しく溶けていった。
王都・政庁、非常評議の間、重い扉が閉まった瞬間、室内の空気は鉛に変わった。
壁一面の魔導地図に、赤の斑点が次々と塗り足されていく。光点が消える音はしない。だが誰もが、聞こえもしないはずの断末魔を耳奥で聞いた。
「……獣人国ルガンディア、陥落確定」
報告官の声はかすれていた。
昨夜から休息がないのだ。
いや、ここ数日、誰もまともに眠っていない。
「続報。エルフの里エルフェイン――本樹が焼失。神木の魔力が逆流、森そのものが崩落……生存者は、未確認」
会議卓の上、記録水晶がひび割れた光を吐いた。
椅子が軋む。誰かが祈る仕草をしかけ、指を途中で止める。
祈りは、効かなかった。
「……これで――」
執政長官が唇を噛む。補佐官が無言で数字の札を差し出す。
最前列の将軍が、重い鎧の手でそれを受け取り、卓上に置いた。
「世界の……四割だ」
わずか数語が、海より重かった。
沈黙。蝋燭の炎だけが揺れて、壁の陰影を震わせる。
窓外では鐘が鳴る。弔いか、警鐘か、もう判じがたい。
「勇者を失い、黒の旗が市井を荒らす。治安は瓦解の瀬戸際だ。補充兵も徴税も、もはや回らぬ」
「市中の“黒き勇者礼賛”は増えています。『秩序は恐怖で鋳る』などという落書きが……」
「やめてくれ」
若い文官が小さく吐き、口元を押さえる。
彼の机には、ルガンディアへ向けて出したはずの援軍要請書が、未投函のまま積み上がっていた。
「……神は、いるのか」
老臣が誰にともなく呟いた。
誰も答えない。
否定も、肯定も、ここでは贅沢だ。
「希望に替わるものを用意せねば、人は耐えられん」
執政長官が、ゆっくりと立ち上がった。
目の下の隈は深い。
だが声は真っ直ぐに通る。
「――決めよう。我らは“人間だけ”ではもう持たぬ。背に腹は代えられぬ。残る種族へ、全方面に伝令を飛ばす」
ざわめき。
反対の言葉はすぐにこない。
皆、わかっていたからだ。
これは“恥”であり、“現実”でもある。
「対象は――」
補佐官が巻物を開く。
紋章が連なる。
高地の民《竜人族》、海の都《海人族》、地下街連合《ダークエルフ族》、樹海の里《妖精族》、遊牧同盟《鬼人族》……名が呼ばれるたび、地図の上に印をつけていく。
「対等の盟約を提示する。徴兵ではない、“並び立つ”盟約だ」
「人の法を押し通せば、必ず亀裂が生まれます」
短い答えに、室内の視線が集まる。
執政長官は、しばし皆の顔を見渡した。
そこに“人間の都の矜持”はもうない。
あるのは、燃え残った責務だけだ。
「生き延びるために、我らは自らの“地位”を降りる」
「伝令は誰が行く」
「私が」
将軍が片膝をつく。
髭に灰が絡んでいる。
彼はこの三日で二つの前線を落とした。
勝ちではない。撤退の指揮だ。
「いや、軍の長は城に残れ。代わりに――」
執政長官は、窓辺の影に目をやった。
そこに、黒い外套の男が一人、壁にもたれて立っている。
情報局の長だ。
「……やりましょう」
低い声が答えた。
彼は卓上の地図へ歩み寄り、いくつかの点に小さな刃を刺した。
人の通らない獣道、潮汐が作る隠し瀬、古い坑道の横穴――地図の裏に描かれていた“細い救い”が、現実の上に立ち上がる。
「使者は三系統で同時に走らせる。魔導転移の残骸を避け、視認できる星を道標にする。交渉役は――」
「学匠院から言語士を四名、聖教残存派から中立の神学者を二名、工巧会から技術録官を三名。……それと」
「それと?」
「……民間の語り部を、一名」
室内がわずかにざわついた。
老臣が目を細める。
「なぜ語り部だ」
「物語は、信義より速く届くからです」
補佐官の声が、疲労の奥で凪いだ水面のように静かだった。
人は信じたいものを掴む。
難しい条文より、焚き火の傍の一話が国境を越えることがある。
希望が死んだと言うなら、まず“語”を火種にするしかない。
「よかろう。――布告を作る」
執政長官が羽根ペンを取る。
言葉を選ぶ時間はない。
だが、誤れば誰かが死ぬ。
「名義は王都ではなく、“人類連合臨時評議”。椅子は空席のままでいい。座るのは、来る者だ」
筆が走る。
告
此度、世界の四割が滅びに呑まれた。
我らは、孤立の誇りを捨てる。
種の名を問わず、まだ灯る火を持つ者は、共に“円卓”へ。
互いの違いを縛らず、互いの力を束ねるために。
敵はただ一つ――滅びである。
書き終えた瞬間、魔導鐘が鳴り渡る。。
情報局の長が顔を上げる。
「行け」
ひと言に、部屋が動く。
扉が閉まる。
残った者たちは、短く息を吐いた。
「……苦渋だな」
「苦渋の選択だ」
「だが、飲める。今はな」
老臣が、祈りにも似た所作で額に手を当てる。
そこは、地上からは決して届かぬ場所。
天へと伸びる無限の白壁に囲まれ、天上から絶え間なく降り注ぐ神々しき光が、大理石の床を淡く照らしていた。
純白の円卓を中心に、十二の座席が並んでいる――いや、正確には十一。
ひとつだけ空いたままの椅子が、その場の異質さを際立たせていた。
「……これは、深刻な事態です」
静けさを破ったのは、切れ長の瞳を持つ女神だった。
声は清澄でありながらも、確かな緊張を孕んでいる。
「世界はすでに四割を失いました」
その言葉に、別の女神がクイッと眼鏡のブリッジを押し上げる。
理知的な瞳が、冷ややかに事実を告げた。
「地上には我らの加護を授けた“勇者”が存在していたはず。しかし、その勇者は……すでに姿を消しています」
「どういうことですの!? 勇者がいなくなった?!」
翡翠の冠を戴く女神が椅子を叩き、声を荒げる。
その隣の女神も、憂慮を隠さぬ顔で続けた。
「それでは、世界を誰が守るのです! 魔王に対抗する術は――!」
「地上は今まさに炎に呑まれつつあるというのに……!」
席のあちこちから、声が飛び交う。
嘆き、憤り、疑念、焦燥。
そのどれもが、天上の白壁に反響して会議堂を揺るがせた。
「――静まりなさい」
その一言で、空気が凍りついた。
中央奥の席に座す、統括の女神が凛とした声を放ったのだ。
彼女の言葉は鐘の音のように澄みわたり、瞬時に他の女神たちの口を閉ざさせる。
長い沈黙の後、統括の女神は深くため息を吐いた。
その翡翠の瞳は、議場にいる一人ひとりをゆっくりと見渡していく。
「……各々の言いたいことは理解しています」
柔らかくも冷徹な声音。だが、その後に紡がれた言葉は、会議堂の空気をさらに張り詰めさせた。
「それよりも――ひとつ。セラはどうしたのですか?」
しん、と静まり返る。
全員の視線が、同じ一点へと吸い寄せられた。
空いたままの椅子へ。
「……は?」
誰かが、思わず声を漏らす。
次の瞬間、残る十一柱の女神は同時に思い至った。
――また、あの子は。
苛立ちを滲ませる者もいれば、呆れを隠さず肩をすくめる者もいた。
だが、確かなのはただひとつ。
女神セラフィ=リュミエールは、またしてもこの会議に姿を現していない。
世界が滅びに瀕しているというのに――。
会議堂から遥かに離れた場所。
そこは、四季の概念すら無意味に思えるほど、絶え間なく花が咲き誇る一面の花畑だった。
白も赤も紫も、どの花も陽光を受けてゆらゆらと揺れ、風が吹けば甘い香りが波のように漂っていく。
そんな楽園の真ん中に――花に埋もれるように、すやすやと眠る少女の姿があった。
透き通るような白い肌。腰まで流れる桃色のような髪。
薄桃色の唇がわずかに開き、寝息に合わせて頬が小さく上下する。
女神セラフィ=リュミエール。
天界を統べる十二柱の一柱にして、その呼び名を縮め、皆からは親しみを込めて「セラ」と呼ばれていた。
「……むにゃ……ふわぁ……」
胸の上で小さな手を組み、いかにも幸せそうに眠るセラ。
会議をサボっているのではない。
そもそも会議があることを「聞いていなかった」のだ。
いや、正確に言えば――知らされてはいた。
だが、告げられた言葉が右から左へと抜け落ち、お散歩とお昼寝という日課が優先された結果である。
花畑の隅から、小鳥が一羽、ちょんちょんと跳ねてきた。
黄金の羽根を持つその鳥は、天界に棲む神鳥の一種。
女神たちの使い魔としても知られている。
小鳥は、すやすやと眠るセラの頬を小さなくちばしでつついた。
「むにゃ……くすぐったい……うみゅ……」
むずがるように片手で頬をかき、寝返りを打つセラ。
花弁がぱらぱらと舞い散り、その顔を飾るように降りかかった。
安らかで、穏やかで――。
世界が滅びに向かっているなどとは、到底信じられないような光景だった。
しかし、その時。
――ゴロゴロゴロッ!!
晴れ渡る天界の空に似つかわしくない、落雷のような声が轟いた。
『セラーーーッ!!!』
「ひゃああっ!?」
セラの身体が飛び起きる。
銀の髪が宙に舞い、花びらが弾けるように散った。
大きく見開いた蒼の瞳が、驚きのあまり潤んでいる。
「な、なに……? え、え、いまの雷……?」
寝起きのぼんやりとした顔のまま、きょろきょろと辺りを見渡すセラ。
その声は確かに雷鳴のごとく響き渡った――女神会議堂から。
セラはきょろきょろと辺りを見回した。
空は晴れ渡り、花畑はどこまでも続き、小鳥のさえずりと風の音しか聞こえない。
「……あれ? なんだぁ、夢だったのかなぁ」
小首を傾げ、胸を撫で下ろしたセラは、ふわあと大きなあくびをひとつ。
そしてそのまま花の上に再びごろんと寝転がり、目を閉じようとした。
――そのとき。
「セラ様」
さきほど彼女の頬をつついていた神鳥が、羽ばたきも軽やかに彼女の顔の前へ舞い降りる。
金色の羽根が陽を反射し、小さな声でしかしはっきりと告げた。
「今日、大事な会議があったのではありませんか?」
「……かいぎ~?」
セラはまるで聞き慣れない単語を口にされた子供のように、きょとんと瞬きを繰り返す。
そして「えーと……」と呟きながら、懐から何かを取り出した。
それは、まるで小学生が使うような可愛らしい手帳だった。
表紙にはお花やリボンのシールが貼られ、天界の女神というよりは街角の少女が持っていそうな代物である。
「えーっと、今日は~……」
ぱらりと手帳を開き、セラは中を覗き込む。
だが、眉を寄せてしばらく眺めたあと――
「……う~ん、そんな予定は入ってないね~」
と、拍子抜けするほど間延びした声を出した。
神鳥は、セラの肩へとひょいと飛び移り、その手帳を覗き込む。
「……」
そこに広がっていたのは、純白を思わせる真っ白なページ。
そう、一行も、ただの一度も、何も書かれていない。
理由は単純だ。
セラは一度たりとも予定をメモしたことなどなく、興味のあること――お散歩、昼寝、おやつの時間――以外は、右から左へと聞き流してしまうのだ。
「……はぁ」
神鳥はセラの肩の上で、羽をすぼめて深いため息をもらした。
その吐息は小さくとも、どこか世界の未来を憂うように重たかった。
「ん~? どうしたの? 眠いなら一緒にお昼寝する?」
屈託のない笑顔で問いかけるセラに、神鳥はただ天を仰ぐばかりだった。
「セラ様。今日は“下界について十二柱で会議する”と、先ほどご連絡があったはずです」
神鳥は仕切り直すように、真剣な声で言葉を放った。
花畑に漂う呑気な空気に似つかわしくない、硬い声音。
「ええ~、そうなの~?」
セラは頬をふくらませ、ぷくっと不満顔。
その表情は神々しさよりも、駄々っ子のそれに近い。
「もっと早く言ってほしいな~」
「ですから、先ほども申し上げましたでしょう……」
肩でため息をつく神鳥。
だが諦めることなく、翼をぱたぱたと揺らしながらセラを促す。
「とにかく、会議堂に向かいましょう。皆、すでにお待ちなのです」
「ん~……しょうがないなぁ」
セラは大げさに肩を落としながらも、ひょいと立ち上がる。
白い衣が花畑の風に揺れ、その姿はどこか無垢で幻想的ですらあった。
だが――
――きゅるるるるぅ~。
間の抜けた音が、静寂の花畑に響く。
「……?」
駆け出そうとした格好のまま、セラはぴたりと固まった。
神鳥が怪訝そうに首を傾げる。
「どうなさいました、セラ様?」
「……あ」
セラはぽん、と手を合わせた。
「そういえば、まだお昼ご飯食べてなかったわ!」
その瞳がきらきらと輝く。
次の瞬間、彼女は会議堂ではなく、自宅の方向へと足を向けていた。
「……セラ様っ!」
慌てて肩に乗ったままの神鳥が叫ぶ。
「会議が先です! お昼は後にしてください!」
「でも~、今はお腹が空いてるんだもん。考えられるのは“ごはん”のことだけっ!」
まるで当然だと言わんばかりに胸を張るセラ。
その姿に、神鳥は再び深く深くため息をつくしかなかった。
――そう、女神セラフィ=リュミエールは、一度にひとつのことしか考えられない。
彼女の世界は、いつもきらきらと“今”だけで満ちているのだった。
「さあ、お昼ご飯を食べましょう!」
神鳥の必死の静止も聞かず、セラは軽やかな足取りで花畑を抜け、自分の家へ帰ろうとした。
白い衣がひらひらと揺れ、まるで散歩帰りの少女のように呑気である。
――その時だった。
ぐいっ、と後ろから首根っこを掴まれる。
「あら?」
セラが振り返ると、そこにいたのは――額に青筋を浮かべた、統括の女神。
その冷え冷えとした瞳には、雷鳴のごとき怒気が宿っていた。
「セ~ラ~……」
低く、底冷えするような声。
花畑の空気が一瞬で凍りつく。
だが当のセラは、首を傾げてにこりと笑った。
「あら、お姉様。どうしましたの?」
まるで他人事のように、きょとんとした顔で問う。
統括の女神の眉が、ぴくぴくと震える。
「……貴方。会議があるから“必ず出席するように”って、私が言いましたよね?」
「あら、そうでしたっけ?」
セラは悪びれることなく、ぽんと手を合わせる。
「でも、今からお昼ご飯を食べるんですよ?」
その言葉に、統括の女神は額を押さえ、深いため息を吐いた。
「……もういい。ご飯は後です。――いいから、いらっしゃい!」
そのままセラの腕をがしっと掴み、ずるずると会議堂の方へと引きずっていく。
「えぇ~っ!? ご飯~! ご飯がぁ~!」
セラは抵抗するが、統括の女神の腕力には敵わない。
花畑に間抜けな叫び声がこだまする。
その後ろで、神鳥は小さく翼をすぼめ、またもやため息を落とした。
「……これで本当に、世界は守れるのでしょうか」
天界の空に、神鳥のぼやきが虚しく溶けていった。
62
あなたにおすすめの小説
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。
桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。
だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。
そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。
異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。
チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!?
“真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
『追放された底辺付与術師、実は【全自動化】のチートスキル持ちでした〜ブラックギルドを追い出されたので、辺境で商会を立ち上げたら勝手に世界規
NagiKurou
ファンタジー
「お前のような、一日中デスクに座って何もしない無能はクビだ!」
国内最大のギルド『栄光の剣』で、底辺の付与術師として働いていたアルスは、ある日突然、強欲なギルドマスターから追放を言い渡される。
しかし、彼らは知らなかった。ギルドの武器の自動修復、物流の最適化、資金管理に至るまで、すべてアルスの固有スキル【全自動化(ワークフロー構築)】によって完璧にシステム化され、回っていたことを。
「俺がいなくなったら、あの自動化システム、全部止まるけど……まあいいか」
管理権限を解除し、辺境へと旅立ったアルス。彼は自身のスキルを使って、圧倒的な耐久力を誇る銀色の四輪型重装ゴーレムを作り出し、気ままな行商を始める。
一度構築すれば無限に富を生み出す「全自動」のチートスキルで、アルスの商会は瞬く間に世界規模へとスケールしていく!
一方、すべてを失ったギルドは、生産ラインが崩壊し、絶望のどん底へと突き落とされていくのだった……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる