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ep.19
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数年後。アルベールとメルが統治するこの国は、かつてない繁栄を極めていた。
だが、その強大さを恐れた近隣諸国が連合を組み、ついに数万の軍勢をもって国境へと押し寄せてきた。
「アルベール王! メル王妃を差し出し、そのオーバーテクノロジーを公開せよ! さもなくばこの地を火の海にする!」
国境線で叫ぶ連合軍の将軍たち。
そこへ、アルベールが出陣しようとしたが、メルがその袖をそっと引いた。
「アルベール様。……皆さん、遠くから来て興奮していらっしゃるみたいです。……少し、落ち着いてもらいましょうか?」
「メル? だけど彼らは剣を抜いているよ。僕が今すぐ、その剣をすべて粉々に……」
「いいえ。……ちょっと、足元を整えるだけですから」
メルは国境の城壁の上に座り、おっとりと愛用の金槌を取り出した。
彼女が見つめているのは、敵軍ではなく、その足元に流れる巨大なエネルギーの筋――「地脈」。
メルは、空中に向かってコン、と軽く槌を振った。
――「キィィィィィン……」
その澄んだ音が響いた瞬間、敵軍の足元の地面が、まるで粘土のように「ぐにゃり」と形を変えた。
「な、なんだ!? 地面が……地面が柔らかいぞ!?」
「馬鹿な! 馬車が泥に沈むように、大地に吸い込まれていく!」
メルが地脈を調整したことで、敵軍のいる場所だけが、極端に重力が強い「底なしの沼」に変わってしまったのだ。
数万の兵士たちは、怪我一つ負っていない。ただ、一歩も前に進めず、まるで大地に抱きしめられているかのようにその場に固定されてしまった。
「……あらぁ。これで皆さん、ゆっくりお話が聞けますねぇ。……あ、お茶の準備ができましたよ。アルベール様、皆さんを招待して差し上げてください」
メルが城壁の上でティーカップを傾けると、アルベールは眩しい笑顔で、敵の将軍たちを見下ろした。
「……聞こえたか? 我が妻の慈悲を。君たちはもう、僕を倒すどころか、そこから一歩下がることもできない。……大人しくお茶を飲んで、降伏文書にサインするか。それとも、僕がこのまま君たちの頭の上を『散歩』して、大地の一部にしてあげようか?」
リチャードのような冷徹な二択を迫られ、将軍たちは震えながら「……お、お茶を……頂きます……」と泣きながら答えるしかなかった。
その後、攻めてきた軍勢は全員、メルの焼いた美味しいお菓子と温かいお茶で完璧に胃袋を掴まれ、戦う意欲を完全に失って帰っていった。
「あの国には、大地を操るおっとりした女神と、それを溺愛する破壊神がいる」という伝説だけを残して。
夕暮れ時。
アルベールはメルの肩を抱き寄せ、平和になった国境線を眺めていた。
「メル。……君はやっぱり、僕の選んだ最高のパートナーだ。……でも、一つだけ言わせてくれ。……あの将軍に微笑みかけるのは、これからは三分の一に減らしてくれないか?」
「あらぁ。……アルベール様は、本当に心配性ですねぇ」
最強の鎧と、最強の剣、そして世界を形作る槌。
二人の「重すぎる」統治は、これからも末永く続いていく。
だが、その強大さを恐れた近隣諸国が連合を組み、ついに数万の軍勢をもって国境へと押し寄せてきた。
「アルベール王! メル王妃を差し出し、そのオーバーテクノロジーを公開せよ! さもなくばこの地を火の海にする!」
国境線で叫ぶ連合軍の将軍たち。
そこへ、アルベールが出陣しようとしたが、メルがその袖をそっと引いた。
「アルベール様。……皆さん、遠くから来て興奮していらっしゃるみたいです。……少し、落ち着いてもらいましょうか?」
「メル? だけど彼らは剣を抜いているよ。僕が今すぐ、その剣をすべて粉々に……」
「いいえ。……ちょっと、足元を整えるだけですから」
メルは国境の城壁の上に座り、おっとりと愛用の金槌を取り出した。
彼女が見つめているのは、敵軍ではなく、その足元に流れる巨大なエネルギーの筋――「地脈」。
メルは、空中に向かってコン、と軽く槌を振った。
――「キィィィィィン……」
その澄んだ音が響いた瞬間、敵軍の足元の地面が、まるで粘土のように「ぐにゃり」と形を変えた。
「な、なんだ!? 地面が……地面が柔らかいぞ!?」
「馬鹿な! 馬車が泥に沈むように、大地に吸い込まれていく!」
メルが地脈を調整したことで、敵軍のいる場所だけが、極端に重力が強い「底なしの沼」に変わってしまったのだ。
数万の兵士たちは、怪我一つ負っていない。ただ、一歩も前に進めず、まるで大地に抱きしめられているかのようにその場に固定されてしまった。
「……あらぁ。これで皆さん、ゆっくりお話が聞けますねぇ。……あ、お茶の準備ができましたよ。アルベール様、皆さんを招待して差し上げてください」
メルが城壁の上でティーカップを傾けると、アルベールは眩しい笑顔で、敵の将軍たちを見下ろした。
「……聞こえたか? 我が妻の慈悲を。君たちはもう、僕を倒すどころか、そこから一歩下がることもできない。……大人しくお茶を飲んで、降伏文書にサインするか。それとも、僕がこのまま君たちの頭の上を『散歩』して、大地の一部にしてあげようか?」
リチャードのような冷徹な二択を迫られ、将軍たちは震えながら「……お、お茶を……頂きます……」と泣きながら答えるしかなかった。
その後、攻めてきた軍勢は全員、メルの焼いた美味しいお菓子と温かいお茶で完璧に胃袋を掴まれ、戦う意欲を完全に失って帰っていった。
「あの国には、大地を操るおっとりした女神と、それを溺愛する破壊神がいる」という伝説だけを残して。
夕暮れ時。
アルベールはメルの肩を抱き寄せ、平和になった国境線を眺めていた。
「メル。……君はやっぱり、僕の選んだ最高のパートナーだ。……でも、一つだけ言わせてくれ。……あの将軍に微笑みかけるのは、これからは三分の一に減らしてくれないか?」
「あらぁ。……アルベール様は、本当に心配性ですねぇ」
最強の鎧と、最強の剣、そして世界を形作る槌。
二人の「重すぎる」統治は、これからも末永く続いていく。
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