【完結】無能と追放された魔導鍛冶師、最強の騎士に拾われ溺愛される

ムラサメ

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ep.18

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クレーターの真ん中で輝くアルベールと、その腕の中で「あらあら」と微笑むメル。その光景を城のバルコニーから眺めていた国王は、静かに冠を脱いだ。

​「……陛下、いかがなさいましたか?」

​ 震える側近の問いに、国王は遠い目をして答えた。

​「……無理だ。あれを制御できる人間など、この地上には存在せん。見てみろ、アルベール卿が鼻歌を歌っただけで、城の結界が共鳴して音を立てている。……もはや、彼らこそがこの国の『法』であり『神』なのだよ」

​ 国王はそのまま、重い足取りでクレーターの縁までやってきた。

 アルベールは華麗な着地を決め、陛下に一礼した。

​「陛下! メルの打ったこの鎧、いかがですか? 僕は今、国中の軍勢を一人で相手にしても、欠伸をしながら勝利できる自信がありますよ!」

​「……ああ、だろうな。見ていればわかる。……アルベール卿、そしてメル殿。……予は決めた。今日、この時をもって、予は退位する」

​ 現場にいた全員が絶句した。だが、国王は晴れやかな顔で言葉を続ける。

​「この国は、今日から貴公ら二人で治めてくれ。予はもう疲れたのだ……。森が消え、街灯が割れ、魔導部隊が拝み始める。そんな毎日を送るより、田舎で静かにパンでも焼いて暮らしたい。……全権を譲る。あとは好きにしろ」

​「えっ? ……陛下、それは困ります! 僕にはメルの鎧を自慢して回る仕事がありますし、メルは工房で鉄を叩くのが……」

​「アルベール様、そんなこと言っている場合ではありませんよ。……王様、パンを焼くなら、私の作った焦げない釜を差し上げましょうか?」

​ メルの申し出に、国王は「……それを使うと村一つ焼き尽くしそうだから遠慮しておくよ」と苦笑いして、足早に去っていった。

​ こうして、最強騎士と天才鍛冶師は、望まぬままに「国の主」になってしまった。

​「……仕方ないね、メル。陛下がああ仰るなら、僕たちがこの国を『世界一安全で、世界一メルに優しい国』に作り変えてしまおう」

​「そうですねぇ。……あ、それなら、みんなの家の包丁が折れないように、私が全部直してあげてもいいですか?」

​「…………。……いや、それは僕が許さない。君の指先は僕の……いや、国家予算級の宝物なんだから!」

​ 王座に座っても、二人のやり取りは変わらない。

 アルベールが豪華な玉座を「座り心地が悪い」と言って粉砕し、メルがそれを「端材」で最強のソファーに作り直す……そんな規格外な統治が始まった。
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