【完結】無能と追放された魔導鍛冶師、最強の騎士に拾われ溺愛される

ムラサメ

文字の大きさ
17 / 19

ep.17

しおりを挟む
​「……できました、アルベール様。……さあ、着てみてください。今のアルベール様に、一番似合うはずです」

​ メルが差し出したのは、重厚なのに羽のように軽い、白銀と宝石の鎧。

 アルベールがそれを身に纏った瞬間、離宮全体が共鳴するように震え、彼の背後に巨大な光の翼が見えたような錯覚に陥った。

​「……信じられない。この鎧、まるでもう一つの皮膚だ。重さを感じないどころか、世界中の魔力が僕を守るために収束しているのを感じるよ……!」

​ だが、その「性能」は、二人の想像を絶していた。

​「ちょっと、外で動きを確認してみましょうか」

​ 二人が庭に出たその時。

 運悪く、先日の「更地事件」の調査に来ていた王宮の魔導部隊が、アルベールのあまりの輝きに驚いて、防衛本能で牽制用の魔術を放ってしまった。

​「うわああっ! 眩しすぎる! 敵襲か!? ファイア・ストーム、発動!!」

​ 巨大な火柱がアルベールを飲み込む。

 「あぁっ!」とメルが声を上げるよりも早く、驚くべきことが起きた。

​ 火柱はアルベールの鎧に触れた瞬間、まるでお辞儀をするように左右に割れ、そのまま消滅したのだ。アルベールは熱がるどころか、眉一つ動かしていない。

​「……今、何か掠めたかい? 蝶の羽撃きのような心地よい風を感じたが」

​「……アルベール様。……あの、火柱が消えちゃいましたねぇ」

​ 驚いた魔導部隊が、今度はさらに強力な「雷撃」と「岩石落とし」を放つ。

 しかし、雷はアルベールの鎧に吸い込まれてただの「装飾の輝き」に変わり、落下してきた巨大な岩は、アルベールの肩に当たった瞬間にパウダー状の粉になって霧散した。

​ アルベールがただ歩くだけで、周囲の空間が「彼を守るため」に固定され、飛んでくる矢も魔法も、彼に届く前にすべて消えていく。

 まさに、物理法則を無視した「歩く要塞」。

​「……メル。これ、僕が本気で走ったら、空気が圧縮されて街が一つ吹き飛ぶんじゃないかな?」

​「あらぁ。……それは困りますねぇ。あ、でも、これでアルベール様が怪我をする心配は一生なくなりました! ……ですよね?」

​ メルがニコニコと満足げに笑うと、アルベールは再び感極まって、その場に跪こうとした。

 だが、彼が膝をつこうとした瞬間、鎧の放つ圧力が地面に伝わり、半径十メートルの石畳がクレーターのように陥没した。

​「……あ、アルベール様。……そのまま立っていてください。……離宮が壊れちゃいます……」

​「わ、わかった。……メル、君の愛は、なんて重くて……強固なんだ……! 僕はもう、君という神の加護なしでは生きていけないよ……!」

​ 最強を超えて「歩く天災」と化したアルベール。

 彼はその無敵の体で、メルをひょいと抱き上げると、クレーターの真ん中で高らかに笑い声を上げた。

​ 一方で、攻撃をすべて無効化された魔導部隊は、「神だ……神が降臨した……」と涙を流して地面にひれ伏していた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました

由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。 ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。 遠い存在になったはずの彼。 けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。 冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。

【完結】追放された私、宮廷楽師になったら最強騎士に溺愛されました

er
恋愛
両親を亡くし、叔父に引き取られたクレアは、義妹ペトラに全てを奪われ虐げられていた。 宮廷楽師選考会への出場も拒まれ、老商人との結婚を強要される。 絶望の中、クレアは母から受け継いだ「音花の恵み」——音楽を物質化する力——を使い、家を飛び出す。 近衛騎士団隊長アーロンに助けられ、彼の助けもあり選考会に参加。首席合格を果たし、叔父と義妹を見返す。クレアは王室専属楽師として、アーロンと共に新たな人生を歩み始める。

婚活をがんばる枯葉令嬢は薔薇狼の執着にきづかない~なんで溺愛されてるの!?~

白井
恋愛
「我が伯爵家に貴様は相応しくない! 婚約は解消させてもらう」  枯葉のような地味な容姿が原因で家族から疎まれ、婚約者を姉に奪われたステラ。  土下座を強要され自分が悪いと納得しようとしたその時、謎の美形が跪いて手に口づけをする。  「美しき我が光……。やっと、お会いできましたね」  あなた誰!?  やたら綺麗な怪しい男から逃げようとするが、彼の執着は枯葉令嬢ステラの想像以上だった!  虐げられていた令嬢が男の正体を知り、幸せになる話。

公爵令嬢になった私は、魔法学園の学園長である義兄に溺愛されているようです。

木山楽斗
恋愛
弱小貴族で、平民同然の暮らしをしていたルリアは、両親の死によって、遠縁の公爵家であるフォリシス家に引き取られることになった。位の高い貴族に引き取られることになり、怯えるルリアだったが、フォリシス家の人々はとても良くしてくれ、そんな家族をルリアは深く愛し、尊敬するようになっていた。その中でも、義兄であるリクルド・フォリシスには、特別である。気高く強い彼に、ルリアは強い憧れを抱いていくようになっていたのだ。 時は流れ、ルリアは十六歳になっていた。彼女の暮らす国では、その年で魔法学校に通うようになっている。そこで、ルリアは、兄の学園に通いたいと願っていた。しかし、リクルドはそれを認めてくれないのだ。なんとか理由を聞き、納得したルリアだったが、そこで義妹のレティが口を挟んできた。 「お兄様は、お姉様を共学の学園に通わせたくないだけです!」 「ほう?」 これは、ルリアと義理の家族の物語。 ※基本的に主人公の視点で進みますが、時々視点が変わります。視点が変わる話には、()で誰視点かを記しています。 ※同じ話を別視点でしている場合があります。

【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?

こころ ゆい
恋愛
※最終話に、3/11加筆した分をアップしました。 ※番外編書きたい気持ちがあるのですが、一旦、恋愛小説大賞の締め切りに合わせて、完結とさせて頂きます。🌱 ※最後、急ぎ足で駆け抜けたので、説明不足や誤字脱字多くなっているかもしれません。都度見つけ次第、修正させて頂きます。申し訳ありません。💦 ジャスミン・リーフェント。二十歳。 歴史あるリーフェント公爵家の一人娘だが、 分厚い眼鏡に地味な装い、常に本を読んでいる変わり者。皆が自分のことをそう言っているのは知っていた。 モーリャント王国の王太子殿下、コーネル・モーリャントとの婚約が王命で決まってから十三年。王妃教育を終えても婚姻は進まず、宙ぶらりん状態。 そんな中、出席した舞踏会でいつも通り他の女性をエスコートする王太子殿下。 それだけならまだ良かったが、あろうことか王太子の連れた女性が事件を巻き起こす。その最中で言い渡された婚約破棄。 「....婚約破棄、お受けいたします」 そのあと、ジャスミンは一人旅に出てある人物と出会った。 これは、婚約破棄された女性が獣人国で知らぬうちに番と出会い、運命に翻弄されていく物語。

本の虫令嬢ですが「君が番だ! 間違いない」と、竜騎士様が迫ってきます

氷雨そら
恋愛
 本の虫として社交界に出ることもなく、婚約者もいないミリア。 「君が番だ! 間違いない」 (番とは……!)  今日も読書にいそしむミリアの前に現れたのは、王都にたった一人の竜騎士様。  本好き令嬢が、強引な竜騎士様に振り回される竜人の番ラブコメ。 小説家になろう様にも投稿しています。

天才すぎて追放された薬師令嬢は、番のお薬を作っちゃったようです――運命、上書きしちゃいましょ!

灯息めてら
恋愛
令嬢ミーニェの趣味は魔法薬調合。しかし、その才能に嫉妬した妹に魔法薬が危険だと摘発され、国外追放されてしまう。行き場を失ったミーニェは隣国騎士団長シュレツと出会う。妹の運命の番になることを拒否したいと言う彼に、ミーニェは告げる。――『番』上書きのお薬ですか? 作れますよ? 天才薬師ミーニェは、騎士団長シュレツと番になる薬を用意し、妹との運命を上書きする。シュレツは彼女の才能に惚れ込み、薬師かつ番として、彼女を連れ帰るのだが――待っていたのは波乱万丈、破天荒な日々!?

周囲からはぐうたら聖女と呼ばれていますがなぜか専属護衛騎士が溺愛してきます

鳥花風星
恋愛
聖女の力を酷使しすぎるせいで会議に寝坊でいつも遅れてしまう聖女エリシアは、貴族たちの間から「ぐうたら聖女」と呼ばれていた。 そんなエリシアを毎朝護衛騎士のゼインは優しく、だが微妙な距離感で起こしてくれる。今までは護衛騎士として適切な距離を保ってくれていたのに、なぜか最近やたらと距離が近く、まるでエリシアをからかっているかのようなゼインに、エリシアの心は揺れ動いて仕方がない。 そんなある日、エリシアはゼインに縁談が来ていること、ゼインが頑なにそれを拒否していることを知る。貴族たちに、ゼインが縁談を断るのは聖女の護衛騎士をしているからだと言われ、ゼインを解放してやれと言われてしまう。 ゼインに幸せになってほしいと願うエリシアは、ゼインを護衛騎士から解任しようとするが……。 「俺を手放そうとするなんて二度と思わせませんよ」 聖女への思いが激重すぎる護衛騎士と、そんな護衛騎士を本当はずっと好きだった聖女の、じれじれ両片思いのラブストーリー。

処理中です...