上 下
51 / 591
第3章 学生の数だけ、物語がある。物語には創り手と演じ手がいるわけで。主役と脇役が交差したりもするよね。

51.チェール・モンスは、貴族に近づいて、貴族の恩恵にあずかりたい。

しおりを挟む
平民には、平民の良さがあるとは言うけれど。

貴族階級と仲良くなって、恩恵にあずかりたいと願う平民がいてもおかしくない。

私はチェール・モンス。

今のニンデリー王立学園が狙い目だと睨んで、今年の平民クラスに入学した。

貴族階級には、ウケが悪いけれど、平民には、第2王子の暴走が有り難い。

第2王子がいる限り、平民は、貴族に選ばれる側じゃなく、貴族を眺める側になる。

今年は、第2王子の同母の妹である第2王女の入学年。
当たり年。
第2王女経由で、第2王子に近づける。

予想して、計画を立てて。
ニンデリー王立学園に入学してみたけれど、蓋を開けると、予想とはだいぶ異なっていた。

第2王女は、平民に興味がなかった。
貴族に囲まれて、貴族としか話さない。
平民の存在なんて、歯牙にもかけない。

第2王子の周囲には平民クラスの女子学生が多いからか、第2王女は、学園内では第2王子に近づかない。

第2王子に近づくチャンスなんて、全くないまま、説明会の1週間が終わり、本格的な授業が始まった。

授業が始まる前に、第2王女の履修科目を知って、同じ科目を履修したかったのに。

第2王女と同じ科目もあった。
でも、私から近づくのは、無理だった。

第2王子の評判を第2王女に当てはめて、第2王女に声をかけにいった平民クラスの男女が、全く相手にされていなかった。

まるで存在しないかのように、ずっと無視。

挨拶さえも、無視。

その光景が、印象的過ぎた。
第2王女と同じ授業のとき。
私は、大人しく身を潜めている。
私の他にも、似たような考え方をしているクラスメイトは、静かにやり過ごしている。

第2王子の評判から、第2王女に平民への親愛を期待したのは、私以外に何人もいたようだ。

明らかに落胆したり、不満の声を洩らしているクラスメイトが、何人もいる。

平民クラスに在籍している外国の貴族令嬢は、平民と馴れ合う頭なぞ、はなからない、と初日に明確に宣言した。

何のために、私は、ニンデリー王立学園に入学したのか。

想定外過ぎて、何も成し遂げられないまま、時間だけが過ぎていく。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【BL】紅き月の宴~Ωの悪役令息は、αの騎士に愛される。

BL / 連載中 24h.ポイント:2,976pt お気に入り:636

宝石の錬金術師

絵本 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

逆ざまぁされ要員な僕でもいつか平穏に暮らせますか?

BL / 連載中 24h.ポイント:106pt お気に入り:351

王妃となったアンゼリカ

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:140,623pt お気に入り:8,395

元婚約者に未練タラタラな旦那様、もういらないんだけど?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:986pt お気に入り:2,739

義妹の身代わりに売られた私は大公家で幸せを掴む

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:2,009pt お気に入り:932

9番と呼ばれていた妻は執着してくる夫に別れを告げる

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:99,800pt お気に入り:3,185

噂の悪女が妻になりました

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:62,288pt お気に入り:1,590

処理中です...