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第7章 使用人を帯同しない女子寮の秘密

304.転生貴族令嬢レベッカ・ショア。侍女のアーリントン・ポトディに贈る言葉は?

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「急に、明け透けになった。」
とキャスリーヌ。

「レベッカ様は、私を追い出すことなど出来ませんからね。

私がいないと、レベッカ様は、ここにはいられません。

私は、もう無理はきかないので、私の好きなように過ごしますよ。

せっかく厄介払いしたレベッカ様に、また、まとわりつかれるのは、勘弁していただきたいんです。

カローナお嬢様とお会いになられたら、分かったでしょう。

情、でしたか?

落差が激しすぎて、失望しか湧き上がりません。」
とアーリントン・ポトディ。

レベッカ・ショアは、泣きも笑いもせず、アーリントン・ポトディの台詞を聞いていた。

すっと、自分の中で、パズルのピースがはまっていく。

レベッカ・ショアが、感じていた違和感の正体。

私の侍女は、私が嫌い、だったんだ。

最初から、嫌いだったんだ。

大好きなお嬢様の希望を叶えるために、ずっと我慢して、私といたんだ。

本当は私といたくないんだから、私の教育なんて、私と向き合わないといけなくなることはしないよね。

私の願いを何でも聞いて、叶えるよね。

はいはい、と言う事聞いている方が、トータルで、私といる時間が減るもん。

はあ。

そっか。

期待していた。

言葉だけでもって。

態度は、取り付く島もないくらいだったけれど。

目に見えて分かった。

アーリントンの中に、私への関心があるとしたら。

それは、疎ましいから、極力関わらないで済む方法を探すためのもの。

私への思いやりなんて、面倒なものから、早く解放されたかったんだね。

分かったよ。

思い知らされたよ。

なんの期待もしちゃいけないんだって、理解したよ。


それでも。

何かしら、言葉をかけてもらいたかった。

一言でも、いいから。


ごめんなさい、でもいい。

遅くなりました、でもいい。

頑張りましたね、でもいい。

大きくなりましたね、でも構わなかった。


どうしても、会話したくないって言うなら。

挨拶でも良かった。

お元気にしていましたか?だけでも。


私の声を聞くのも、
私と言葉を交わすのも、
私との会話を絞り出すのも。

私に関わるのが、全部、アーリントンには億劫だったんだね。


理由が分かって、すっきりしたけれど。

感情は全然すっきりしない。

悲しみ、怒り、やりきれなさ、苛立ち。

全部、ごちゃ混ぜになって、どれもよく分からなくなっている。

悲しみが広がったと思ったら、怒りが。

アーリントンのカローナお嬢様への思いに嫉妬してしまう。

嫉妬したところで、アーリントンに軽蔑されて、余計に嫌われるだけ。

誰にとっても、無意味で、無駄な感情なのに。

感情が混乱して、涙も出ない。


思い切らせてくれて、ありがとう、と言えたら、カッコいいんだろうけれど。

私には、まだ、できない。

だから。

せめて。

私の感謝の気持ちだけは、嘘じゃないんだから、伝えておこう。

「アーリントン。
私は、魔法の存在を肯定してくれたのが、嬉しかった。
誰も彼も、魔法に否定的な中で、アーリントンだけは、私が魔法に期待することを否定しなかったよね。

アーリントンといて一番嬉しかったのは、私が期待する魔法を頭ごなしに否定しなかったこと。

ありがとう。
私の希望を否定しないでくれて。」
とレベッカ・ショア。

「はあ。まあ。それくらいは。大した手間ではありませんでした。」
とアーリントン・ポトディ。

「そんなこと、なかったよね?

私が魔法について意気揚々と話す度に、周りから人がいなくなっていった。

どんな理由であっても、魔法を楽しみにしていた私の話を否定せず、私の側にいてくれて、ありがとう。

色々あったけれど、私は元気にやれているよ。

アーリントンは、体を大事にね。」
とレベッカ・ショア。

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