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第8章 魔法使いのいる世界で、魔力を持たないまま生きていく君へ。

527.潜入がおじゃんになったら辛いよね。見て見ぬふりするから、取引しよう、と言われたら厄介だよね?バネッサが狙われた理由を知りたいな。

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マーゴットが蟹歩きさせている4人を見た布人間レーイーエール・サバンナパークは、キャスリーヌに聞いた。
「どうするの、これ?」

「これから?」
とキャスリーヌ。

「自由すぎる。私の苦労が水の泡。
ねえ、なんで、捕まえちゃったかなー?
今捕まえなくても良かったんじゃない?
良かったわよねえ?
急いでつかまえる必要なかったわよねー?」
と布人間レーイーエール・サバンナパークは、激しく嘆いている。

布人間レーイーエール・サバンナパークの嘆きが聞こえてきたマーゴットは、淡々と理由を話す。

「わたしの通り道を塞いでいた。」
とマーゴット。

「さすがガラン。ガランはそうこなくっちゃね。
頭では分かっているのよー。

進行方向に、人がいたら邪魔なのは、わかるけどね。
トホホよ、トホホ。」
と布人間レーイーエール・サバンナパーク。

「取引条件次第で、わたしの確保した4人に限り、譲渡の相談にはのる。」
とマーゴット。

「相談にはのるって、言うけど、のらない選択肢が、私にはないってことくらい、私はガランを知っているからねー。

その4人をガランに押さえられたら、今までの色々が、パーになるのよー。

ガランが手を出さない代わりに、という条件なら、のまないわけにはいかないのよー。

よりによって、今日。
なんで、今日なの。」
と布人間レーイーエール・サバンナパークは、悲運を嘆いた。

布人間レーイーエール・サバンナパークの嘆きの深さを目のあたりにして、ひよっこ4人は、マーゴットを警戒している。

何の変哲もない少女のはずのマーゴット・ガランは、実は途方もないくらいの要警戒人物なのか。

布人間レーイーエール・サバンナパークは、一通り嘆いてから、諦めて現実を受け入れた。

マーゴット・ガランにすれば、目の前にトンボがいたので、ぶつかるから捕まえたくらいの感覚だということくらい、布人間レーイーエール・サバンナパークは理解している。

ただ、準備して潜入して、ひよっこを鍛えていた矢先にポシャったので、嘆かないではいられなかっただけだ。

「その4人は、バネッサを狙っていたよ。
なんで、バネッサ?」
とキャスリーヌ。

「今日は、わたしが、行くと先触れを出している。
わたしではなく、バネッサを狙ってきたなら、ナンシー・ボーンの家族の意向ではない。
誰の意向で、バネッサを狙った?」
とマーゴット。

蟹歩きの4人は、無言。

「わたしは、4人がどうなっても困らない。
困る人は、発言しなさい。」
とマーゴット。

「もう。本当に、嫌な役回り。」
と布人間レーイーエール・サバンナパークは、ひとしきり嘆いた後に、真面目な口調になった。

「ニンデリー王国の貴族の一部が欲しがっているのは、ガランでもベイモンでもなく、彼女なのよ。」
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