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1章
17:なんか新しく師匠が増えました
しおりを挟む街道を歩く人影が朝焼けの背景を背にし、ある場所を目指し歩いて行く
人影は街が見えてきた辺りで道を外れて森へと入り道なき道を進む
森を少し進むと、開けた場所に出た
そこには柵に囲まれた庭と大きな2階建ての家があった
「話に聞いてた通りじゃの」
人影は喋りかたから推測するに老人なのだろう
それにしては腰も曲がって居ないし、ガタイもいい
そして、老人がその屋敷とも言える建物に向かおうとすると腰に下げられた剣がキィーンと音を立てて震える
「お?これは・・・。まさかのぅ~」
老人は声に期待を滲ませて屋敷に向かう
~~~~~~
ダンジョンの攻略を始めてから1年が経った
1年が経ったと言っても、ガリバーンを倒した後に地竜と呼ばれる魔物と戦うことになる21階からの攻略が進んでいない
何故かと言うと、地竜に対して打撃が殆どといって良いほど効かず、ソウマも爪を使って傷をつけるのがやっとだったのだ。【魔纏】を使ったり、魔力でグリーヴの刃を覆ったりすれば倒せたのだが、打撃が爪が効かないということで俺達は少しショックを受けたのだ。
師匠に教えを請い、3年の修行にレベルアップもあり、俺は強くなれたと思ったのだがまだまだだと思い知ったのだ。
そう言うことを師匠に話すと、師匠に前の世界での発勁と言われるものを教わることになった。本来ならもう少ししたら教えようと思っていたらしいが、俺たちが師匠の予定よりも早く色々と出来るようになったかららしい
師匠に聞いた発勁の概念は勁と呼ばれる力とは違ったエネルギーを運用する技術だそうだ。何故、これを打撃が効かないが為に覚えるのかと言うと、力を使うのは未熟であり、力は身体を最大限に活用出来ていないとのことだ。そして、この発勁と言うものにも幾つかあり、その中の勁を相手に防御や頑丈さを無視して内部に浸透させて、ダメージを与えると言うものがあるからだ。
そしてこの1年はその発勁の習得に励んでいたのである。
発勁を習得するのは簡単なことではなかった。
まず、勁と言うものを理解することから苦戦し、力まないという所でも苦戦し身体制御が甘かったことを痛感し、寸勁と呼ばれる考え方に学んで実践した。勁を覚えた後に浸透させるということを行ったのだがそれ自体はすぐに出来た。
そして、勁を習得することで相手の力を完璧に流し切るということが可能になった。筋肉の弛緩と緊張を駆使して行うのと地面に逃がすというものだ。
そして今日は発勁を習得することが出来たので今日からダンジョン攻略を再開することになっている
そんな訳で朝の鍛錬をソウマと地下室で行っていると師匠が濃い青色の髪の毛の顔に深いシワを刻んだ顔を見たならお爺さんと言っても良い筋骨隆々の人を伴って階段を降りてきた
師匠と一緒に来た人の腰に下げられた剣から控えめだが確かにキーンという音が発せられている
「お前ら、ちょっとこっち来い」
師匠に呼ばれたので向かう
「この爺さんは俺の恩人の元SSSランク冒険者、《剣鬼》ギュル アフリードだ。
爺さん、こっちの金髪が俺の息子のソウマで隣の銀髪が弟子のクウガだ」
「「よろしくお願いします」」
「ほっほ、礼儀正しいの~、こちらこそよろしくの」
ギュルさんはそう言って微笑むと直ぐに表情を真剣なものに改めて師匠に話しかける
「アイト君や、早速確かめてみても良いかのう?」
「ええ、お願いします」
「では」
師匠たちが何かを話したらギュルさんが改めてこちらに向き直り、腰から剣を鞘ごと取り外してこちらに差し出して
「クウガ君にソウマ君よこの剣を鞘から抜いてみてくれんか?」
「ん?なんかあんのか?」
とソウマが聞く
「ああ、これはの意識ある武器と呼ばれるものでの、この剣が使い手を選ぶんじゃよ」
「あ!勇者武器とか宝具とも呼ばれる物ですね!」
俺がそう言うとギュルさんは頷いてくれる
「それでの、儂は現在全く戦えんという訳ではないが老いとは怖いものでの体が思うように動かんくて、隠居しとったんだが。この剣が次の担い手を決めた時の反応を示しての、探しとったんじゃがその担い手がお主ら2人のどちらかなんじゃよ」
「どうすればわかるんだ?」
「この剣が鞘から抜くことが出来れば、その者が担い手だ」
「ふーん、まあ多分クウガだろ。早く抜いてみろよ」
肘で俺のことを突きながらソウマが言ってくる
「何故そう思うんじゃ?」
「勘だよ」
俺はギュルさんから剣を受け取り剣を横にして持ち、柄の部分を握り鞘から引き抜く
「わぁ」「おお~」
鞘から抜ききると剣が光り出して、数秒すると光は収まった
「これでその剣、アギスの担い手はクウガ君となった。クウガ君以外には鞘から抜けんし、クウガ君の許可なく使えばナマクラと化す。それと念じれば離れた所から手元に呼ぶこともできるぞ」
「よかったな!クウガ!」
ソウマが背中をバンバン叩いきながら言う
「ああ!」
俺はソウマにそう返してアギスを鞘に仕舞う
「それでなクウガ君よ、これは相談なんじゃがな、君はアイト君の弟子だがアイト君の専門は剣ではないじゃろ?だからの儂に剣を教わらんかの?」
そう言われ俺は師匠を見ると頷いてくれたので
「はい!お願いします!」
「おう!任せなさい!そうじゃの~師匠だとアイト君と被ってしまうからギュル爺とでも呼んどくれ」
「あ!俺もギュル爺って呼んで良い?」
「おう、良いぞ~。はっはっは」
そうソウマに返事をし、豪快に笑う
なんかまたとてつもない師匠が出来てしまったようだ
ギュル爺に師匠となってもらい、早速今日から剣術の稽古が始まった
ダンジョン攻略はまた延期だ。ソウマは剣は使わなくて良いそうで、今はミネラに行って冒険者見習いとして街中のお手伝い系の依頼を受けに行った
冒険者は15歳から登録ができる。15歳未満で依頼が受けたいなら冒険者見習いとなって依頼を受けることができる。依頼と言っても街中のお手伝い系だけなのだが。
そんな訳で今は地下室にギュル爺と少し離れた所にラキアが座って見ている
ガリバーン戦のあとからラキアは常に人型で召喚されている状態になっており、俺のお世話とかやってくれたり、こうして俺の修行とかを見ている
「よし、では始めようか。その前にクウガは今まで剣は使ってきたのかの?」
君呼びは弟子にするということでなくなった。ソウマも君呼びではなくなったが
「はい、召喚獣が剣を出す能力を持ってたので。剣の基本的な使い方は師匠に教わりました」
「ふむ、召喚獣がとな?ちょっと見せてくれるかいの?」
「大丈夫ですよ」
心話を使いラキアに剣を出してもらう
「ほう、これまた美しい上に強力だのう。それに片刃か」
「片刃だと何かあるんですか?」
ちなみにアギスは両刃だ
「いやの、両刃と片刃では目的が少し違っての、片刃は斬るということに主眼を置き、両刃は叩き斬るということに主眼を置いておるのじゃ」
「つまり、扱い方が違うということですか?」
「そう言うことじゃ。まあ、達人であれば両刃の方でも叩き斬るのではなく斬ることはできるがの。まあ、そこを目指して行けばいいじゃろ」
「わかりました!頑張ります!」
「おう、その意気じゃよ」
色んなことを出来るようにして、強くなるんだ!
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