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2章
67:学園への襲撃
しおりを挟む「兄さん、こっち終わったわ」
「こちらも終わりました」
渡された分の書類整理が片付いたので兄さんに声を掛ける。丁度いいタイミングでメアリーも終わったみたい
「お疲れ様。今日の分はそれで全部だから上がっていいよ」
「わかった。それじゃあ先輩方、残りも頑張って下さいね。お疲れ様でした~」
「お疲れ~」
先輩方へと挨拶して生徒会室を後にする
「メアリー、もう直ぐお昼だから先ずは食堂に行こう。昼食、食べ終わったら買い物ね」
「また買い物行くの?3日前くらいにも行ったじゃない」
「えー、お買い物楽しいじゃん」
んー、メアリーってこういう所ちょっとズレてるのよね~
「あたしはあんまし楽しくないんだけど。剣とか振ってた方が楽しいし」
「またそんな事言って、そんなんじゃ好きな男の子に振り向いてもらえないぞ」
「べ、別に好きな男子なんていないよ!」
ふふふ、隠してるつもりなんだろうけど言葉は最初どもっちゃってる上に語尾が上ずってるからかなり分かりやすい
それに、視線を追って誰なのかも分かっている。丁度本人がいない事だしはっきりさせてしまおうかな
「本当かなー?」
決まり悪げに私から顔を背けるメアリー
「あ!ソウマ!」
「え!?」
私のついた嘘にビクッと反応し、他所行きの物に変える
本当に分かりやすい
「やっぱり、ソウマか~」
とニヤニヤとした笑みをメアリに向ける私。ていうか、これソウマの移った?
「え、えっとね、ナキア、別に奪おうとか思ってないし、あわよくば側室くらいになれたらいいなとか思ってないから!ちゃんと諦めるから!」
あら、ちょっといじめが過ぎたみたい。本気の涙目でメアリーが私に訴えてきた
「そんなつもりがないのは分かってるよ。でも、諦めなくても良いよ?メアリーなら良いよ。正妻は譲らないけど側室は許します。お手伝いもしちゃうから」
と言って抱きしめてあげれば小さな嗚咽を漏らしながら泣くメアリー。もう、可愛いんだから。メアリーは根が純粋なのよね~頭を撫でてあげれば気持ち良さそうにする
「それにしてもやっぱりメアリーもソウマね」
「あたしも?」
おっと、考え事が漏れてたか
「えっとね、ソウマには大体クウガも一緒でしょ?」
「うん」
「それでね、2人とも美形で強いから助けられたり、一緒に活動したりとかして、惚れちゃうのは不思議じゃないんだけど」
そう、それについては不思議ではない。というか私はソウマに助けられて幼いながらに惚れてしまったわけで
「惚れられるのは一部例外を除いてソウマなのよ」
「へー、それは凄いね。あ、でもその気持ちなんとなくだけど分かるよ」
「本当?」
メアリーはこの不思議現象が分かるらしい
「クウガは人間味が薄いって言うか、在る世界が違う感じっていうのかな。それと、自分では釣り合わないって思ってしまうんだよね」
あー、成る程ね。確かに人間味が薄いって言うのは分かるかも。目が冷たいんだよね。感情を表に出したりしてる時は普通なんだけど、隠すと全然わからない
「それに比べるとソウマの方は安心できるって言うかあれよね、欲望漏れてるわよね」
「ふふっ、確かに欲望は漏れてるよね、偶に胸に刺さる視線が」
メキャ
「あ、い、い、い、痛い痛い痛い。ちょっ、ナキア痛いってば!ごめんって!ワザとか知らないけど身体強化使ってアイアンクローは駄目だって!」
痛みに藻がいた反動でメアリーの、私よりも大きいソレが揺れるのを目にして更に腕に力が入る
暴れたら更に力が入れられることを悟って痛みに耐えながら大人しくして許しを請うてきたので許してあげた
「うー、頭割れるかと思った」
自業自得でしょ。メアリーが胸の話なんて……
メキョメキョ
「え!? 何で!? また!? あたし何も言ってないのに~」
おっと、今のは唯の八つ当たりになってしまう。まあ、八つ当たりで当たってるんだけど。だって、私のは……何でこんなに理不尽なのよ~
そんな感じで和気藹々?としながら人の疎らな食堂に行き、食事を摂った
そんな何でことのない何時もの風景、時間
不測の事態と言うものはそういう時にこそやってくるもので
グオォォォォォォ!
大気が震え、巨大な音の波が押し寄せてきた
そして、次の瞬間
ドドドドドドドドドド!
雨が窓に当たるような感じで物凄い爆音が鳴り響き
次いで、バリーンと何かが割れる音が学園に、いやこのアルクス中に響き渡った
割れた物、それはこの都市を守るための結界、障壁だ。そして、鳴らされる緊急事態を都市へと知らせる警報音
念のためにと素早く私の隣に移動するメアリー
私はそんなメアリーを視界に捉えながらソウマとの連絡用のマジックアイテムにこちらの緊急事態を知ららせる為の操作をし、この都市を襲った者達の一部を食堂の窓から見ていた
見えたのは無数に空を飛行するドラゴン。姿、大きさ、色はバラバラだ
ドラゴン。それは大いなる力の象徴
どうやら、そんな存在が数えるのも億劫な程現れてこの都市を守る結界へと咆哮を合図に一斉に攻撃したらしい
結界は防衛の為に強固に作られている。しかし、その結界でさへ耐えきれなかった
あれだけのドラゴンの襲撃だ。あれを使役することが可能な者は邪神の側に付く者以外では一握り、その人達がここを襲うことはありえない
とすれば、敵は邪神側の勢力。どこの魔王で何が目的?
取り敢えずは兄さんの所へ向かおう。ソウマとクウガには連絡を入れたから直ぐに戻ってくる。その間の避難や防衛について話し合おう
「急いで生徒会室に行くよ」
「はい」
そうメアリーに言い、食堂の出口へと向かう
周りでは生徒達が急にドラゴンの大群に興奮したり、絶望したり、警報音に焦りを見せたりしている幸いパニックには陥っていない
そんな生徒達を尻目に歩みを進めた。ここで私のような王女という上の立場の者が走るのは良いことではない。だから歩く
そうして、出口まで10mといった所まで来た時
それは食堂の出入り口に姿を現した
それが現れたの瞬きの間という、一瞬の間
黒のフード付きローブをその身に纏い、顔はフードを深く被っていて見えない。その存在が手に持つは鈍く光る短剣
この状況から考えてこの見るからに怪しい奴は敵。だから直ぐ様戦闘態勢を取ろうとした
しかし、敵の実力はかなりのものだった。私が反応できないのは兎も角、兄さんともそれなりに渡り合えるメアリーでさえ反応出来ぬ一瞬の内に開いていた距離を詰めてしまった
短剣が私の首元に反応が出来ない程の速さで繰り出された。この速さではメアリーにも対処は不可能な筈だ。私は確実な死を感じ取った
キィン!
けれど、私に死をもたらすはずだった短剣は目の前に割り込んできた新たな存在によって甲高い音を立てながら弾かれた
私の反応速度を超えた攻撃を、それを遥かに上回る速度でこの場に現れて持っていた槍で弾いた
その後ろ姿は私の大好きな人
ソウマだ
私をいつも助けてくれる
普段のふざけた感じは無く、漏れ出た金の魔力が揺らめいて大気を歪ませている
感じられる感情は怒り
私を傷つけようとした相手への怒り
私は、こんな時でもそのことに対して嬉しさを感じでしまっている
そして、敵の首が落ちた
そう、首が落ちたのだ。魔力の起こりなど無かったこととソウマの持つ槍に最初は付いていなかった血が付いていることから、その槍を振るい首を落としたのだ察する
脳の理解を超越した速さ。私が目で追えてしまう程度の速さしか持たない敵など話にならない
やっぱりソウマは規格外よね
「大丈夫か?」
「ええ、何ともないわありがとう」
「間に合って良かった」
そう言って愛おしげに私をその黒の瞳で見つめながら優しく頭を撫でてくれる
少しだけ、ほんの少しだけ、無理していた気持ちが緩みそうになった。けれど、まだ気を抜いていい時ではない
「ソウマ、外はどうなってるの?」
「ん?ああ、もう外は気にしなくて良いぞ。クウガがもう始めてるからな」
「そう、どうにかなるってことね?」
「ああ。校舎からは出んなよ。俺はもう行く」
そう言い出口から出て行こうとするソウマに声をかける
「わかったわ。気をつけてね」
返事はせず、手をひらひらと振って外へと行ってしまった
強いのは知っていてもやはり心配にはなってしまう
「ナキア、ごめんなさい。ソウマくんが来てなかったら」
涙を流しながらそう言うメアリー
「泣かないで。私なんか動くことも出来なかったんだから」
「でも!私はナキアを守る為にいるのに!それなのに!」
自責の念からだろう。メアリーの責任感は強い。そこは美徳でもあるが
「もしもの話なんて良いの。責任を感じてるなら強くなりましょう。私も頑張るから」
優しく、だけどもしっかりと手を握って語りかける
「うん」
暫くしてメアリーが泣き止んだ。するとそれはそれは心配そうに
「グスッ。ごめん、もう大丈夫。それよりソウマくんは大丈夫なの?」
ん?別にソウマ達なら……
あー、そうかメアリーはソウマ達の本気を知らないんだった
「大丈夫よ。ソウマ達の強さはとんでもないから」
そう笑いながら安心させるように言ってあげる
「本当に?」
「本当よ。そうだ、生徒会室に行こう。あそこなら外がよく見えるはずだから」
私の言ったことを信じられていないメアリーの腕を掴んで生徒会室に向けて歩みを進めた
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