Heroic〜龍の力を宿す者〜

Ruto

文字の大きさ
89 / 122
2章

87:裁定者の試練

しおりを挟む

周り一帯が真っ黒な場所を

前方から差し込む光で作られた道を行く

その道程は孤独で、長くて、心細くて

けれども、前から差し込んでくる光が。時折周りに現れては消える光が

俺の足を前へ前へと進ませる

ただ、前に進む

それだけの事なのに次第に足が重くなる

足が下に沈んでいくような感覚

さらに闇が形を成し、足へ、腕へ、体へと巻き付き動きを阻害する

それでも俺は、歩みを止めはしない

体に巻き付く闇を引き千切り、沈む足を持ち上げて、前へ

闇が巻き付いては引き千切りを繰り返し、途中から痛みを感じるようになっても止まらない

巻き付いてくる闇は怖いし、引き千切る時に感じる痛みは激痛だ。もう、止まってしまおうかと考えるくらいには

だけど、その度に光が見える

俺が進む道を照らす真っ白に輝く光が

俺を励ますように現れては消える青や緑などの色をした光が

そして、己の内側。その奥の底から前に進めと、そう声が聞こえる

痛みに耐えるために下がっていた目線を上げ、前方を、進むべき場所を見据える

そこは遠く、決して辿り着く事など出来ない様に思える

でも、俺はそんな不可能に思える所を目指している

弱気になどなったら、この歩みを止めてしまったら、それこそ決して辿り着く事など出来やしない

だから1歩

また1歩

足を前へと踏み出す

闇を引き千切る時の痛みなどもう感じない

己の全てを前に進むために

歩いて遠く感じる道なら

走ればいい

全力で走ればいい

俺を拘束しようと伸びる闇を置き去りにして俺は駆ける

速く、もっと速く

ただ光のその先を目指して走る

そして……



~~~~~~



暗い水の底から浮上する様なそんな感覚と共に意識がはっきりとしてきて、目を開けた

そうして、現状を把握する

辺りを見回せば、そこは森

木々が青々と生い茂り、木々の隙間から差し込む光が影を作り、風で木が揺れる。魔物か動物か何かの声がかすかに聞こえる

そんな何処にでも有るような景色を眺めていると

「誰かー!助けてー!」

そんな悲鳴が聞こえた

俺はそれを聞いて直ぐに、悲鳴が聞こえた方向に走り出した

乱立する木々を右へ左へと避け、森を駆け抜ければ街道へ

そこでは1人の女が6人の男達に襲われる寸前だった

そんな光景を視界に捉え、走る速度を上げて、今正に襲いかからんとしていた男と襲われそうになっていた女の間に入って男を蹴り飛ばす

ドンッ! 「ぶぎゃ!」

女を自分の後ろに庇うように立つ

しかし

女を庇うようにして立ち残りの5人の男達を相手にしようとした瞬間

が繰り出された

後ろに庇った女からの攻撃だった

さっき迄のが演技だった事に驚きはしたが、躱せないはずは無かったのだ。風を切る音と殺意を感じ取った

ドスッ 「一丁上がり~」

しかし、俺の体は何かに押さえつけられたように動かず、ナイフをくらってしまった

避けれた筈の攻撃。けれど俺は

今行なっているのはセルフィアトの試練。セルフィアトはこう言っていた。ある男に突きつけられた選択と似たようなものを体験してもらうと

つまり、この女からの攻撃は必ずくらうものという事。この試練の元となった男の人はこの攻撃をくらったということだろう

取り敢えず、ここに居るのは全員敵だ

ナイフには毒でも塗ってあったのだろう。女はもう終わった気でいて、緊張など欠片もしていないので女からだな

腰に差していた剣を抜き、手早く処理しようとするが、剣のある筈の場所には剣が無く、俺の手は空を切った

見てみると先程まで、渦の中に入る前はあったのが無くなっていた。それによく見たら服も違うものになっている

まあ、今はそんな重要なことでは無い。幸い体は問題ない。ならば徒手空拳で倒せばいいだけの事

女によってナイフが吹き抜かれるのと同時に右回りに反転をしながら跳び上がり、蹴りを女の頭へ。ゴキッと音がして、首がへし折れ生命活動を停止する

女を蹴った左足から着地を決め一瞬の上に予想外の事で驚き呆けている男どもに攻撃を加える

ここは手早く正確に女と同じように首をへし折っていく。殴って、握り潰して、蹴って

確認のため1人を残して全員を殺した。ここに居たのが全員ならこれで終わりだし、まだ居るのならついでに片付けてしまおう

このやり口は助けようとした善良で勇気ある人が報われない

だから、潰す



~~~~~~



アジトの場所を聞き出して全員が帰ってきた所を襲撃し、盗賊団は壊滅させた

今は街道を進んでいる

これはセルフィアトの試練だ。盗賊団を壊滅させた所で終わるのかと思ったのだが、まだ終わらない

アジトに居座ってもしょうがないと思ったので動いているだけ

捉えられたりした人などは居なかったので1人で街道を進む




どのくらい歩いただろうか、道具はないし、アイテムボックスも使えず、時計がないので正確な時間が分からない

まあ、結構な距離を進んだ所でまたトラブルだ

今度は何か馬車が此方に来ているのだが、その馬車はどうやら襲われている模様。全身甲冑を着込み馬に乗った見るからに騎士な人が5人ほど馬車に攻撃を加えており、馬車の方は御者の1人と、中に乗っている1人が応戦している状態

俺は迷う事なく駆け出した

さっきの盗賊の件もあったので警戒するべきなのだろうが、即座に観察は終え、確信を持ったので行動に移した

先ほどの盗賊の時は、観察する為に必要な少しの時間すら無かった

今回はまだ絶体絶命と言うわけでもなく、どちらを助けるべきかも分かりやすかった

騎士達の下劣な表情

御者をしながらも戦う男性の何かを背負い、守る時の表情

馬車の中から戦う人は女性

もう、これだけあれば判断材料としては十分だ

馬車は此方に来ているので俺が馬車に向かって走れば距離がグングンと縮まっていく

御者の人は騎士への対応で手一杯で片方の騎士の攻撃を止め、背後から騎士が攻撃を繰り出した

このままならば、御者の人は剣でバッサリと斬られて死んでしまうだろう

まあ、俺がそんな事はさせないのだが

剣で斬撃を飛ばす時の応用で拳によって空気の塊を打ち出し、御者の人へと後ろから斬りかかろうとしていた騎士に飛ばした

ボッと音を立てて、俺の拳打によって打ち出された空気の塊が騎士に直撃。鎧を盛大に凹ませながら騎士は吹き飛んでいく

突然、1人の騎士が吹き飛んだ事で御者も他の騎士達も周りを確認し、俺を発見したら警戒を露わにする

御者の人には後で説明するとして、片付けを終わらせよう

馬車は止まらずにまっすぐ進んでくる。交差する前に俺から見て右側を先程と同じように空気の塊を打ち出して始末する

今度は全員が俺の方を見ていた為何かをしたのはわかった筈だ。だが、空気の塊は見えにくい。右側にいた騎士達は避けきれずに鎧を破壊されながら転がっていく

そして、馬車と交錯

「死ね!」

という言葉と共に斬撃が俺に繰り出されるが、それを体を僅かにズラすのみで避け、手刀で鎧の隙間を切断して首を刎ねる

「ひっ、ひいぃ!」

最後の騎士は自分以外の奴がやられたことに気づき逃げようとする

が、騎士は馬に乗っており急な静止に反転は不可能。何とか止まろうとした騎士へ向けて跳び上がりながらの回転蹴りをお見舞いした

このまま死体を放置すれば通行の邪魔になるだろうと思い、道の脇に移動させれば、馬車が戻って来た

馬車は俺の横で止まり、扉が開く

中から出て来たのはドレスを来た、陽の光を浴びて光る金の髪を持つ少女。年は15か16くらいだろうか

「助けて下さりありがとう御座います。私はアイリス・ラル・ウルシャギナ。ここウルシャギナ王国の第2王女です」

助けたのは王女様だったみたい

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

異世界と地球がダンジョンで繋がった ー異世界転移者の私ー

黒木夏
ファンタジー
2040年の初春、突如として地球上の主要都市に謎のダンジョンが出現した。 その特異性は明らかで、人口密集地を中心に出現し、未開の地には一切現れないという法則性を帯びていた。 人々は恐怖に震えつつも、未知なる存在に対する好奇心を抑えきれなかった。 異世界転移した最強の主人公のほのぼのライフ

処理中です...