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第一夜 課長とAV談義で盛り上がった結果。
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ーーで、シャワーを浴びた後、課長の熱視線にほだされた私は今、あられもない姿で彼のベッドに組み敷かれている。
「ん、ぁ、あ、かちょ、いぃ……」
今井課長は執拗なくらい私の胸を舌と手で愛撫しながら、ときどき内股をさすりあげる。
「やだなぁ。こんなときくらい、課長呼びはやめてよ」
つつつ、と手が内股を下りていき、一瞬割れ目をこすった。
甘い刺激への期待に思わず腰が浮く。
「は、ぁん……」
私の口から漏れる声は、さっきまで聞いていたりのちゃんのそれよりも甘い。
それを喜ぶかのように、課長は私の唇を吸った。
舌がぬるりと唇を割り、優しく私の舌を愛撫したかと思うと吸い上げ、歯の内側も外側も、くまなくゆっくりと舐め上げる。
ああ、なんか……いただかれてる、って感じ。
久々の感覚に、またふるりと身体が震えた。
今井課長の経験は一人二人じゃ利かなそうだけど、私の男性経験は一人しかない。
それも高校のときの同級生で、つき合い始めたのはハタチの頃。就職後少しした頃、互いに生活が合わなくて別れた。
私にAV女優なんて教え込んだのは、そいつだ。
まあおかげで、別れた後は男漁りに励むのではなく、動画漁りに励むことになったわけだけど。
「あ、ゃ……」
それにしたって、私こんな声出してたっけ?
今井課長の愛撫に身体がぐずぐずになってきているのがわかる。
誰かにさわられるのって……こんなに、気持ち良かった?
「エロいなぁ」
今井課長は私の胸元で囁いた。その声はいつも以上に艶がある。
「美奈ちゃん、誰にもこんなになっちゃうの?」
いつもと違う乱暴な言葉づかいに、腰が痺れる。
「そ、そんなこと……」
課長で二人目なんでわかんないです! ……と言うと引かれそうな気がして、言えない。
もうこの頃には、これで終わりね、と突き放されたらどうしよう、というおかしな心配をし始めている。
だって。
……今井課長に求めてもらえる日が来るだなんて、考えてもいなかったから。
シャワーを浴びながら、私なりに心を決めたのだ。
私たちは上司と部下。
今井課長のことだから、きっと大人のつき合いと割りきっているんだろう。
だったら私も割りきって、一晩、楽しませてもらって、何事もなかったかのように振る舞おう。
ーーこの想いは、決して口にしないで。
今井課長の手が、私の腰下に入っていく。
私は腰を浮かして、彼の手が動きやすくした。
「……そういうの、エロいって」
今井課長の声が、だんだんと余裕をなくしていく。
それが嬉しくて、また濡れた。
触れられてもいないのに、私のそこはもう十分に潤っていて、彼からの愛撫を待っている。
「だ、って……」
さわってくれるのなら、どこにでもさわって欲しかった。
一晩の思い出。それでも、彼が触れてくれたところから、素敵な女になれる気がして。
魅力的な女に、なれる気がして。
「美奈ちゃん」
「あぁ……」
漏れる吐息が甘い。
恥ずかしさに手で口を覆った。
「聞かせてよ」
優しい課長の声がして、私の手に口づける。
うわあ。王子様みたい。
一晩限りのお姫様気分。
せつないのに、きゅんと締まった下腹部が彼を求めて疼いた。
彼の唇が私の口から、下へとむかう。
膝を曲げられ、内股にもキスを落とされ、恥ずかしさに身体をしならせた。
「美奈ちゃん。美奈子」
つぶやきながら、課長の唇はすこしずつ、茂みの近くへと進んでいく。
「なんて呼ばれたい?」
私は答えられずに顔を覆った。
「可愛いな」
ひそやかな声がしたとき、ぬぷ、とそこに指が入る。
「は、ぁ」
声が一段と甘くなった。
「すごい……トロトロだよ」
くちゃ、くちゅ、ぴちゃ、ぬちゃ……
指先の動きに合わせて、水音がわずかに変わる。
「美奈ちゃんはどこが好きなの」
ゆっくりと繰り返される挿入が、気持ちいいのに物足りなくて、私は喘ぎ声を吐息に変える。
「美奈子」
「ぁっ……」
囁くような声が、愛おしい人を呼ぶように、私の名を呼ぶ。
それだけで、感じた。
課長がくつくつ笑う。
「美奈子、って呼ばれるのがいいんだ」
「ち、違、そういうわけじゃーーぁあん」
「可愛い。はやく挿れたい。美奈子。ーー美奈子」
「あ、駄目……そん、ぁあ」
私の中をかきまわす指がまた増える。ぬぷ、くちゃ、とたつ音が耳を犯し、恥ずかしさに首を振る。
「美奈子、可愛いよ。気持ちいい?」
優しい課長の声が、耳元で囁く。
声の優しさとは裏腹に、私の中心を暴く指は狂暴なくらいに動いていて、そのギャップにぞくぞくする。
「は、ぁん、かちょ、」
「義之」
「ぇ?」
「よしゆき、って呼んで。よしくんでもいいよ」
至近距離に整った微笑みがある。弓なりに細められた目が私を見つめていた。
きゅん、とまた内側が絞まる。見惚れていると、唇にキスが下りてきた。
「ね、呼んでよ。俺も呼ばれたい。お願い」
甘えるような声で言って、ちゅ、ちゅ、と頬にキスを落とす。
「よ、よしく、ん」
何も考えられなくなって、彼を喜ばせたくて、私は半ば回らなくなった呂律で、求められるがままに呼んだ。
一瞬、彼の動きが止まる。
「え? ーーんぅ」
何もいわずに始まった深い深いキス。音ではなく快感を与えることに切り替わった指の動き。奥へ、脇へと刺激を与えながら、私のいいところを捜し当てる。
「ぁあ、はぅん、ん」
思わず漏れる嬌声は、彼の唇で塞がれた。
鼻から抜ける声の甘さを抑えたいのに、うまくいかない。
こんなに甘い声を出していては、伝わってしまうのでは。
そんな気がして、焦った。
好き。……課長が好き。
唇を塞がれていることを幸い、心の中で言ってみる。
切なさと愛しさが込み上げて、快感がますます強まった私は、課長の首に腕を絡めた。
課長の目が、一瞬驚いたように開いた後、また弓なりに細められて、閉じられる。
互いの唇の甘さを確認するように、目をつぶったままのキス。ぬれそぼった私の中心が、指よりも質量のあるものを求めて、腰が浮く。
「ぁん、よしくん、もっと……」
「なに? どうしてほしいの?」
優しい声は意地悪なことを言う。
それがまた私の欲情を煽った。
「欲しい……よしくん、を、ちょうだい?」
目が潤んでいるのは生理的なものだ。これは一夜の夢だと割り切れば、彼の目を見つめるのも怖くなかった。
なんていい夢。
毎日でも見たいくらい。
「いいよ。美奈子にあげる」
課長は笑って、私の頬にキスをし、そのまま耳元で囁いた。
「いくらでもあげるよ。美奈子が満足するまで」
私の身体が震えた。
課長はベッド脇からゴムを取り出して自身につけると、私の膝あたりを撫でながら蜜壺の入口を上下した。
私からあふれたぬめりをこすりつけている。
そう思うだけで、私は感じてしまう。
課長のそれが、蜜壺の上にある突起をかすった。
「ぁん」
ぴくんと震えた身体に、課長が笑う。
「可愛い」
言って、そこを親指で優しくさすり始めた。
同時に大きな熱の固まりが、蜜壺の入口に宛がわれる。
ほんとに、繋がっちゃうんだ。
……私と、課長。
思っただけでそわそわして、ぞわぞわして、恥ずかしくなってまた顔を手で覆った。
課長は笑う。
「どうしたの。恥ずかしいの?」
「は、恥ずかしいですぅ……」
甘えるような声音も語調も無意識だ。それすら恥ずかしい。
「恥ずかしがる美奈子も可愛いよ」
言いながら、課長は腰を進めた。ゆっくりと、私の中を満たしはじめた質量に、思わず腰が逃げそうになる。
課長の両手が、私の腰を押さえた。
ずぶずぶずぶ、と、深くなっていく接合。ときどき、びくん、びくん、と課長のそれが反応する度、私も思わず内側を締め付けた。
「美奈子……」
課長は目を閉じて、また優しく私を呼んだ。
全身全霊でそのつながりを感じているらしいとわかり、私も思わず喘ぐ。
元彼とは全然違う長さに、どこまで入っていくんだろう、なんて頭をよぎったとき、課長の動きが止まった。
あ、全部繋がったのかな。
思って、きゅん、とまた締め付けると、課長もぴくりと反応する。それがまた、私の内側を刺激して、もう一度内側が絞まる。課長が笑った。
「やめてよ……気持ちいいから」
「い、いいなら、いいじゃないですか」
言いながら、また私の中がぴくんと蠕動した。彼のそれもぴくんぴくんと反応し、ぁ、とかすかな声がする。
うわぁ、色っぽい。
いつもセットしてある髪のしどけなさに、ワイシャツとは違う部屋着の首元に、どこか甘い瞳にときめく。
好き、とまた言いそうになって、両手を伸ばした。
課長は笑って、私を抱きしめてくれる。
その温かさに、勘違いしそうだ。
私を好きなんじゃないか、って。
私がぎゅっと抱きしめると、課長は私の鎖骨にキスをし、耳後ろにキスをして、囁いた。
「美奈子」
「はぁ、っ」
呼ばれるだけでぞわぞわと身体中を快感が走る。涙が目尻に浮かんだ。私の中に入った課長の熱が腰までじんじんと広がる。動かずいるのは私を気遣かってのことだろうか。はやく刺激がほしくて、思わず腰が浮く。
課長はくつくつ笑った。
「せっかち。繋がってるの、感じてたくない?」
「ぁあ、ん、でも」
「気持ち良くなりたいの?」
問われてこくこく頷くと、課長は私の脇に両手をついた。
「仕方ないなぁ」
言いながらもその表情は嬉しそうだ。
少年のようなその笑顔にも、私はときめいて切なくなる。
課長がゆっくりと腰を動かし始めた。
課長の長いそれが、私の入口をゆるゆるとこすりあげる。
ただ前後しているだけなのに、内側をくまなく愛撫されているように感じた。
つぷーーじゅぷ、つぷーーじゅぷ
あくまでゆっくりと、私の内側を堪能するかのように動く。
「はぁーー」
やばい。吐息にハートマークが飛んでる気がする。
気持ち良すぎる。幸せすぎる。
互いに想い合っていた元彼とすら、こんなに気持ち良くなったことなんてないのに。
「ぁあ、あーーよしくぅん」
明日になったら忘れよう。絶対、全部、忘れよう。
旅の恥はかき捨て。ベッドの恥もかき捨て。
そうしようーー自分を律するにはあまりにも、快感が強すぎる。
「美奈子ーー美奈子」
ぬぷーーぶつーーじゅぷーーつぷ
「は、ぁ……」
なんか、あれみたい。
りのちゃんが出てた、スローセックスの動画。
あれを見たのは彼氏と別れた後だったけど、そんなに気持ちいいのかなぁなんて、いつかしてみたいなぁなんて、思ってた。
思ってた、けどーー
「は、ぁ……」
こんなにいいだなんて思わなかった。
そんでもって、相手があの課長だなんて、さらに夢にも思わなかった。
ぬぷーーじゅぷっーーぬぷーー
「っう……ぁ、いい……」
課長の声に艶が増す。
こんな声、一度聞いたら忘れられない。
明日以降はつつしんでオカズにさせていただこう。
「ぁあん……かちょ……よしく、ん」
言い換えたことに気づき、課長が笑う。その振動が直接中へと伝わって、ああ繋がっているんだなぁとまた思う。
「気持ち、いいね、美奈子」
「ぅん、うん、気持ちいいーーはぁ」
満たされていく。こんなに枯渇してたなんて。恥ずかしいくらいだ。
でも。
「よ、よしくん」
「なぁに?」
優しい声。
「も、そろそろ、激しいの、が欲しい……」
課長は意地悪な笑顔を浮かべた。
「美奈子のえっち」
「だぁ、って、ぁ」
ちゅ、と胸のいただきを吸い上げ、舌先で転がし、もう片方は手でつまんで、コリコリと刺激される。
「ぁあん」
「可愛いーー俺で感じてくれて、嬉しい」
だから、そんなこといわれると、勘違いしちゃいますって!
「は、ぁーーはやくぅ」
腰をくねらせると、課長が喉奥で呻いた。
恨めしげに私を見て、腰を固定するように掴む。
「そういうこと、しないの」
「なんで」
「煽られるから」
そりゃ、煽ってるもの。
言おうとした台詞は唇で塞がれ、かと思うと膝裏に両手を入れられて持ち上げられた。
ぐい、と肩まで私の膝を持ち上げて、課長ははぁ、と甘い吐息を出す。
「……ほんと、柔らかいんだね」
「え? ああ……」
いつだったか、会社で身体が柔軟だという話をしたことを思い出す。
その後の忘年会では、前屈や開脚を疲労した。ーーいや、もちろんズボンだったからよ?
「身体柔らかいと、いろんなプレイ楽しめそうだなぁ」
肩先に乗った私の膝にキスを落とし、課長が嬉しそうに目を細めた。
いろんな、って……
今晩、何回するおつもりで?
ちょっと引きそうになったとき、それを逃さないとでも言うように、課長の手が私の腰に添えられる。
体重をかけるように奥を突かれて、また私の嬌声があがった。
ぐりぐり、と奥を突く課長の一物が与える快感が、良すぎる。
「はぁ」
「深いね」
余裕をなくし、たっぷりと艶を載せた課長の声が囁く。
「奥まで入るーー」
ずぷ、ぐちゃ、と音がたった。
「ああ、もう」
言って、課長は私の足の付け根に手を添える。
「無茶苦茶にしたくなるーーすげぇ、気持ちいい」
だんだんと律動が早くなった。
ぱん、ぱんと皮膚の合わさる音が響き、ベッドが揺れる。
「ぁ、あ、あ、ん、はん、っ……」
私はゆるゆると首を振って、課長の頬に手を伸ばした。
課長が私のその手にキスをする。
愛されていると錯覚する。
今くらい、錯覚してても許されるよねーー
「可愛い、美奈子、美奈子ーーはぁっ」
彼が快感に集中するように目を閉じ、私もそれに倣う。
ゆさゆさと揺れるベッドはゆりかごのようなのに、私の奥を突くその卑猥な行為に、高ぶった。
課長の手が、改めて私の膝にかかる。より深いつながりを求めて思い切り膝を割られ、肩に引き寄せるように私の脚を掴むと、激しく腰を打ち付けた。
「はぁ、あ、は、はっーー」
「ぁ、あ、あんっーー」
「美奈子ーー美奈子」
「よしく、んーー義之さぁん」
「ーーっ!」
私が名前を呼んだとき、課長が私の中で果てた。
「ん、ぁ、あ、かちょ、いぃ……」
今井課長は執拗なくらい私の胸を舌と手で愛撫しながら、ときどき内股をさすりあげる。
「やだなぁ。こんなときくらい、課長呼びはやめてよ」
つつつ、と手が内股を下りていき、一瞬割れ目をこすった。
甘い刺激への期待に思わず腰が浮く。
「は、ぁん……」
私の口から漏れる声は、さっきまで聞いていたりのちゃんのそれよりも甘い。
それを喜ぶかのように、課長は私の唇を吸った。
舌がぬるりと唇を割り、優しく私の舌を愛撫したかと思うと吸い上げ、歯の内側も外側も、くまなくゆっくりと舐め上げる。
ああ、なんか……いただかれてる、って感じ。
久々の感覚に、またふるりと身体が震えた。
今井課長の経験は一人二人じゃ利かなそうだけど、私の男性経験は一人しかない。
それも高校のときの同級生で、つき合い始めたのはハタチの頃。就職後少しした頃、互いに生活が合わなくて別れた。
私にAV女優なんて教え込んだのは、そいつだ。
まあおかげで、別れた後は男漁りに励むのではなく、動画漁りに励むことになったわけだけど。
「あ、ゃ……」
それにしたって、私こんな声出してたっけ?
今井課長の愛撫に身体がぐずぐずになってきているのがわかる。
誰かにさわられるのって……こんなに、気持ち良かった?
「エロいなぁ」
今井課長は私の胸元で囁いた。その声はいつも以上に艶がある。
「美奈ちゃん、誰にもこんなになっちゃうの?」
いつもと違う乱暴な言葉づかいに、腰が痺れる。
「そ、そんなこと……」
課長で二人目なんでわかんないです! ……と言うと引かれそうな気がして、言えない。
もうこの頃には、これで終わりね、と突き放されたらどうしよう、というおかしな心配をし始めている。
だって。
……今井課長に求めてもらえる日が来るだなんて、考えてもいなかったから。
シャワーを浴びながら、私なりに心を決めたのだ。
私たちは上司と部下。
今井課長のことだから、きっと大人のつき合いと割りきっているんだろう。
だったら私も割りきって、一晩、楽しませてもらって、何事もなかったかのように振る舞おう。
ーーこの想いは、決して口にしないで。
今井課長の手が、私の腰下に入っていく。
私は腰を浮かして、彼の手が動きやすくした。
「……そういうの、エロいって」
今井課長の声が、だんだんと余裕をなくしていく。
それが嬉しくて、また濡れた。
触れられてもいないのに、私のそこはもう十分に潤っていて、彼からの愛撫を待っている。
「だ、って……」
さわってくれるのなら、どこにでもさわって欲しかった。
一晩の思い出。それでも、彼が触れてくれたところから、素敵な女になれる気がして。
魅力的な女に、なれる気がして。
「美奈ちゃん」
「あぁ……」
漏れる吐息が甘い。
恥ずかしさに手で口を覆った。
「聞かせてよ」
優しい課長の声がして、私の手に口づける。
うわあ。王子様みたい。
一晩限りのお姫様気分。
せつないのに、きゅんと締まった下腹部が彼を求めて疼いた。
彼の唇が私の口から、下へとむかう。
膝を曲げられ、内股にもキスを落とされ、恥ずかしさに身体をしならせた。
「美奈ちゃん。美奈子」
つぶやきながら、課長の唇はすこしずつ、茂みの近くへと進んでいく。
「なんて呼ばれたい?」
私は答えられずに顔を覆った。
「可愛いな」
ひそやかな声がしたとき、ぬぷ、とそこに指が入る。
「は、ぁ」
声が一段と甘くなった。
「すごい……トロトロだよ」
くちゃ、くちゅ、ぴちゃ、ぬちゃ……
指先の動きに合わせて、水音がわずかに変わる。
「美奈ちゃんはどこが好きなの」
ゆっくりと繰り返される挿入が、気持ちいいのに物足りなくて、私は喘ぎ声を吐息に変える。
「美奈子」
「ぁっ……」
囁くような声が、愛おしい人を呼ぶように、私の名を呼ぶ。
それだけで、感じた。
課長がくつくつ笑う。
「美奈子、って呼ばれるのがいいんだ」
「ち、違、そういうわけじゃーーぁあん」
「可愛い。はやく挿れたい。美奈子。ーー美奈子」
「あ、駄目……そん、ぁあ」
私の中をかきまわす指がまた増える。ぬぷ、くちゃ、とたつ音が耳を犯し、恥ずかしさに首を振る。
「美奈子、可愛いよ。気持ちいい?」
優しい課長の声が、耳元で囁く。
声の優しさとは裏腹に、私の中心を暴く指は狂暴なくらいに動いていて、そのギャップにぞくぞくする。
「は、ぁん、かちょ、」
「義之」
「ぇ?」
「よしゆき、って呼んで。よしくんでもいいよ」
至近距離に整った微笑みがある。弓なりに細められた目が私を見つめていた。
きゅん、とまた内側が絞まる。見惚れていると、唇にキスが下りてきた。
「ね、呼んでよ。俺も呼ばれたい。お願い」
甘えるような声で言って、ちゅ、ちゅ、と頬にキスを落とす。
「よ、よしく、ん」
何も考えられなくなって、彼を喜ばせたくて、私は半ば回らなくなった呂律で、求められるがままに呼んだ。
一瞬、彼の動きが止まる。
「え? ーーんぅ」
何もいわずに始まった深い深いキス。音ではなく快感を与えることに切り替わった指の動き。奥へ、脇へと刺激を与えながら、私のいいところを捜し当てる。
「ぁあ、はぅん、ん」
思わず漏れる嬌声は、彼の唇で塞がれた。
鼻から抜ける声の甘さを抑えたいのに、うまくいかない。
こんなに甘い声を出していては、伝わってしまうのでは。
そんな気がして、焦った。
好き。……課長が好き。
唇を塞がれていることを幸い、心の中で言ってみる。
切なさと愛しさが込み上げて、快感がますます強まった私は、課長の首に腕を絡めた。
課長の目が、一瞬驚いたように開いた後、また弓なりに細められて、閉じられる。
互いの唇の甘さを確認するように、目をつぶったままのキス。ぬれそぼった私の中心が、指よりも質量のあるものを求めて、腰が浮く。
「ぁん、よしくん、もっと……」
「なに? どうしてほしいの?」
優しい声は意地悪なことを言う。
それがまた私の欲情を煽った。
「欲しい……よしくん、を、ちょうだい?」
目が潤んでいるのは生理的なものだ。これは一夜の夢だと割り切れば、彼の目を見つめるのも怖くなかった。
なんていい夢。
毎日でも見たいくらい。
「いいよ。美奈子にあげる」
課長は笑って、私の頬にキスをし、そのまま耳元で囁いた。
「いくらでもあげるよ。美奈子が満足するまで」
私の身体が震えた。
課長はベッド脇からゴムを取り出して自身につけると、私の膝あたりを撫でながら蜜壺の入口を上下した。
私からあふれたぬめりをこすりつけている。
そう思うだけで、私は感じてしまう。
課長のそれが、蜜壺の上にある突起をかすった。
「ぁん」
ぴくんと震えた身体に、課長が笑う。
「可愛い」
言って、そこを親指で優しくさすり始めた。
同時に大きな熱の固まりが、蜜壺の入口に宛がわれる。
ほんとに、繋がっちゃうんだ。
……私と、課長。
思っただけでそわそわして、ぞわぞわして、恥ずかしくなってまた顔を手で覆った。
課長は笑う。
「どうしたの。恥ずかしいの?」
「は、恥ずかしいですぅ……」
甘えるような声音も語調も無意識だ。それすら恥ずかしい。
「恥ずかしがる美奈子も可愛いよ」
言いながら、課長は腰を進めた。ゆっくりと、私の中を満たしはじめた質量に、思わず腰が逃げそうになる。
課長の両手が、私の腰を押さえた。
ずぶずぶずぶ、と、深くなっていく接合。ときどき、びくん、びくん、と課長のそれが反応する度、私も思わず内側を締め付けた。
「美奈子……」
課長は目を閉じて、また優しく私を呼んだ。
全身全霊でそのつながりを感じているらしいとわかり、私も思わず喘ぐ。
元彼とは全然違う長さに、どこまで入っていくんだろう、なんて頭をよぎったとき、課長の動きが止まった。
あ、全部繋がったのかな。
思って、きゅん、とまた締め付けると、課長もぴくりと反応する。それがまた、私の内側を刺激して、もう一度内側が絞まる。課長が笑った。
「やめてよ……気持ちいいから」
「い、いいなら、いいじゃないですか」
言いながら、また私の中がぴくんと蠕動した。彼のそれもぴくんぴくんと反応し、ぁ、とかすかな声がする。
うわぁ、色っぽい。
いつもセットしてある髪のしどけなさに、ワイシャツとは違う部屋着の首元に、どこか甘い瞳にときめく。
好き、とまた言いそうになって、両手を伸ばした。
課長は笑って、私を抱きしめてくれる。
その温かさに、勘違いしそうだ。
私を好きなんじゃないか、って。
私がぎゅっと抱きしめると、課長は私の鎖骨にキスをし、耳後ろにキスをして、囁いた。
「美奈子」
「はぁ、っ」
呼ばれるだけでぞわぞわと身体中を快感が走る。涙が目尻に浮かんだ。私の中に入った課長の熱が腰までじんじんと広がる。動かずいるのは私を気遣かってのことだろうか。はやく刺激がほしくて、思わず腰が浮く。
課長はくつくつ笑った。
「せっかち。繋がってるの、感じてたくない?」
「ぁあ、ん、でも」
「気持ち良くなりたいの?」
問われてこくこく頷くと、課長は私の脇に両手をついた。
「仕方ないなぁ」
言いながらもその表情は嬉しそうだ。
少年のようなその笑顔にも、私はときめいて切なくなる。
課長がゆっくりと腰を動かし始めた。
課長の長いそれが、私の入口をゆるゆるとこすりあげる。
ただ前後しているだけなのに、内側をくまなく愛撫されているように感じた。
つぷーーじゅぷ、つぷーーじゅぷ
あくまでゆっくりと、私の内側を堪能するかのように動く。
「はぁーー」
やばい。吐息にハートマークが飛んでる気がする。
気持ち良すぎる。幸せすぎる。
互いに想い合っていた元彼とすら、こんなに気持ち良くなったことなんてないのに。
「ぁあ、あーーよしくぅん」
明日になったら忘れよう。絶対、全部、忘れよう。
旅の恥はかき捨て。ベッドの恥もかき捨て。
そうしようーー自分を律するにはあまりにも、快感が強すぎる。
「美奈子ーー美奈子」
ぬぷーーぶつーーじゅぷーーつぷ
「は、ぁ……」
なんか、あれみたい。
りのちゃんが出てた、スローセックスの動画。
あれを見たのは彼氏と別れた後だったけど、そんなに気持ちいいのかなぁなんて、いつかしてみたいなぁなんて、思ってた。
思ってた、けどーー
「は、ぁ……」
こんなにいいだなんて思わなかった。
そんでもって、相手があの課長だなんて、さらに夢にも思わなかった。
ぬぷーーじゅぷっーーぬぷーー
「っう……ぁ、いい……」
課長の声に艶が増す。
こんな声、一度聞いたら忘れられない。
明日以降はつつしんでオカズにさせていただこう。
「ぁあん……かちょ……よしく、ん」
言い換えたことに気づき、課長が笑う。その振動が直接中へと伝わって、ああ繋がっているんだなぁとまた思う。
「気持ち、いいね、美奈子」
「ぅん、うん、気持ちいいーーはぁ」
満たされていく。こんなに枯渇してたなんて。恥ずかしいくらいだ。
でも。
「よ、よしくん」
「なぁに?」
優しい声。
「も、そろそろ、激しいの、が欲しい……」
課長は意地悪な笑顔を浮かべた。
「美奈子のえっち」
「だぁ、って、ぁ」
ちゅ、と胸のいただきを吸い上げ、舌先で転がし、もう片方は手でつまんで、コリコリと刺激される。
「ぁあん」
「可愛いーー俺で感じてくれて、嬉しい」
だから、そんなこといわれると、勘違いしちゃいますって!
「は、ぁーーはやくぅ」
腰をくねらせると、課長が喉奥で呻いた。
恨めしげに私を見て、腰を固定するように掴む。
「そういうこと、しないの」
「なんで」
「煽られるから」
そりゃ、煽ってるもの。
言おうとした台詞は唇で塞がれ、かと思うと膝裏に両手を入れられて持ち上げられた。
ぐい、と肩まで私の膝を持ち上げて、課長ははぁ、と甘い吐息を出す。
「……ほんと、柔らかいんだね」
「え? ああ……」
いつだったか、会社で身体が柔軟だという話をしたことを思い出す。
その後の忘年会では、前屈や開脚を疲労した。ーーいや、もちろんズボンだったからよ?
「身体柔らかいと、いろんなプレイ楽しめそうだなぁ」
肩先に乗った私の膝にキスを落とし、課長が嬉しそうに目を細めた。
いろんな、って……
今晩、何回するおつもりで?
ちょっと引きそうになったとき、それを逃さないとでも言うように、課長の手が私の腰に添えられる。
体重をかけるように奥を突かれて、また私の嬌声があがった。
ぐりぐり、と奥を突く課長の一物が与える快感が、良すぎる。
「はぁ」
「深いね」
余裕をなくし、たっぷりと艶を載せた課長の声が囁く。
「奥まで入るーー」
ずぷ、ぐちゃ、と音がたった。
「ああ、もう」
言って、課長は私の足の付け根に手を添える。
「無茶苦茶にしたくなるーーすげぇ、気持ちいい」
だんだんと律動が早くなった。
ぱん、ぱんと皮膚の合わさる音が響き、ベッドが揺れる。
「ぁ、あ、あ、ん、はん、っ……」
私はゆるゆると首を振って、課長の頬に手を伸ばした。
課長が私のその手にキスをする。
愛されていると錯覚する。
今くらい、錯覚してても許されるよねーー
「可愛い、美奈子、美奈子ーーはぁっ」
彼が快感に集中するように目を閉じ、私もそれに倣う。
ゆさゆさと揺れるベッドはゆりかごのようなのに、私の奥を突くその卑猥な行為に、高ぶった。
課長の手が、改めて私の膝にかかる。より深いつながりを求めて思い切り膝を割られ、肩に引き寄せるように私の脚を掴むと、激しく腰を打ち付けた。
「はぁ、あ、は、はっーー」
「ぁ、あ、あんっーー」
「美奈子ーー美奈子」
「よしく、んーー義之さぁん」
「ーーっ!」
私が名前を呼んだとき、課長が私の中で果てた。
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