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第一夜 課長とAV談義で盛り上がった結果。
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朝の一発目が終わった後、さんざん喘がされて疲れきった私はまどろんだ。起きたらまた課長から不穏な気配を察して、逃げるように帰ってきた。
もう身体はへとへとで、膝もがくがく言ってたけど、送ると言う課長の申し出は丁重にお断りした。課長はそんなケダモノには到底見えない爽やかだけど、夜から朝にかけての姿はどんなに控えめに言っても無害な羊さんとは言えない。
自宅に入るや玄関先に崩れるように膝をついて、頭を抱える。
ああ……私は一体、何をしてしまったのだ……。
帰路につく足は進めば進むほど重くなっていった。が、それは疲れのせいではなく、だんだん冷静になることで自分のおかれた状況がはっきりしてきたからだ。
そりゃもう、一歩踏み出すごとに、針の上を歩いているような激痛が襲ったもんだ。
胸をね。ぐさりぐさりとね。
いわゆる、賢者モードってやつ。
「あああ……私って、なんっていう……」
いくら好みが合って盛り上がったって、盛り上がった内容がAVっていうのかもう、女を捨てている。
しかもその上で上司の家に上がり込んで、ひとり膝を抱えてAV鑑賞にいそしんで、そわそわドキドキして、風呂上がりのイケメンにときめいてーー
そして、流された。
あああ……救いがたい、馬鹿。
涙すら込み上げて来る。
もうこれで、普通のオフィスラブを楽しむ可能性はないんだ……
例えば、残業中のオフィスに二人。差し入れのコーヒーを差し出す課長、気遣いに感動する私、触れ合う指先……
みたいな、こう、少女漫画的な綺麗な展開をね。
夢見るくらいいいじゃない、もう四捨五入したらアラサーだけど、女は元々、だれしも少女だったんだから。
なーんて、私が密かに抱いていた憧れのシチュエーションが……まあ9割方ありえないと思いながらも残りの1割にかけていた夢が、無残にも打ち砕かれたのだ。
「……今井かちょぉ……」
“義之さん“。
呼んだときの嬉しそうな笑顔を思い出し、懲りない私の下半身が疼く。
自分がこんなにはしたない人間だと思わなかった。
……いやAVは好きだけれども。それはほら、変に欲求を暴走させないための手段なのであって。
結果、それに振り回されては意味がないけどね。
たはは、と乾いた笑いを浮かべて、這うように部屋へと入った。
昨日と同じ服を着た自分は正直汗くさい。
さすがに夏場にこれはまずいと、夏場に楽なカップ付きインナーとマキシワンピースに着替えて、ごろんとベッドに横たわった。
目を閉じて身体の疲労感に浸っていると、いやがおうでも思い出す。
ーー美奈子。
どうして自分がその呼び名に反応したかは、薄々分かっていた。
会社ではあくまで柔軟で紳士な今田課長の強引さに、男を感じてときめいたのだ。
「はぁ……」
息を吐き出し、顔を覆う。
思い出して赤くなっている自分がまた、恥ずかしい。
「だぁあああ」
わめきながら、しばらく枕を抱えて左右にごろごろ転がると、動きを止めてため息をついた。
「……来週、どうしよ……」
とてもじゃないけど動揺せずに課長と向き合える気がしない。
そんなことを思っていた私は、スケジュールを思い出してほっとする。
「そっか、月曜の朝は出張だ」
とたんにほっとする自分がいる。とりあえず、外で仕事モードに切り替われれば、午後課長と会うとしても多少マシだろう。
「よし」
それなら、いつもに増してオフィス仕様の格好で行こう。ゆるゆる気分の服じゃ気持ちも切り替えにくい。
そうと決まればちょっと元気になってきた。よし、この勢いで洗濯でも……
思って身体を起こしたとき、今朝の名残がぬるりとショーツを濡らすのを感じ、羞恥心にまたベッドに転がった。
もう身体はへとへとで、膝もがくがく言ってたけど、送ると言う課長の申し出は丁重にお断りした。課長はそんなケダモノには到底見えない爽やかだけど、夜から朝にかけての姿はどんなに控えめに言っても無害な羊さんとは言えない。
自宅に入るや玄関先に崩れるように膝をついて、頭を抱える。
ああ……私は一体、何をしてしまったのだ……。
帰路につく足は進めば進むほど重くなっていった。が、それは疲れのせいではなく、だんだん冷静になることで自分のおかれた状況がはっきりしてきたからだ。
そりゃもう、一歩踏み出すごとに、針の上を歩いているような激痛が襲ったもんだ。
胸をね。ぐさりぐさりとね。
いわゆる、賢者モードってやつ。
「あああ……私って、なんっていう……」
いくら好みが合って盛り上がったって、盛り上がった内容がAVっていうのかもう、女を捨てている。
しかもその上で上司の家に上がり込んで、ひとり膝を抱えてAV鑑賞にいそしんで、そわそわドキドキして、風呂上がりのイケメンにときめいてーー
そして、流された。
あああ……救いがたい、馬鹿。
涙すら込み上げて来る。
もうこれで、普通のオフィスラブを楽しむ可能性はないんだ……
例えば、残業中のオフィスに二人。差し入れのコーヒーを差し出す課長、気遣いに感動する私、触れ合う指先……
みたいな、こう、少女漫画的な綺麗な展開をね。
夢見るくらいいいじゃない、もう四捨五入したらアラサーだけど、女は元々、だれしも少女だったんだから。
なーんて、私が密かに抱いていた憧れのシチュエーションが……まあ9割方ありえないと思いながらも残りの1割にかけていた夢が、無残にも打ち砕かれたのだ。
「……今井かちょぉ……」
“義之さん“。
呼んだときの嬉しそうな笑顔を思い出し、懲りない私の下半身が疼く。
自分がこんなにはしたない人間だと思わなかった。
……いやAVは好きだけれども。それはほら、変に欲求を暴走させないための手段なのであって。
結果、それに振り回されては意味がないけどね。
たはは、と乾いた笑いを浮かべて、這うように部屋へと入った。
昨日と同じ服を着た自分は正直汗くさい。
さすがに夏場にこれはまずいと、夏場に楽なカップ付きインナーとマキシワンピースに着替えて、ごろんとベッドに横たわった。
目を閉じて身体の疲労感に浸っていると、いやがおうでも思い出す。
ーー美奈子。
どうして自分がその呼び名に反応したかは、薄々分かっていた。
会社ではあくまで柔軟で紳士な今田課長の強引さに、男を感じてときめいたのだ。
「はぁ……」
息を吐き出し、顔を覆う。
思い出して赤くなっている自分がまた、恥ずかしい。
「だぁあああ」
わめきながら、しばらく枕を抱えて左右にごろごろ転がると、動きを止めてため息をついた。
「……来週、どうしよ……」
とてもじゃないけど動揺せずに課長と向き合える気がしない。
そんなことを思っていた私は、スケジュールを思い出してほっとする。
「そっか、月曜の朝は出張だ」
とたんにほっとする自分がいる。とりあえず、外で仕事モードに切り替われれば、午後課長と会うとしても多少マシだろう。
「よし」
それなら、いつもに増してオフィス仕様の格好で行こう。ゆるゆる気分の服じゃ気持ちも切り替えにくい。
そうと決まればちょっと元気になってきた。よし、この勢いで洗濯でも……
思って身体を起こしたとき、今朝の名残がぬるりとショーツを濡らすのを感じ、羞恥心にまたベッドに転がった。
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