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何気ない日々の中で
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1Aの病棟の看護師たちは、山本師長をトップとして、22名で構成されていで、ワンフロア78床の病棟。高度救命救急センターを要してる若葉病院は、救急で搬送後、処置されて一旦、ICUで様子が見られてその後の経過観察をする病棟である。また、外科手術された患者もいる為、ベッドの回転が速い病棟でもある。
22名いる看護師は、わりと20代の年齢の看護師がいる中、30代、40代が少ない。看護学校卒業後、そのまま法人内の病院に入職する職員が6割、あと、外部からの新卒の看護師や、そりがあわず、転職されてくる看護師が残り。成田淳子は、別法人での病院での経験を経て、我々の法人へ入職してきており、在職年数が10年目を迎えようとしている看護師であるが、彼女が現場を和ませてくれるキーになる人財の1人。前に、山本師長に注意されて、へこんでたときにも、優しく声をかけてくれた時もあった。
今回、1Aに何があったのかわからないが、あまりややこしくなってなければいいが…。
そう思いながらも、資料を持って、詰所へ向かった。少し胸騒ぎがする気持ちを抑えながら。
ちょうど、薬局の前を通りかかると、呼ぶ声がした。
「成田さん」
声の聞こえる方へ顔を向けると、笑顔ではあるが、どことなく、元気がないような、成田淳子が手を振っていた。
「成田さん。なんか相変わらず自分の名前を言ってるようで、変な気分になりますね」
「ホントですよ。多分2人いてる時に成田さんって呼ばれたら、2人とも振り返りますよね…」
そう言いあいながら、いつも二人の会話は始まる。成田淳子と成田遥人、同じ苗字だということで、僕が入職した前から在職しており、法人での経験年数は3つ上だ。年齢では、一つ上ではあるが。
「それより、成田さん。山本師長から呼ばれてまして、なんか聞いてないですか?」
直球で尋ねてみた。
「え?なんも聞いてませんよ。うちの師長さん、今日朝から、少しウキウキしているのは、そのせいなのかな…」
成田淳子は、そのように答えてニヤリとしている。そして、肘を脇に突っついていて、それを避けようとした。
「そうなんですか?ぼくは、もうドキドキですよ。課長から、朝から師長が何か話があるぞって言ってきて。それから妙な胸騒ぎがしてたまらなくて。それでも、山本師長はウキウキしてるんでしょ?うーん。益々なにかようわからないです」
「まぁ、いつも師長は成田さん来るの楽しみにされておられますよ。成田さん。気に入られてますからね。ウチの師長に」
成田淳子のニヤリとした表情はますます止みそうにない。
「ねぇ。成田さん」
「なんですか?」
生唾の飲み込んだ音が相手に聞こえるかのような間があった後、数秒のことであっただろうが、数分間があったかの様な…気がした後。
「成田さん。もし、私が病院退職するって言ったらどうします?」
成田淳子は、こっそり耳元ではなした一言が、最初何を言ってるのか理解できなかったが、すぐに飲み込めた。そんなことは、決して許されることではない。絶対阻止しないといけない案件である。
いま、彼女がこの病棟から、この病院から去ることは決してさせてはいけない。それくらいの人財。師長と、ベテラン看護師、ルーキー看護師の、輪を繋ぐバイプレイヤー的な存在。
脇役という意味であるバイプレイヤーではなく、絶対的なポジションで全体を動かす必要不可欠な役割のバイプレイヤー。
彼女がこの場から消えてしまえばたちまち、1A病棟の、骨組みが崩壊してしまう。
ダメだ。彼女をつなぎとめないと…。
「ホントですか?それ…」
どれくらい黙ってしまっていたか、わからないくらいの間があったかの様な状態で、目の前にいる成田淳子には、動揺が隠し切れていないだろう…。
そんな動揺した状態で絞り出した一言が、これだ。
ダメだ。どうしていいのかわからない。
22名いる看護師は、わりと20代の年齢の看護師がいる中、30代、40代が少ない。看護学校卒業後、そのまま法人内の病院に入職する職員が6割、あと、外部からの新卒の看護師や、そりがあわず、転職されてくる看護師が残り。成田淳子は、別法人での病院での経験を経て、我々の法人へ入職してきており、在職年数が10年目を迎えようとしている看護師であるが、彼女が現場を和ませてくれるキーになる人財の1人。前に、山本師長に注意されて、へこんでたときにも、優しく声をかけてくれた時もあった。
今回、1Aに何があったのかわからないが、あまりややこしくなってなければいいが…。
そう思いながらも、資料を持って、詰所へ向かった。少し胸騒ぎがする気持ちを抑えながら。
ちょうど、薬局の前を通りかかると、呼ぶ声がした。
「成田さん」
声の聞こえる方へ顔を向けると、笑顔ではあるが、どことなく、元気がないような、成田淳子が手を振っていた。
「成田さん。なんか相変わらず自分の名前を言ってるようで、変な気分になりますね」
「ホントですよ。多分2人いてる時に成田さんって呼ばれたら、2人とも振り返りますよね…」
そう言いあいながら、いつも二人の会話は始まる。成田淳子と成田遥人、同じ苗字だということで、僕が入職した前から在職しており、法人での経験年数は3つ上だ。年齢では、一つ上ではあるが。
「それより、成田さん。山本師長から呼ばれてまして、なんか聞いてないですか?」
直球で尋ねてみた。
「え?なんも聞いてませんよ。うちの師長さん、今日朝から、少しウキウキしているのは、そのせいなのかな…」
成田淳子は、そのように答えてニヤリとしている。そして、肘を脇に突っついていて、それを避けようとした。
「そうなんですか?ぼくは、もうドキドキですよ。課長から、朝から師長が何か話があるぞって言ってきて。それから妙な胸騒ぎがしてたまらなくて。それでも、山本師長はウキウキしてるんでしょ?うーん。益々なにかようわからないです」
「まぁ、いつも師長は成田さん来るの楽しみにされておられますよ。成田さん。気に入られてますからね。ウチの師長に」
成田淳子のニヤリとした表情はますます止みそうにない。
「ねぇ。成田さん」
「なんですか?」
生唾の飲み込んだ音が相手に聞こえるかのような間があった後、数秒のことであっただろうが、数分間があったかの様な…気がした後。
「成田さん。もし、私が病院退職するって言ったらどうします?」
成田淳子は、こっそり耳元ではなした一言が、最初何を言ってるのか理解できなかったが、すぐに飲み込めた。そんなことは、決して許されることではない。絶対阻止しないといけない案件である。
いま、彼女がこの病棟から、この病院から去ることは決してさせてはいけない。それくらいの人財。師長と、ベテラン看護師、ルーキー看護師の、輪を繋ぐバイプレイヤー的な存在。
脇役という意味であるバイプレイヤーではなく、絶対的なポジションで全体を動かす必要不可欠な役割のバイプレイヤー。
彼女がこの場から消えてしまえばたちまち、1A病棟の、骨組みが崩壊してしまう。
ダメだ。彼女をつなぎとめないと…。
「ホントですか?それ…」
どれくらい黙ってしまっていたか、わからないくらいの間があったかの様な状態で、目の前にいる成田淳子には、動揺が隠し切れていないだろう…。
そんな動揺した状態で絞り出した一言が、これだ。
ダメだ。どうしていいのかわからない。
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