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何気ない日々の中で
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「淳子さん。石津駅もう着きますよ。大丈夫ですか?」
もうすぐ到着することもあり、声をかけたが、左肩にかなりの身体を寄せてより、スースーと寝息さえ聞こえる。返事がない。背中に背負って駅は出れるが、成田淳子の自宅の場所がわからない。分かっていれば全然寝ててもらっても背負っていけるが、今回はそう言うわけにもいかないのだ。とりあえず駅に着いて車両のドアが開いたため、お姫様抱っこをして車両を出た。ホームのベンチに座らせて、声をかけた。
「遥人さん。もうお姫様抱っこ終わり?もう少しして欲しいのに。」
「淳子さん。起きていたんですね。もう。起きないからどうしようかと思いましたよ。いけずですね。淳子さん。まだ歩けそうになさそうですね。はい。背中どうぞ。お姫様抱っこはまた今度です。飲み過ぎなんですよー。」
「遥人。そんなこと言うんですね。キライ!フラフラで歩いて帰るもん。怪我したりしても知らないもん。」
そう言って一人で立ち上がって歩こうとしたが、やっぱり歩けそうにないみたい。大怪我限りなく100%するか、どこかで寒い中座り込んで寝るに違いない。
「淳子さん。家教えてください。家の前まで行ったらお姫様抱っこしてあげますから。それまではおんぶで我慢してください。」
「仕方ないなぁ。遥人。そうしてあげます。家はね、改札口でて、左側です。病院とは逆ですよ」
おんぶして改札口までいくと、駅員さんに大丈夫ですか?と声をかけられて、怪しまれそうになったが、事情を説明して若葉病院の職員証を見せれば、理解してもらえたようで、気をつけてお帰り下さいとまで、丁寧に声をかけてくださった。
商店街を抜けると途端に辺りは暗くなり、周りの音さえも無くなったかのよう。聞こえるのは、歩く靴のカタカタとかかとの音と、成田淳子の呼吸の音。その呼吸の吐息が耳元に当たり、時々くすぐったく感じる。成田淳子は、思いっきり背中でしがみついてることもあり、密着感を感じて、いまふと感じたが、甘い香水の香りさえ感じる。男としての理性を保たなければ…。
「遥人さん。そこを右に曲がったとこの、マンションです。506なんですけど、バックの内側のポケットに鍵があります。それでオートロックのドアを開けてください。」
成田淳子の自宅のマンションに到着した。正面入口の管理人さんがいるエントランスでは、ほぼ無音の状態で、それが余計に寒さを誇張させてるかのようてある。いままでは、夜道でもあったため、あまり気付かなかったが、明るい場所で、大人の女性をおんぶしているこの状態は、普段通りの状況でもない。このマンションに住んでいる住人本人ではないので自分はどうのことないが、住人はそうも行かないだろう…。
「ここから、淳子さん。歩けますか?マンションの
中ですし、淳子さん。あれでしょ?」
成田淳子にそのように伝えると、一瞬拒んだがそれもそうだと感じたのか、すんなりと降りた。エレベーターで上がるまえ、エントランスで待っていると、
「淳子さん。僕もうそろそろ帰らないと帰りの電車の終電がなくなります。ご自宅の部屋まで行けますか?ってそんな風な状態でもなさそうですが」
「遥人さん。そういえば、今日金曜日でしょ?子どもたち居ないんです。良ければ家でもう一回飲み直しませんか?家にビールとかありますし。簡単なつまみなら作れますし」
成田淳子の話してる内容が最初いまいち理解できなかったが、一呼吸して考え直すと、理解できた。ここでいいですよと言って部屋に上がると、確実に終電がなくなる。家に帰ることができない。ということは成田淳子と一緒に朝を迎えることになる。明日は土曜日だから事務職員は休みだ。どうするのだ?成田遥人。
なんて返事すればいいのかわからないでいて、この返事ができない時間がほんの一瞬なんだろうが、すごく長い時間のように感じて、口を動かすことが出来ないくらいのような気がした。
「淳子さん。そんなことしたら僕淳子さんの家で朝を迎えますが…。いいんですか?」
ありきたりの返事しかできなかった。エレベーターがエントランスに降りてきた。それと同時にもう答えを出すタイムリミットとなった。ことばを返す前に、成田淳子は僕の手を掴んで、エレベーターの中に入れた。
「遥人さん。朝まで一緒に居てくれますか?誰かに今日は側にいて欲しくて。ダメですか?」
「・・・・・」
成田淳子は、身体を寄せて、自分のコートにしがみ付いた。その姿を見ていると、自然に成田淳子を包み込んだ。人目は気にならなかった。二人だけの時間。二人だけの空間。そんなのが支配する。そんな気持ちと並行して、そんな彼女をどんなふうにしてあげればいいのか、答えは見つからずだ。だか、なんだかものすごく愛おしく感じてたまらなくなった。
「わかりました。淳子さん。僕で良ければ、朝まで一緒に、側に居ます。僕でいいんですか?」
「貴方でないとダメです。貴方がいいんです。そんなの、誰でも良いわけではありませんよ。」
一言二言会話していると、エレベーターの扉は開いて、成田淳子のまた知らない彼女が存在するのフロアに足を踏み入れてしまった。答えは未だ見つからず。
もうすぐ到着することもあり、声をかけたが、左肩にかなりの身体を寄せてより、スースーと寝息さえ聞こえる。返事がない。背中に背負って駅は出れるが、成田淳子の自宅の場所がわからない。分かっていれば全然寝ててもらっても背負っていけるが、今回はそう言うわけにもいかないのだ。とりあえず駅に着いて車両のドアが開いたため、お姫様抱っこをして車両を出た。ホームのベンチに座らせて、声をかけた。
「遥人さん。もうお姫様抱っこ終わり?もう少しして欲しいのに。」
「淳子さん。起きていたんですね。もう。起きないからどうしようかと思いましたよ。いけずですね。淳子さん。まだ歩けそうになさそうですね。はい。背中どうぞ。お姫様抱っこはまた今度です。飲み過ぎなんですよー。」
「遥人。そんなこと言うんですね。キライ!フラフラで歩いて帰るもん。怪我したりしても知らないもん。」
そう言って一人で立ち上がって歩こうとしたが、やっぱり歩けそうにないみたい。大怪我限りなく100%するか、どこかで寒い中座り込んで寝るに違いない。
「淳子さん。家教えてください。家の前まで行ったらお姫様抱っこしてあげますから。それまではおんぶで我慢してください。」
「仕方ないなぁ。遥人。そうしてあげます。家はね、改札口でて、左側です。病院とは逆ですよ」
おんぶして改札口までいくと、駅員さんに大丈夫ですか?と声をかけられて、怪しまれそうになったが、事情を説明して若葉病院の職員証を見せれば、理解してもらえたようで、気をつけてお帰り下さいとまで、丁寧に声をかけてくださった。
商店街を抜けると途端に辺りは暗くなり、周りの音さえも無くなったかのよう。聞こえるのは、歩く靴のカタカタとかかとの音と、成田淳子の呼吸の音。その呼吸の吐息が耳元に当たり、時々くすぐったく感じる。成田淳子は、思いっきり背中でしがみついてることもあり、密着感を感じて、いまふと感じたが、甘い香水の香りさえ感じる。男としての理性を保たなければ…。
「遥人さん。そこを右に曲がったとこの、マンションです。506なんですけど、バックの内側のポケットに鍵があります。それでオートロックのドアを開けてください。」
成田淳子の自宅のマンションに到着した。正面入口の管理人さんがいるエントランスでは、ほぼ無音の状態で、それが余計に寒さを誇張させてるかのようてある。いままでは、夜道でもあったため、あまり気付かなかったが、明るい場所で、大人の女性をおんぶしているこの状態は、普段通りの状況でもない。このマンションに住んでいる住人本人ではないので自分はどうのことないが、住人はそうも行かないだろう…。
「ここから、淳子さん。歩けますか?マンションの
中ですし、淳子さん。あれでしょ?」
成田淳子にそのように伝えると、一瞬拒んだがそれもそうだと感じたのか、すんなりと降りた。エレベーターで上がるまえ、エントランスで待っていると、
「淳子さん。僕もうそろそろ帰らないと帰りの電車の終電がなくなります。ご自宅の部屋まで行けますか?ってそんな風な状態でもなさそうですが」
「遥人さん。そういえば、今日金曜日でしょ?子どもたち居ないんです。良ければ家でもう一回飲み直しませんか?家にビールとかありますし。簡単なつまみなら作れますし」
成田淳子の話してる内容が最初いまいち理解できなかったが、一呼吸して考え直すと、理解できた。ここでいいですよと言って部屋に上がると、確実に終電がなくなる。家に帰ることができない。ということは成田淳子と一緒に朝を迎えることになる。明日は土曜日だから事務職員は休みだ。どうするのだ?成田遥人。
なんて返事すればいいのかわからないでいて、この返事ができない時間がほんの一瞬なんだろうが、すごく長い時間のように感じて、口を動かすことが出来ないくらいのような気がした。
「淳子さん。そんなことしたら僕淳子さんの家で朝を迎えますが…。いいんですか?」
ありきたりの返事しかできなかった。エレベーターがエントランスに降りてきた。それと同時にもう答えを出すタイムリミットとなった。ことばを返す前に、成田淳子は僕の手を掴んで、エレベーターの中に入れた。
「遥人さん。朝まで一緒に居てくれますか?誰かに今日は側にいて欲しくて。ダメですか?」
「・・・・・」
成田淳子は、身体を寄せて、自分のコートにしがみ付いた。その姿を見ていると、自然に成田淳子を包み込んだ。人目は気にならなかった。二人だけの時間。二人だけの空間。そんなのが支配する。そんな気持ちと並行して、そんな彼女をどんなふうにしてあげればいいのか、答えは見つからずだ。だか、なんだかものすごく愛おしく感じてたまらなくなった。
「わかりました。淳子さん。僕で良ければ、朝まで一緒に、側に居ます。僕でいいんですか?」
「貴方でないとダメです。貴方がいいんです。そんなの、誰でも良いわけではありませんよ。」
一言二言会話していると、エレベーターの扉は開いて、成田淳子のまた知らない彼女が存在するのフロアに足を踏み入れてしまった。答えは未だ見つからず。
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