蒼い月に照らされて 〜この先ずっと愛し続けたい〜

颯斗

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何気ない日々の中で

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どれくらいキスを交わしただろう…。淳子さんの上に身体を重ねて、ぼくは上になり、淳子さんは身体を完全に委ねていていた。
「淳子さん。可愛いですよ。とっても可愛いです。淳子さんの身体の温もりをしっかりと感じ取られます。淳子さんをこんなに近くに感じられるなんて。淳子さん…押し倒していいですか?」
「そんなの、聞かなくていいよ。もうお互い40過ぎた大人なんですから。」
淳子さんは、上にマウンテンポジションの状態の僕を、再び抱き寄せた。そのうちぼくは、淳子さんの茶色のニットワンピの上から淳子さんの身体のラインに沿って上から徐々に優しく触れていき、淳子さんはその度に身体を少し震わせて、声が少し出ていた。そして、その声はだんだん甘い声になっていってぼくにしがみ付いていく。
「遥人。遥人の身体が温かい。もっと遥人を見せてくれますか?」
そう言うと、淳子さんはぼくのカッターシャツのボタンを一つずつ外していく。カッターシャツの全部ボタンを外すと、中のTシャツの上から僕の身体を指でなぞっていく。
そして僕は、ニットワンピの胸の辺りを手のひらで優しく包み込むと、少し大きな声を出して、身体を震わせた。

ふと壁にかかってる時計を見ると、時間は12時を回っていた。今、淳子さんがいつも睡眠してるであろうベッドに2人は、くっついて寝ていた。ぼくは、淳子さんを腕枕をして…。淳子さんは、何も身につけてはなく、ぼくを抱きしめていた。少しソワソワしているぼくの仕草を見て、ニコッと笑顔になり僕の眼をじっと見つめてくれていた。
「遥人さん。2人でこのシングルのベッドは狭いですね。遥人さんも、私も身体小さい方じゃないですし。当たり前かぁって感じですけどね」
「そうですね。ぼくたち、身体が少し大きいですから、2人では手狭ですね。淳子さん。もう電車ないです。朝までこうしてていいですか?」
「はい。私いま、遥人さんと離れたくないですから。朝までまこうしてます。あ、でも今から少し飲みますか?冷蔵庫の中にお豆腐ありますし、カクテキもあったかなぁ。飲み直しましょう。でも、わたし。遥人さんに全部脱がされて、素っ裸やしなぁ。遥人さん。シャワー浴びてきてください。その間にわたし何かお酒のアテを着て用意しておきますね。」

淳子さんのご自宅で、シャワー浴びて、キスして、押し倒してしまって、何をしてるんだろう…。いまの自分の気持ちはどんなんなのか、よくわからないでいる。40歳を過ぎて、仕事も役職も付き、そこそこの責任も背負うようになった。色々と任されるようになり、信頼と信用を持ってもらえるようにもなった。
そんな仕事と自宅の往復をして、普段の楽しみと言ったら合間にスマホのゲームをしたり、テレビや漫画を見て楽しむ。同年代の同僚とたまに飲んだり騒いだらしていて、男女関係なくその時々を楽しんでいて、男と女の関係なんてまるで無縁であった。AKBや、乃木坂といったアイドルは可愛いなぁって思うこともあったが、それはもうバーチャルの世界。作られた世界そのもの。
そんなぼくが、1人の女性とお酒を飲み、女性の部屋に上がり、身体を重ねた。夜を共に過ごそうとしている。だけど、自分の気持ちのありかが、よくわからない。
ぼくは淳子さんをどうしたいのだろう…。

モヤモヤというより、この先淳子さんとどのように接すればいいのかがよくわからない。ただ、1つ言えるのは、以前から淳子さんのことは気にはなっていた。病棟に行くと、必ず淳子さんをまず探していた。詰所にいてなければ、今日は日勤のはずなのにどこに行ってるんだろうと、思う日もあった。顔色や表情が少し曇っていると、何かあったのかと心配する時もあった。今日の昼間みたいに、ふとばったり外来であったときには、それこそ嬉しくて、淳子さんの笑顔に救われた事も何回もあった。思い返せば、気がつけば淳子さんのことを考えていたと改めて思い知らせた。
知らないところでに、また無意識のうちに、ぼくは淳子さんのことを考えていないようで、そうしていたのだ。
この気持ちは多分そうなんだろう。
少し感情がしっかりと芽生えた瞬間なのかもしれない。それをぼく自身が受け止めるのか、見なかったこと感じなかったことにして、知らんぷりするのか。そこの二者択一となるのだろう…。
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