蒼い月に照らされて 〜この先ずっと愛し続けたい〜

颯斗

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貴女のいる時間の中で

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またこの人の下で一緒に仕事ができるかもしれない…。そんなことをこの時は考えていた。
「はい。承知しました。成田さん。その時はどうぞよろしくお願いします。でも、常務の教え子であれば、しっかりされてる方でしょうから、心強いですね。」
「四位くん。そんなにヨイショしなくていいぞ。調子に乗るから。じゃあ成田くん。また連絡するから、履歴書と職務経歴書を書いておいてくれるか?で出来たら先に見せなさい。添削してあげるから。頼んだよ。」
「はい。承知しました。ありがとうございます。」
「まぁまぁ、コーヒー待ってきてくれたから、ゆっくり飲んで行ったらいいじゃないか。四位くん。コーヒーありがとうね。」
「いえいえ。ごゆっくりどうぞ。失礼いたしました。」
そこから、以前の時と同じ蒼井さんが目の前にいたのも鮮明に覚えているが、その時の面接の日に、一緒に廊下で待ったのが千葉だった。初対面の時、少し軽そうでチャラいイメージがあった。会釈して挨拶をぼくの方からしたが、髪も少し茶髪だったこともあり、この人が最終面接まで残ったのだと思っていた。今では考えられないが、おそらく当時は人事の職員が足らなかったのか、当時のルーティンの流れだったのか、その時だけだったのか、わからないが普通一人ずつ面接するときに、時間がブッキングして待合いでら一緒になることはない。ぼくが時間を間違えてしまったのかと思ってしまったくらいであった。

千葉の後に面接であったのか、先に千葉が案内されて、部屋に入っていった。ぼくは、そのあと間も無く四位さんに案内された。
「成田さん。リラックスしてください。いつも通りの成田さんで挑めば大丈夫です。
と、蒼井常務がおっしゃってました。頑張ってください」
その時の、グーのポーズに勇気づけられたっけね。森田常務の面接に挑んだが、終始圧倒されつつも、四位さんのグーのポーズと、蒼井さんの励ましのお声のおかげで乗り切れた。
その後、面接を終えた後に、ビルのエントランスで待ってたのが千葉だった。何気に声をかけてきたのだ。最初のイメージ通り、軽い男なのかと、会釈だけしてその場を去ろうとしたが、出て駅前に、スタバがあったのでそこでラテを奢るから、少し情報交換しませんか?と言われたので動じることにしたのだ。終わったらカフェラテを飲もうと思っていたので…。奢ってくれるって言ってたし。
これが、千葉との最初のファーストコンタクトであった。
あの頃のことをふと思い出すと、あれがなかったらこんなにお互い切磋琢磨して、こんなに信頼し合える関係にはなってなかっただろう。
そこで話したことで、軽いヤツではなく、熱くて周りに気を遣いすぎる良いヤツであったことがわかったのだから…。

「すみません。お呼びだてしてしまって。なんか同じ匂いがしましたので、良かったゆっくりと話でもしたいなぁって思いまして。初対面でびっくりされたですよね?」
「そりゃもちろんそうですよ。全く知らない人ですからね。」
「千葉潤三郎です。改めまして。よろしくお願いします。」
「成田遥人です。千葉さん。年齢は幾つですか?ぼくは43歳ですが…。」
「ホントですか?同じ歳ですね。奇遇です。やっぱり僕の勘は冴えてますね。」
「ホント同じ歳なんですね。僕より若いと思ってました。」
そういいながら、握手して互いに褒めちぎりながら、話を進めていくが、ぼくも、千葉もまた声が大きい方なので、ついつい大きな声で話してしまう癖がある。この時からその兆候がでていた。
「千葉さん。声が大きいですよ。ここはカフェですし。声のトーンを落としましょう」

「成田さん。ぼくね、声が大きいってよく言われるんですよ。申し訳ありません。」
「いえいえ、そんな僕もまた、声が大きいってよく言われて、嫁からももう少し小さい声で話してとよく怒られるんです。」
「ホントですか?そんなところもまたよく似てますね。」
千葉は笑い声もまた大きい。でもそこは、大きい声の持ち主だったら仕方ない事だと思っていたが、これほどまでに大きいとは中々なヤツである。
また、ぼくは人差し指を唇の前で立てた。
「今日の面接どうでしたか?成田さんは。蒼井常務って方が、僕の面接官だったんですけど。ほんわかとして優しそうな上司でした。あんな上司の下で働きたいですね。全信頼を持って、頑張れそうで…。」
そんな風に蒼井さんのことを話してくれてると、なんだか嬉しくなる。知ってるだけに父親のように慕ってる方だけに、自分の父親が褒められているようで、ニヤけてしまう。自分の父親ではないが…
「そうなんですね。ぼくは、森田常務でしたから、圧倒されてしまいました。うまく自分のことを伝えられたかわからないですね。でも、やり切った感じはするので、あとは朗報を待つだけですね。千葉さんはどうだったんですか?面接の出来は?」

千葉は、先に森田常務の面接であったらしい。後に聞いた話では、森田常務の面接で、ほぼほぼ採用したいことが決まっていたらしい。蒼井さんがやっぱりどんな人か見てみたいと志願面接があったそう。だから、ぼくの逆であったみたいである。
何やら。前職でも、別の医療法人の総務課の仕事をしていたみたいで、経験者で即戦力が欲しかったみたいだ。前職で同僚の失敗を被って責任を取り退職したそう。その、同僚というのが今の奥さんということだから、これもまたなかなかできないことを千葉はやっているということだ。まぁ、そういうことは、その時既に付き合っていて、ようは自分の彼女を守ったということになる。
これもまた後で聞いた話ではあるが…。
そんな千葉の武勇伝をきいていると千葉ワールドに引き込まれてしまう。見かけ以上に、ナイスなオトコなんだ。千葉という男は。
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