4 / 82
4話 私の女王様
私は決死の思いで、理事長室のドアを叩くと”どうぞ”と声がした。
「失礼します」
コツンコツンとヒールの音を響かせながら、攻略対象者の理事長が座る執務机の前まで行った。目の前には渋いアッシュグレイの髪、思慮深い濃紺の瞳を持つ、この学園の理事長であり、王弟であるグランセラン公爵閣下がいる。私は優雅に頭を下げた。心臓の鼓動が早くなる。
「アルセナ・ベアテ・クリマスタと申します。以後お見知りおき」
「ああ。堅苦しいのはいいんだ。何度か王城で会ったことがあるよね。クリマスタ公爵閣下は元気か」
「おかげさまで元気でやっております」
「ところで、アルセナ嬢にはアリスフォードと学年長をやってもらいたいと思っているんだが……どうかな」
彼は首を傾げた。なぜだろ。眼鏡をかけた渋いおじ様といった風貌の理事長なのに、なぜか少し可愛らしい。アリスフォードもとっても可愛いらしので、王族の血筋なのだろか。
「謹んでお受けいたします」
「良かったら少し話そうそこに座ってくれる?アリスフォードのことも話したいし……」
ソファを差した。先ほどメイドが用意してくれたお茶から湯気が立ち昇っている。私はハンドサインでメイドを下がらせるように指示を出した。メイドが理事長をみれば、彼は頷き、メイドは辞去した。部屋には二人きりだ。
乙女ゲームではここで選択肢がでる。
1、ソファに座る。
2、変態と罵る。
3、お茶を理事長の所まで持っていく。
2番が明らかにおかしいが、正解は2番である。3番はアンネリースの正解である。
少し震える足を鷹揚に運びながら、理事長が座る椅子の前まで来た。椅子を回転させて私と向かい合うようにすれば、彼のズボンがはちきれんばかりに膨張している。彼は先ほどから目を見開き、私を目で追っていた。
彼の股間に膝を割り入れ、両手を彼の首に回して耳元で囁いた。膝に彼の硬いものが、確かな質感を持って主張している。
「二回りも年下の少女に性的興奮して、変態ですね」
理事長の顔は驚愕に彩られている。先程までの大人の余裕は消し飛んでいる。
「ば、馬鹿をいうな!私が変態だって!?」
頭を振って怒鳴る。でも、私は知っている。彼は怒っているわけじゃない、図星をつかれて焦っているのだと。そういう風に見れば、彼が必死に言い訳をしている男の子に見えた。
「17歳以下の少女にしか欲情できない変態さんでしょ? アリスじゃなくて、私に用があると正直に申したら……考えてあげてもよろしくてよ」
私は彼を見下ろし、口角を上げた。
「なぜそれを……そ、そうだ。僕は初めて会った時から、君に欲情していた。こんなどうしようもない変態な僕でもいいのか」
「変態でもいいの。ありのままのあなたでいいの。だから私に欲情なさい」
いたずらが見つかって叱られた子供が許してもらって心底ホッとしたような表情をしていた。私も心底ホッとした。万が一乙女ゲームと違っていたら、大変なことになっていた。
たしか、彼に初めて会ったのは7歳だったと思う……まごうことなく、ロリコンである。
私は立ち上がり、ゆっくり、ゆっくりとスカートを捲し上げて、あのスケスケTバックのパンツを見せつけた。彼はそれに釘付けになっていた。私はもう、変な汗かきまくりである。
「みたい?私は処女だし、まだ毛も生えてないのよ」
――うわぁ、なんてことを言っているんだ! 恥ずかしい。羞恥で死ねる。
彼の頬は高揚し、私の花園に手を伸ばしてきたが……私は彼の頬を叩いて、睨み付けた。
「誰が触っていいと言ったの?」
「申し訳ございません」
あの地位も名誉も実力も美貌も、人々が欲しがるすべてを持っているあのグランセラン公爵が私に土下座をしてきた。彼を欲する幾多のご婦人やご令嬢がこれをみたら、羨ましがるだろうか? それとも失望するだろうか?
「私は寛大だから許してあげるわ。以後気を付けて」
私は何様だろうか。思わず遠くを見つめた。窓の外は晴れ渡っていて眩しい。
「ありがとうございます。僕のちいさな女王様」
――いや……女王様はお前の姉だろう。
美丈夫である紳士が私の足の甲にキスをした。この地位も権力も美貌もスペックも世の中の人が欲する者を全て持っていると過言でない男が私に傅いている。背筋が何故かゾクゾクした。
「いいこと、明日の放課後も行くから、私の好きな茶菓子を用意してまってなさい」
「かしこまりました」
私は靴音を響かせて理事長室を後にした。
「失礼します」
コツンコツンとヒールの音を響かせながら、攻略対象者の理事長が座る執務机の前まで行った。目の前には渋いアッシュグレイの髪、思慮深い濃紺の瞳を持つ、この学園の理事長であり、王弟であるグランセラン公爵閣下がいる。私は優雅に頭を下げた。心臓の鼓動が早くなる。
「アルセナ・ベアテ・クリマスタと申します。以後お見知りおき」
「ああ。堅苦しいのはいいんだ。何度か王城で会ったことがあるよね。クリマスタ公爵閣下は元気か」
「おかげさまで元気でやっております」
「ところで、アルセナ嬢にはアリスフォードと学年長をやってもらいたいと思っているんだが……どうかな」
彼は首を傾げた。なぜだろ。眼鏡をかけた渋いおじ様といった風貌の理事長なのに、なぜか少し可愛らしい。アリスフォードもとっても可愛いらしので、王族の血筋なのだろか。
「謹んでお受けいたします」
「良かったら少し話そうそこに座ってくれる?アリスフォードのことも話したいし……」
ソファを差した。先ほどメイドが用意してくれたお茶から湯気が立ち昇っている。私はハンドサインでメイドを下がらせるように指示を出した。メイドが理事長をみれば、彼は頷き、メイドは辞去した。部屋には二人きりだ。
乙女ゲームではここで選択肢がでる。
1、ソファに座る。
2、変態と罵る。
3、お茶を理事長の所まで持っていく。
2番が明らかにおかしいが、正解は2番である。3番はアンネリースの正解である。
少し震える足を鷹揚に運びながら、理事長が座る椅子の前まで来た。椅子を回転させて私と向かい合うようにすれば、彼のズボンがはちきれんばかりに膨張している。彼は先ほどから目を見開き、私を目で追っていた。
彼の股間に膝を割り入れ、両手を彼の首に回して耳元で囁いた。膝に彼の硬いものが、確かな質感を持って主張している。
「二回りも年下の少女に性的興奮して、変態ですね」
理事長の顔は驚愕に彩られている。先程までの大人の余裕は消し飛んでいる。
「ば、馬鹿をいうな!私が変態だって!?」
頭を振って怒鳴る。でも、私は知っている。彼は怒っているわけじゃない、図星をつかれて焦っているのだと。そういう風に見れば、彼が必死に言い訳をしている男の子に見えた。
「17歳以下の少女にしか欲情できない変態さんでしょ? アリスじゃなくて、私に用があると正直に申したら……考えてあげてもよろしくてよ」
私は彼を見下ろし、口角を上げた。
「なぜそれを……そ、そうだ。僕は初めて会った時から、君に欲情していた。こんなどうしようもない変態な僕でもいいのか」
「変態でもいいの。ありのままのあなたでいいの。だから私に欲情なさい」
いたずらが見つかって叱られた子供が許してもらって心底ホッとしたような表情をしていた。私も心底ホッとした。万が一乙女ゲームと違っていたら、大変なことになっていた。
たしか、彼に初めて会ったのは7歳だったと思う……まごうことなく、ロリコンである。
私は立ち上がり、ゆっくり、ゆっくりとスカートを捲し上げて、あのスケスケTバックのパンツを見せつけた。彼はそれに釘付けになっていた。私はもう、変な汗かきまくりである。
「みたい?私は処女だし、まだ毛も生えてないのよ」
――うわぁ、なんてことを言っているんだ! 恥ずかしい。羞恥で死ねる。
彼の頬は高揚し、私の花園に手を伸ばしてきたが……私は彼の頬を叩いて、睨み付けた。
「誰が触っていいと言ったの?」
「申し訳ございません」
あの地位も名誉も実力も美貌も、人々が欲しがるすべてを持っているあのグランセラン公爵が私に土下座をしてきた。彼を欲する幾多のご婦人やご令嬢がこれをみたら、羨ましがるだろうか? それとも失望するだろうか?
「私は寛大だから許してあげるわ。以後気を付けて」
私は何様だろうか。思わず遠くを見つめた。窓の外は晴れ渡っていて眩しい。
「ありがとうございます。僕のちいさな女王様」
――いや……女王様はお前の姉だろう。
美丈夫である紳士が私の足の甲にキスをした。この地位も権力も美貌もスペックも世の中の人が欲する者を全て持っていると過言でない男が私に傅いている。背筋が何故かゾクゾクした。
「いいこと、明日の放課後も行くから、私の好きな茶菓子を用意してまってなさい」
「かしこまりました」
私は靴音を響かせて理事長室を後にした。
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
お兄ちゃんは、ヒロイン様のモノ!!……だよね?
夕立悠理
恋愛
もうすぐ高校一年生になる朱里には、大好きな人がいる。義兄の小鳥遊優(たかなしゆう)だ。優くん、優くん、と呼んで、いつも後ろをついて回っていた。
けれど、楽しみにしていた高校に入学する日、思い出す。ここは、前世ではまっていた少女漫画の世界だと。ヒーローは、もちろん、かっこよくて、スポーツ万能な優。ヒロインは、朱里と同じく新入生だ。朱里は、二人の仲を邪魔する悪役だった。
思い出したのをきっかけに、朱里は優を好きでいるのをやめた。優くん呼びは、封印し、お兄ちゃんに。中学では一緒だった登下校も別々だ。だって、だって、愛しの「お兄ちゃん」は、ヒロイン様のものだから。
──それなのに。お兄ちゃん、ちょっと、距離近くない……?
※お兄ちゃんは、彼氏様!!……だよね? は二人がいちゃついてるだけです。
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!
由汰のらん
ファンタジー
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。
しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。
そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。
「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」
やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった。しかしハルの血が特殊だと知ったダンピールはハルを連れ帰って?
いっそ美味しい『血』(治癒)と『体液』(バフ)と『癒し』を与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!
山に捨てられた元伯爵令嬢、隣国の王弟殿下に拾われる
しおの
恋愛
家族に虐げられてきた伯爵令嬢セリーヌは
ある日勘当され、山に捨てられますが逞しく自給自足生活。前世の記憶やチートな能力でのんびりスローライフを満喫していたら、
王弟殿下と出会いました。
なんでわたしがこんな目に……
R18 性的描写あり。※マークつけてます。
38話完結
2/25日で終わる予定になっております。
たくさんの方に読んでいただいているようで驚いております。
この作品に限らず私は書きたいものを書きたいように書いておりますので、色々ご都合主義多めです。
バリバリの理系ですので文章は壊滅的ですが、雰囲気を楽しんでいただければ幸いです。
読んでいただきありがとうございます!
番外編5話 掲載開始 2/28
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。