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みんなの力があったから
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琉生は率先して家事を行うようになった。自分が病気であっても自分の存在を自分で許してあげるようにするためだと言う。
自分で自分が存在しても良いと思う。つまり生きていくためなのだろう。
それはいったいどう言うことなのだろう?以前琉生が変わる前に、琉生が部屋に戻った後みんなで集まり話をしたことがあった。
「琉生。これから先大丈夫かしら?」
それは琉生の病気は完治はしないと調べて畑澤にも確認した後の話だった。
「琉生には琉生の生き方があるんだし」
「あなたはどう思う?」
「う~ん。まぁ母さんが言う通り、俺達は恐らくこのまま普通に生きていけば確実に琉生より先に死ぬし、残して逝くのは不安要素ではあるな」
「私が居るじゃん!」
杏子が声をあげる。しかし両親の意見はとても辛辣したものだった。
「じゃあ。もしこれから先、杏子が結婚して子供が出来た場合。旦那、子供の事もこなして琉生の面倒も見るのか?」
「え?それは・・・・・・」
杏子の顔が急に現実に引き戻された。杏子はまだ若いし、これから先の事は杏子も琉生も分からない。
「つまりそう言うこと」
「でも琉生はたった一人の弟よ!」
「その気持ちは有り難いけど、だからと言って杏子が何もかも犠牲にしたり、琉生の面倒を苦痛に思ったりして欲しくないのよ。琉生が理由で杏子の自由を奪うなんてしなくて良いってこと」
咲愛が杏子を見てそう話す。杏子は確かに今は琉生の事が心配で恋愛とかしていないけどこれから先、両親の言う通り琉生を理由に結婚しない、子供作らないは琉生のせいにしていることになる。自分が琉生の病気に甘えている。そう言うことになる。それじゃあ益々琉生の自立を妨げることになるだろう。
「琉生にはせめて生活する術は身に付けて欲しいけど、まぁまだ十七歳の琉生には早いかなぁ」
「生きる術なんか何歳でもつけられるから琉生が落ち着くまでもう少し待とう?」
「そうだな!」
「父さんも母さんも長生きしてね?」
「杏子と琉生が結婚するまでは生きたいな!」
「え?またまたぁ~」
「でも杏子を他の男にやるのも嫌だし・・・・・・」
そんな話をしたんだ。それは琉生が変わる前の話。
だが今は違う。今の琉生ならどこに出しても恥ずかしくない。確かにアルバイト禁止の高校だったため働いた経験はないが琉生には自分の事を許してあげるって言う意思がある。
「琉生~ちょっと良い?」
「いいよ?」
杏子が琉生の部屋に入る。
「どうしたの?」
「何かしてたの?」
「あ、図書館でさ心理学の本借りてきて読んでる」
「心理学?どうして?」
「なんかさ・・・・・・俺、将来の夢って父さんと同じ警察官だったんだけど。なんか今変わってきているんだよね、心理カウンセラーになりたくてさ」
「へぇ~」
「高校の速水先生居ただろ?俺あの人が居たから居場所があったから助かってた。でもそうじゃない悩んでいる学生が沢山居ると思うんだよね?そう言う子達の心のよりどころ?そんな感じになりたい」
紅葉さんの施設にはちょっと行けそうにないけどと付け足してはにかんで笑っていた。
「学校に戻れる目処はあるの?」
「それは正直、今はない。でも辞めてスッキリしたんだ。高校や大学はいつでも入り直したら良いし夜間も通信も色々勉強の形はあるから」
琉生が机に本を置いてベッドに座っている杏子の隣に座る。
「俺さもう少し変わりたいんだ。父さんや母さんみたく物理的な人助けは出来なくなったけど、速水先生や畑澤先生のように立派にもなれないけど、俺が悔いの無いように生きたい。それが今俺に出来る唯一の親孝行みたいな感じ」
「そっか。私は琉生は琉生のままで居てくれればいいんだよって言いたくて来たの」
「姉ちゃんはそれいつも言っているようなもんじゃん」
「あれ?そうかな?」
「そうだよ。姉ちゃんにも感謝しているんだ。ありがとう」
「大丈夫。琉生は独りじゃないからね?いつでも琉生の帰る場所はここにあるから!」
ぐわしぐわしと琉生の頭を撫で回す杏子。その目に涙が滲んでいたことを隠したかったから。
「いててっ、分かっているって」
みんながの力があったから自分は変われたんだ。みんなの力があったから、沢山の選択肢を与えて考える余裕をくれたから、この考えに至れたんだ。本当に周りのみんなには感謝しかない。
あんなに苦手だった森山の事さえも怒りや苦手意識なんかとう薄れてしまっていた。
みんなは何をしているんだろう?もう今年には進学や就職だ。その場から自分は逃げて現実から目を逸らした。自分にはもうあの場所にみんなの隣に居場所がないのだと。そんな資格など無い。隣に居ることすら許されないのだと。
でも今はこの経験が自分の新たなる可能性を広くした、今まで前しか見ることを許されなかった自分に周りを見る余裕と時間が出来た事でみんなの後ろから俯瞰して見ることが出来るようになった。いつかの佑依のように。佑樹は地元企業への就職を希望しているようだった。高校三年の試合で甲子園には行けなかったが、全力で戦った彼をこれからも一番側で応援できたらと思う。自分に周りに一番優しい彼ならきっと・・・・・・自分の果たせなかった何かを掴んでくれそうな気がする。
みんながそばに居たから力になってくれたから。琉生は立ち直ることが出来たし。自分はとても恵まれているんだと感じた。
病気になったときは自分がこの世で一番不幸でダメな奴なんだと思ったがその考えは沢山の人の手助けでそれは自分の思い込みだと思った。このくらいの苦労や屈辱は誰でも味わうことなんだ。自分はそこから逃げただけ。
大丈夫。何歳からでも何時始めても遅すぎることなんて無い。この世界でたった独りと言うこともない。
生きてきてよかったって思い笑える日は必ず来る。あとはそのために踠くだけなんだ。病気でもいいんだよ。障害があってもいいんだよ。生きるのが辛くて投げ出してもいいんだよ。
この世界で数人に嫌われてしまったって嫌われた人の数を数えるよりまだ世界には七十億人以上の人間がいるんだから片手や両手に収まるほどの人に嫌われたところで痛くも痒くもないんだよ?
琉生が生きている世界は暗く淀んだ世界かもしれない、治らない病気なかもしれない、でもその病気になると人生終わりなの?そんなの違うよ。大丈夫だよ、生きているなら自分の刻は止まらないから
自分で自分が存在しても良いと思う。つまり生きていくためなのだろう。
それはいったいどう言うことなのだろう?以前琉生が変わる前に、琉生が部屋に戻った後みんなで集まり話をしたことがあった。
「琉生。これから先大丈夫かしら?」
それは琉生の病気は完治はしないと調べて畑澤にも確認した後の話だった。
「琉生には琉生の生き方があるんだし」
「あなたはどう思う?」
「う~ん。まぁ母さんが言う通り、俺達は恐らくこのまま普通に生きていけば確実に琉生より先に死ぬし、残して逝くのは不安要素ではあるな」
「私が居るじゃん!」
杏子が声をあげる。しかし両親の意見はとても辛辣したものだった。
「じゃあ。もしこれから先、杏子が結婚して子供が出来た場合。旦那、子供の事もこなして琉生の面倒も見るのか?」
「え?それは・・・・・・」
杏子の顔が急に現実に引き戻された。杏子はまだ若いし、これから先の事は杏子も琉生も分からない。
「つまりそう言うこと」
「でも琉生はたった一人の弟よ!」
「その気持ちは有り難いけど、だからと言って杏子が何もかも犠牲にしたり、琉生の面倒を苦痛に思ったりして欲しくないのよ。琉生が理由で杏子の自由を奪うなんてしなくて良いってこと」
咲愛が杏子を見てそう話す。杏子は確かに今は琉生の事が心配で恋愛とかしていないけどこれから先、両親の言う通り琉生を理由に結婚しない、子供作らないは琉生のせいにしていることになる。自分が琉生の病気に甘えている。そう言うことになる。それじゃあ益々琉生の自立を妨げることになるだろう。
「琉生にはせめて生活する術は身に付けて欲しいけど、まぁまだ十七歳の琉生には早いかなぁ」
「生きる術なんか何歳でもつけられるから琉生が落ち着くまでもう少し待とう?」
「そうだな!」
「父さんも母さんも長生きしてね?」
「杏子と琉生が結婚するまでは生きたいな!」
「え?またまたぁ~」
「でも杏子を他の男にやるのも嫌だし・・・・・・」
そんな話をしたんだ。それは琉生が変わる前の話。
だが今は違う。今の琉生ならどこに出しても恥ずかしくない。確かにアルバイト禁止の高校だったため働いた経験はないが琉生には自分の事を許してあげるって言う意思がある。
「琉生~ちょっと良い?」
「いいよ?」
杏子が琉生の部屋に入る。
「どうしたの?」
「何かしてたの?」
「あ、図書館でさ心理学の本借りてきて読んでる」
「心理学?どうして?」
「なんかさ・・・・・・俺、将来の夢って父さんと同じ警察官だったんだけど。なんか今変わってきているんだよね、心理カウンセラーになりたくてさ」
「へぇ~」
「高校の速水先生居ただろ?俺あの人が居たから居場所があったから助かってた。でもそうじゃない悩んでいる学生が沢山居ると思うんだよね?そう言う子達の心のよりどころ?そんな感じになりたい」
紅葉さんの施設にはちょっと行けそうにないけどと付け足してはにかんで笑っていた。
「学校に戻れる目処はあるの?」
「それは正直、今はない。でも辞めてスッキリしたんだ。高校や大学はいつでも入り直したら良いし夜間も通信も色々勉強の形はあるから」
琉生が机に本を置いてベッドに座っている杏子の隣に座る。
「俺さもう少し変わりたいんだ。父さんや母さんみたく物理的な人助けは出来なくなったけど、速水先生や畑澤先生のように立派にもなれないけど、俺が悔いの無いように生きたい。それが今俺に出来る唯一の親孝行みたいな感じ」
「そっか。私は琉生は琉生のままで居てくれればいいんだよって言いたくて来たの」
「姉ちゃんはそれいつも言っているようなもんじゃん」
「あれ?そうかな?」
「そうだよ。姉ちゃんにも感謝しているんだ。ありがとう」
「大丈夫。琉生は独りじゃないからね?いつでも琉生の帰る場所はここにあるから!」
ぐわしぐわしと琉生の頭を撫で回す杏子。その目に涙が滲んでいたことを隠したかったから。
「いててっ、分かっているって」
みんながの力があったから自分は変われたんだ。みんなの力があったから、沢山の選択肢を与えて考える余裕をくれたから、この考えに至れたんだ。本当に周りのみんなには感謝しかない。
あんなに苦手だった森山の事さえも怒りや苦手意識なんかとう薄れてしまっていた。
みんなは何をしているんだろう?もう今年には進学や就職だ。その場から自分は逃げて現実から目を逸らした。自分にはもうあの場所にみんなの隣に居場所がないのだと。そんな資格など無い。隣に居ることすら許されないのだと。
でも今はこの経験が自分の新たなる可能性を広くした、今まで前しか見ることを許されなかった自分に周りを見る余裕と時間が出来た事でみんなの後ろから俯瞰して見ることが出来るようになった。いつかの佑依のように。佑樹は地元企業への就職を希望しているようだった。高校三年の試合で甲子園には行けなかったが、全力で戦った彼をこれからも一番側で応援できたらと思う。自分に周りに一番優しい彼ならきっと・・・・・・自分の果たせなかった何かを掴んでくれそうな気がする。
みんながそばに居たから力になってくれたから。琉生は立ち直ることが出来たし。自分はとても恵まれているんだと感じた。
病気になったときは自分がこの世で一番不幸でダメな奴なんだと思ったがその考えは沢山の人の手助けでそれは自分の思い込みだと思った。このくらいの苦労や屈辱は誰でも味わうことなんだ。自分はそこから逃げただけ。
大丈夫。何歳からでも何時始めても遅すぎることなんて無い。この世界でたった独りと言うこともない。
生きてきてよかったって思い笑える日は必ず来る。あとはそのために踠くだけなんだ。病気でもいいんだよ。障害があってもいいんだよ。生きるのが辛くて投げ出してもいいんだよ。
この世界で数人に嫌われてしまったって嫌われた人の数を数えるよりまだ世界には七十億人以上の人間がいるんだから片手や両手に収まるほどの人に嫌われたところで痛くも痒くもないんだよ?
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