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第一部 リューナジア城編
第三十一話 ここが勝負どころっ!
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「絶対に私どもが協力しなければならない理由……?」
マクシミリアンは今度こそ堪え切れず眉を顰めた。
「そのような脅迫めいたはったりは悪手ですよ」と言わんばかりにその口元は苦笑いを浮かべている。
だがこれははったりなどではない。
僕は笑みを深めると口を開いた。
「マクシミリアンさんは今の商売が安定しているから僕たちに出資する必要性がないと仰いましたよね? もしもそれがこの先不安定になるような出来事があるとしたらどうしますか。何か他の商売を始めて稼がないといけないですよね」
すらすらと言葉が流れ出る僕の様子にお兄ちゃんが目を丸くしている。
お兄ちゃんの前では年齢相応の振舞いをしているのが心地良かったからね。
でも今この場ではちょっと前世の自分を思い出して喋らなければならない。
ここが勝負どころだ。
マクシミリアンは僕の言葉に困ったような顔を浮かべた。
「ははあ、それはごもっともでございますね。しかし残念ながら宝石の価値はそうそう下がるものではありません。万が一経済情勢が不安定になりご婦人方が宝石で着飾る余裕が無くなるようなことがあろうと、私どもは魔石も数多く取り扱っております。ご存知ですか、魔石とは魔術師の方々にとっては消耗品なのですよ。言わば必需品です」
出来の悪い生徒に語るような口調でマクシミリアンは滔々と説明する。
「この国で魔術が滅びるような事のない限り魔石の需要は消えません。特にこの国の最高学府たる国立魔術院からは毎月大口の注文を頂いております」
「じゃあもし、その国立魔術院が近々潰れることになると言ったら?」
僕のその言葉にマクシミリアンの表情が固まった。
「はい……?」
そう、それは実際に起こる。
何故ならタソトキで必ず起こるイベントだからだ。
国立魔術院が潰れ、その余波を受けてクラレンス商会が経営難に陥るイベントがタソトキではある。
この時クラレンス商会に資金を貸し付けることで安定して利子で稼ぐというのが商人プレイでの定石である。
国立魔術院が潰れるイベントは結構序盤で発生するので、イベント発生までにクラレンス商会に貸し付けられるだけの資金を稼いでおくのが結構難しくコツがいるのだこれが。
ちなみに資金を貸すのではなく無償で与えるという選択肢もある。
それまで大商人のサラブレッドとして幼い頃から商人の英才教育を受けて育ち、常に金を稼ぐことだけを考えて生きてきたマクシミリアンが初めて無償の愛に触れることで心を開き、彼を攻略可能になるらしい。
行商人プレイにしか興味の無かった僕は実践したことはないが。
いつもはその資金稼ぎに利用してきたイベントを、今回はクラレンス商会をパトロンにする為の信用稼ぎに遣わせてもらう――――それが僕の作戦だった。
マクシミリアンは今度こそ堪え切れず眉を顰めた。
「そのような脅迫めいたはったりは悪手ですよ」と言わんばかりにその口元は苦笑いを浮かべている。
だがこれははったりなどではない。
僕は笑みを深めると口を開いた。
「マクシミリアンさんは今の商売が安定しているから僕たちに出資する必要性がないと仰いましたよね? もしもそれがこの先不安定になるような出来事があるとしたらどうしますか。何か他の商売を始めて稼がないといけないですよね」
すらすらと言葉が流れ出る僕の様子にお兄ちゃんが目を丸くしている。
お兄ちゃんの前では年齢相応の振舞いをしているのが心地良かったからね。
でも今この場ではちょっと前世の自分を思い出して喋らなければならない。
ここが勝負どころだ。
マクシミリアンは僕の言葉に困ったような顔を浮かべた。
「ははあ、それはごもっともでございますね。しかし残念ながら宝石の価値はそうそう下がるものではありません。万が一経済情勢が不安定になりご婦人方が宝石で着飾る余裕が無くなるようなことがあろうと、私どもは魔石も数多く取り扱っております。ご存知ですか、魔石とは魔術師の方々にとっては消耗品なのですよ。言わば必需品です」
出来の悪い生徒に語るような口調でマクシミリアンは滔々と説明する。
「この国で魔術が滅びるような事のない限り魔石の需要は消えません。特にこの国の最高学府たる国立魔術院からは毎月大口の注文を頂いております」
「じゃあもし、その国立魔術院が近々潰れることになると言ったら?」
僕のその言葉にマクシミリアンの表情が固まった。
「はい……?」
そう、それは実際に起こる。
何故ならタソトキで必ず起こるイベントだからだ。
国立魔術院が潰れ、その余波を受けてクラレンス商会が経営難に陥るイベントがタソトキではある。
この時クラレンス商会に資金を貸し付けることで安定して利子で稼ぐというのが商人プレイでの定石である。
国立魔術院が潰れるイベントは結構序盤で発生するので、イベント発生までにクラレンス商会に貸し付けられるだけの資金を稼いでおくのが結構難しくコツがいるのだこれが。
ちなみに資金を貸すのではなく無償で与えるという選択肢もある。
それまで大商人のサラブレッドとして幼い頃から商人の英才教育を受けて育ち、常に金を稼ぐことだけを考えて生きてきたマクシミリアンが初めて無償の愛に触れることで心を開き、彼を攻略可能になるらしい。
行商人プレイにしか興味の無かった僕は実践したことはないが。
いつもはその資金稼ぎに利用してきたイベントを、今回はクラレンス商会をパトロンにする為の信用稼ぎに遣わせてもらう――――それが僕の作戦だった。
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