悪逆第四皇子は僕のお兄ちゃんだぞっ! ~商人になりたいので悪逆皇子の兄と組むことにします~

野良猫のらん

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第一部 リューナジア城編

第六十二話 あいつらを見返そう ①

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「おにーちゃん! 皇帝の誕生祭であの皇子たちを見返そう!」

 お兄ちゃんの部屋に戻ってきた僕は、開口第一声で訴えた。

「一体どうしたんだ、カレン?」
「だってこのままじゃ悔しいもん! おにーちゃんの凄さを知らしめなきゃ!」

 発奮して訴えるが、お兄ちゃんはあまり乗り気ではないらしい。

「なんでまたそういう話になるんだ。あんな奴ら、無視しておけばいいだろう」

 タソトキの中のウィルフリートは復讐の為にクーデターまで起こしたのに、僕のお兄ちゃんは何故だか「無視すればいい」という意見のようだ。ゲームの中のウィルフリートとは少しずつ性格が変わってきているのかな。なんでだろう?

「だって、だって、僕のおにーちゃんが馬鹿にされて悔しいし……それに、このままじゃ僕も危ういもん!」

 現状を正さねばと思う何よりの理由がそれだった。

「カレンが危ういとはどういうことだ?」

 僕が危ないと聞くなり、お兄ちゃんの目の色が変わる。

「だって今回はおにーちゃんが誤魔化してくれたけれど、いずれは僕が第五皇子だってことは他の皇子にもバレると思う。そしたら派閥争いとかそういうのに巻き込まれるかもしれないけれど、僕の体力でそんなのに付き合わされたらどうなるか分からないよ」

 シアは僕の体力は自然にしていれば付くと言っていたけれど、あの皇子たちの諍いにあの調子で付き合わされたら大きくなるまでもたないだろう。確実にダウンしてしまう。

「確かに……だが、どうすればいいんだ?」
「その為にあの皇子たちを見返すんだよ! ぎゃふんと言わせて、僕たちを放っておいてって宣言するんだ!」

 お兄ちゃんの凄さが分かれば、あの皇子たちも無暗にちょっかいを出してこないであろう。

「その理屈は分かるが、あの馬鹿どもにオレの作っている物の価値が理解できるとは思えないな」
「そんなことないよ! ちゃんと策を練ってきちんと凄さを見せつければきっと分かってもらえる!」

 僕は眉をきりっとさせて力説した。
 お兄ちゃんの作る物は凄いのだから、ぎゃふんと言わせることは絶対に可能な筈だ。

「凄さを見せつけるとは、具体的に何をどうするんだ?」

 お兄ちゃんの問いに、僕は自分の考えを披露することにした。

「第二皇子のロイに半年後の皇帝の誕生祭を期限として提示されたでしょ? その時までに眼鏡と望遠鏡を完成させて流行らせよう! おにーちゃんの作った物でたくさんお金儲けができるって知ればみんな何も言えないよ!」

 そう、僕たちは自分の力だけでお金を稼いで生きていけると知らしめてやるのだ。
 見る者すべてをひれ伏せさせるこの世界で最も強大な力、それは魔法なんかじゃない――――金だ。
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