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第二部 セルフィニエ辺境伯領編
第百七話 お兄ちゃんの策略
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「それで、一体全体どうして公爵家の嫡男なんて名乗ることになってるの?」
何がどうしてそんなことになったのか尋ねる。
「ああ、そこから説明しなければな」
「そうだよ。僕何も知らないからね」
こくりと頷くと、お兄ちゃんが説明を始めてくれた。
何でも最初はそのまま皇子として南部に修行の名目で行けないかと打診したそうだ。
「帝位を継がなかった皇子は公爵位を与えられて適当な領土を治めることになるからな。嘘は言っていない」
兄が大人しく領土を治めるような将来を送るとは思えず、兄の言葉を訝しんだ。
それはともかくとして、兄のその打診はあっさりと却下された。
僕の傍にいたいから言っていることが見え見えだったからだろう。
「だから次にオレは秘密裏に南に行くことを考えた」
そう考えたお兄ちゃんはまずさる公爵に恩を売ることを考えた。
それがアッシュフィールド家だ。
お兄ちゃんは今度は南ではなくアッシュフィールド家に修行に行くと宰相に伝えた。
それに関しては許可が下りた。
「だがアッシュフィールド家はオレの協力者だ。オレはアッシュフィールド家にいるということにしてもらって、実際は公爵家の名を借りて此処に来たという訳だ。今のオレはウィルフリート・クラム・アッシュフィールドということになっている」
随分と大胆な手だ。もしバレたらどうするつもりなんだろう。
「恩を売ったって、何をしたの?」
「まあ、それは色々とな。オレの発明品と財力を駆使して」
眼鏡やモノクルが売れてくれたおかげでお兄ちゃんの懐はだいぶ潤っている。
だから買おうと思えば大抵の物は買えると思うが……一体何をしたのか詳しくは聞かないことにした。
「そっか、そこまでしてくれたんだ。それで最近は忙しそうにしてたんだねお兄ちゃん」
最近は商品開発も休んで色々動き回っていたことは知っていた。
僕の南部行きに関する何かをしているのだろうとは思っていたが、まさかそんな裏工作をしていたとは。
「……それって全部、僕のために?」
僕は内心心配していた。
タソトキの中のウィルフリートは南部に来たりしない。
パトロンを得て工房だか工場を作るのは同じだが、作るのは眼鏡とかではなく武器だ。
そこでマスケット銃か猟銃か何かを量産してクーデターを起こす為の力を蓄えるのだ。
兄のその運命を僕が勝手に変えてしまったみたいで、申し訳ない思いがしていた。
「当たり前だ。お前以上に大事なものなどオレにはない」
お兄ちゃんは僕の瞳を真っ直ぐ見て言った。
その兄の瞳を見て悟った。
僕のお兄ちゃんはもうタソトキの中のウィルフリートとは別人なのだと。
僕のお兄ちゃんはもうクーデターを起こしたりなんだりしようという野望は持っていないのかもしれない。
それなら、あまり気にしなくていいのだろうか。
僕はただ、お兄ちゃんが僕のことを大事に想ってくれていることが嬉しかった。
何がどうしてそんなことになったのか尋ねる。
「ああ、そこから説明しなければな」
「そうだよ。僕何も知らないからね」
こくりと頷くと、お兄ちゃんが説明を始めてくれた。
何でも最初はそのまま皇子として南部に修行の名目で行けないかと打診したそうだ。
「帝位を継がなかった皇子は公爵位を与えられて適当な領土を治めることになるからな。嘘は言っていない」
兄が大人しく領土を治めるような将来を送るとは思えず、兄の言葉を訝しんだ。
それはともかくとして、兄のその打診はあっさりと却下された。
僕の傍にいたいから言っていることが見え見えだったからだろう。
「だから次にオレは秘密裏に南に行くことを考えた」
そう考えたお兄ちゃんはまずさる公爵に恩を売ることを考えた。
それがアッシュフィールド家だ。
お兄ちゃんは今度は南ではなくアッシュフィールド家に修行に行くと宰相に伝えた。
それに関しては許可が下りた。
「だがアッシュフィールド家はオレの協力者だ。オレはアッシュフィールド家にいるということにしてもらって、実際は公爵家の名を借りて此処に来たという訳だ。今のオレはウィルフリート・クラム・アッシュフィールドということになっている」
随分と大胆な手だ。もしバレたらどうするつもりなんだろう。
「恩を売ったって、何をしたの?」
「まあ、それは色々とな。オレの発明品と財力を駆使して」
眼鏡やモノクルが売れてくれたおかげでお兄ちゃんの懐はだいぶ潤っている。
だから買おうと思えば大抵の物は買えると思うが……一体何をしたのか詳しくは聞かないことにした。
「そっか、そこまでしてくれたんだ。それで最近は忙しそうにしてたんだねお兄ちゃん」
最近は商品開発も休んで色々動き回っていたことは知っていた。
僕の南部行きに関する何かをしているのだろうとは思っていたが、まさかそんな裏工作をしていたとは。
「……それって全部、僕のために?」
僕は内心心配していた。
タソトキの中のウィルフリートは南部に来たりしない。
パトロンを得て工房だか工場を作るのは同じだが、作るのは眼鏡とかではなく武器だ。
そこでマスケット銃か猟銃か何かを量産してクーデターを起こす為の力を蓄えるのだ。
兄のその運命を僕が勝手に変えてしまったみたいで、申し訳ない思いがしていた。
「当たり前だ。お前以上に大事なものなどオレにはない」
お兄ちゃんは僕の瞳を真っ直ぐ見て言った。
その兄の瞳を見て悟った。
僕のお兄ちゃんはもうタソトキの中のウィルフリートとは別人なのだと。
僕のお兄ちゃんはもうクーデターを起こしたりなんだりしようという野望は持っていないのかもしれない。
それなら、あまり気にしなくていいのだろうか。
僕はただ、お兄ちゃんが僕のことを大事に想ってくれていることが嬉しかった。
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