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第二部 セルフィニエ辺境伯領編
第百四十一話 初めての魔術の授業 ③
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僕はにまにまとしながら手の平に灯った火を見つめる。
これが僕が魔術で点けた火だ。嬉しくて堪らない。
「殿下は少なくとも火の属性の適正があるようですね。ではその火を一分間持続させて下さい。殿下の魔力量であれば余裕なはずです」
「はい!」
元気に返事をする。
言われた通り火を灯し続けることにする。
「……」
特に何事もなく燃やし続けることができるので暇だ。
魔力めいたものが吸われている感覚もない。
暇なのでこの火についてつらつらと考えを巡らせてみたりもする。
これは灯り用の熱くない火だということだけれど、熱くない火っていったい何なんだろう。
エリオットの氷は融解点が常温以上まで引き上げられてるから常温でも融けない、つまり冷たくない氷だということだった。
では熱くない火の場合は燃えてるけど熱が発生してない火だということだろうか。分からない。不思議だ。
いやそもそもこの火は本当に燃えてるのだろうか?
火というのは常に何かを燃やしてそこに存在しているはずだ。
この火は一体何を燃やしてるんだ?
魔術の行使に魔力が必要だということを考えると、魔力を燃やしていると考えるのが妥当だろうか。
ガスコンロから出る火のように僕の手の平から魔力が出てて、それを燃料にして燃えている?
しかしだとすれば僕の手の平から少し浮いた位置に炎が出ているのは何故だろう。僕の手の平から出ている魔力を燃料にしているのならば、炎も僕の手から直接出ていなければおかしいはずだ。
駄目だ、この説では納得できない。
「あ、あれ?」
不意に火が消えてしまっていた。
揺らめいて消えたとかではなく、最初から何もなかったみたいにパッと消えてしまった。
今は手のひらの上に何も浮かんでいない。
「ッ!」
バスティアンさんの顔色がさっと変わる。
「あり得ない、何だ今の消え方は……!」
バスティアンさんが青褪める。
彼の顔色を見てどうやら僕は何か大変な失敗をしてしまったようだと悟った。
「魔力不足、な訳がない。魔力容量から考えてもこんな初級の魔術を一分も保てない訳がないし、それにその場合は段々と火が小さくなるはずだ。魔術妨害装置の類が何処かで発動している気配も感じられない。となると、もしや……!」
ぶつぶつ呟いていたバスティアンさんがハッと顔を上げる。
僕はビクリと縮こまった。
「カレン殿下――――魔術を使用している時、何を考えていましたか?」
声を潜めたバスティアンさんが真剣な目で僕を見つめている。
何を考えていたか? そんなことが魔術に関係するのだろうか。
「え、えっ? どんな仕組みなのかなって考えてました」
ビクビクしながら答えた。
「殿下。それはいけません。仕組みなど考えなくとも正しきイメージを浮かべて呪文を唱えれば魔術は発現するのです」
存外に厳しい口調で言われた。
いつも優しいバスティアンさんが厳めしい顔つきをしている。
「よろしいですか。二度と。魔術の仕組みを考えたりなどしてはいけません」
「は、はい……」
彼の圧力に頷かざるを得なかった。
でも魔術の仕組みを考えたらいけないって何でだろう。
何故バスティアンさんはそんなことを言うのだろう?
結局その日はそれで授業が終わった。
僕の心は納得できない気持ちでいっぱいになった。
これが僕が魔術で点けた火だ。嬉しくて堪らない。
「殿下は少なくとも火の属性の適正があるようですね。ではその火を一分間持続させて下さい。殿下の魔力量であれば余裕なはずです」
「はい!」
元気に返事をする。
言われた通り火を灯し続けることにする。
「……」
特に何事もなく燃やし続けることができるので暇だ。
魔力めいたものが吸われている感覚もない。
暇なのでこの火についてつらつらと考えを巡らせてみたりもする。
これは灯り用の熱くない火だということだけれど、熱くない火っていったい何なんだろう。
エリオットの氷は融解点が常温以上まで引き上げられてるから常温でも融けない、つまり冷たくない氷だということだった。
では熱くない火の場合は燃えてるけど熱が発生してない火だということだろうか。分からない。不思議だ。
いやそもそもこの火は本当に燃えてるのだろうか?
火というのは常に何かを燃やしてそこに存在しているはずだ。
この火は一体何を燃やしてるんだ?
魔術の行使に魔力が必要だということを考えると、魔力を燃やしていると考えるのが妥当だろうか。
ガスコンロから出る火のように僕の手の平から魔力が出てて、それを燃料にして燃えている?
しかしだとすれば僕の手の平から少し浮いた位置に炎が出ているのは何故だろう。僕の手の平から出ている魔力を燃料にしているのならば、炎も僕の手から直接出ていなければおかしいはずだ。
駄目だ、この説では納得できない。
「あ、あれ?」
不意に火が消えてしまっていた。
揺らめいて消えたとかではなく、最初から何もなかったみたいにパッと消えてしまった。
今は手のひらの上に何も浮かんでいない。
「ッ!」
バスティアンさんの顔色がさっと変わる。
「あり得ない、何だ今の消え方は……!」
バスティアンさんが青褪める。
彼の顔色を見てどうやら僕は何か大変な失敗をしてしまったようだと悟った。
「魔力不足、な訳がない。魔力容量から考えてもこんな初級の魔術を一分も保てない訳がないし、それにその場合は段々と火が小さくなるはずだ。魔術妨害装置の類が何処かで発動している気配も感じられない。となると、もしや……!」
ぶつぶつ呟いていたバスティアンさんがハッと顔を上げる。
僕はビクリと縮こまった。
「カレン殿下――――魔術を使用している時、何を考えていましたか?」
声を潜めたバスティアンさんが真剣な目で僕を見つめている。
何を考えていたか? そんなことが魔術に関係するのだろうか。
「え、えっ? どんな仕組みなのかなって考えてました」
ビクビクしながら答えた。
「殿下。それはいけません。仕組みなど考えなくとも正しきイメージを浮かべて呪文を唱えれば魔術は発現するのです」
存外に厳しい口調で言われた。
いつも優しいバスティアンさんが厳めしい顔つきをしている。
「よろしいですか。二度と。魔術の仕組みを考えたりなどしてはいけません」
「は、はい……」
彼の圧力に頷かざるを得なかった。
でも魔術の仕組みを考えたらいけないって何でだろう。
何故バスティアンさんはそんなことを言うのだろう?
結局その日はそれで授業が終わった。
僕の心は納得できない気持ちでいっぱいになった。
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