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第六章 守り神
6-1 守護樹
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「うわあ、これか……」
穀倉帯のちょうど中央あたり、街からは少し距離があるが、それでも普段は背の高い防壁越しでも、そのてっぺんが見えていたという立派な巨木。
それが今や見る影もない状態になっていた。
まるで雷に打たれたかのように真ん中から裂けている。
しかも、一年中葉をつけているはずの守護樹が、見事に一枚の葉さも残っていないのだ。
一般的に守護樹に用いられるのは、その葉や樹皮が薬用にも使え、とても頑丈な大樹に成長する常葉樹である。
きちんと定期的に穢れ払いさえすれば、貧しい農村にとって、薬となり、健康を保つお茶として、軽い病なら症状を緩和する万能薬となる守護樹は、まさに守り神のような存在だった。
『裂けた原因はともかく、ところどころ燃えておるのは、あの二人の狐火じゃな。一体何をしでかしたのやら』
ツクの言葉に、セインはため息をつくしかない。
とりあえずセインの仕事は、守護樹の状態の調査と、それによって不都合なことが起こってないかの確認。それから、解決策の模索。
「ウーセ兄上が途中で合流してくれるらしいから、最終的な儀式は心配してないけど……」
その他の厄介ごとを、丸投げされたようなものである。
そもそも、この惨状を見た後、のこのこと集落の責任者に会うのがとても気まずい。セインは今回、鉱山都市の表玄関から入らずに、防衛壁をぐるっと回って穀倉帯の方へ直接来たのだ。首長、すなわち長老がいるのは、鉱山都市の外れにある集落の中である。
「うう、行きたくない」
『そのようなわけには参りませんよ。何事も、まずは挨拶をなさいませんと』
ゆらがもっともなことを言う。もちろんセインだってわかっている。今回のことで、今現在、なにか不都合なことが起こってないかも、聞き込みをしなくてはならない。
セインは覚悟を決めて、鉱山都市の裏手側から直接街に入ることにした。
今回は侯爵家の馬車に乗って来たので、門番のチェックはスルーである。馬車置き場に馬を預け、いくつかの果樹園と畑を抜けると、石造りの家屋が見えてきた。
このあたりでは、親族同士で二階建てくらいの割と大きな建物にまとまって暮らしている。小さな一軒家はあまりないようだ。
セインの正体を知ってか知らずか、子供たちが遠巻きに注目しているし、農作業の手を止めた大人たちが、明らかに歓迎してない様子でこちらを見ていた。
「静かですね……」
サキが、居心地が悪そうに荷物の入ったリュックを背負いなおして、首を竦めている。そのサキの頭にはコウが、セインの首にはハクが顔をひっこめて巻き付いている。他にも式たちがいるのだが、普通の人には二人の子供が連れ立って歩いているようにしか見えないだろう。
相変わらず住民は、こちらを気にしているようだが近寄ってこない。
「とにかく兄上が言っていた長老とやらに会ってみよう」
穀倉帯のちょうど中央あたり、街からは少し距離があるが、それでも普段は背の高い防壁越しでも、そのてっぺんが見えていたという立派な巨木。
それが今や見る影もない状態になっていた。
まるで雷に打たれたかのように真ん中から裂けている。
しかも、一年中葉をつけているはずの守護樹が、見事に一枚の葉さも残っていないのだ。
一般的に守護樹に用いられるのは、その葉や樹皮が薬用にも使え、とても頑丈な大樹に成長する常葉樹である。
きちんと定期的に穢れ払いさえすれば、貧しい農村にとって、薬となり、健康を保つお茶として、軽い病なら症状を緩和する万能薬となる守護樹は、まさに守り神のような存在だった。
『裂けた原因はともかく、ところどころ燃えておるのは、あの二人の狐火じゃな。一体何をしでかしたのやら』
ツクの言葉に、セインはため息をつくしかない。
とりあえずセインの仕事は、守護樹の状態の調査と、それによって不都合なことが起こってないかの確認。それから、解決策の模索。
「ウーセ兄上が途中で合流してくれるらしいから、最終的な儀式は心配してないけど……」
その他の厄介ごとを、丸投げされたようなものである。
そもそも、この惨状を見た後、のこのこと集落の責任者に会うのがとても気まずい。セインは今回、鉱山都市の表玄関から入らずに、防衛壁をぐるっと回って穀倉帯の方へ直接来たのだ。首長、すなわち長老がいるのは、鉱山都市の外れにある集落の中である。
「うう、行きたくない」
『そのようなわけには参りませんよ。何事も、まずは挨拶をなさいませんと』
ゆらがもっともなことを言う。もちろんセインだってわかっている。今回のことで、今現在、なにか不都合なことが起こってないかも、聞き込みをしなくてはならない。
セインは覚悟を決めて、鉱山都市の裏手側から直接街に入ることにした。
今回は侯爵家の馬車に乗って来たので、門番のチェックはスルーである。馬車置き場に馬を預け、いくつかの果樹園と畑を抜けると、石造りの家屋が見えてきた。
このあたりでは、親族同士で二階建てくらいの割と大きな建物にまとまって暮らしている。小さな一軒家はあまりないようだ。
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「静かですね……」
サキが、居心地が悪そうに荷物の入ったリュックを背負いなおして、首を竦めている。そのサキの頭にはコウが、セインの首にはハクが顔をひっこめて巻き付いている。他にも式たちがいるのだが、普通の人には二人の子供が連れ立って歩いているようにしか見えないだろう。
相変わらず住民は、こちらを気にしているようだが近寄ってこない。
「とにかく兄上が言っていた長老とやらに会ってみよう」
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