晴明、異世界に転生する!

るう

文字の大きさ
118 / 137
第七章 海への道

7-3 依頼書2

しおりを挟む
「ああ、はい。この依頼……実は、数日前まで銅ランク対象だったんですが、あまりにリタイヤが多くて、銀ランクに上がったんですよ」

 依頼書とギルドカードを渡したセインに、赤毛の受付嬢は困ったようにそう答えた。実際に厄介な依頼書なのだろう。なにしろ、銀ランクでさえ前回失敗しているのだから。

「……なるほど。失敗した方の情報とかはいただけるのですか?」
「はい、依頼主からの経過報告と、ハンターの開示許可のある報告書はお見せできますよ。閲覧しますか?」

 それに頷いて、簡単な報告書のようなものを渡された。
 
『銅ランクの穢れ払いでは全く効果がなかったようじゃな。銀ランクの穢れ払いでは……』
「効果はみられたが、それほどの回復はなかった、か。どうやら、銀ランクは正規の札を使ったようだね。銅ランクは、何も書いてないのでわからないけど」
『この町の流通状態から見て、粗悪品を使った可能性がありますね』

 ツクに続いて、ゆらも報告書を覗き込んでいる。

「うーん、現物見ないと判断できないけど、正規品の穢れ払いの札を使っても効果がないとなると」

 テンが思い当たったように「あっ」と声をあげた。

『穢れ札?』
「そうかも。ちょっと厄介だけど、今回は相手が無機物だしね」

 対象の大きさや、呪病状態の程度、何より相手が生物かどうか、など穢れ払いの状況は多岐に渡る。
 守護樹の場合は、対象を健全に蘇らせるという課題が残っているが、呪病自体は双子の穢れ払いの狐火と、ウーセの祭事により、ほぼ完治している。
 もっとも、双子の中途半端な穢れ払いのせいで、守護樹が自ら患部を取り除こうして大ダメージを負ったように、術者の手腕によっては、かなりのリスクを伴うことになる。
 植物相手でも、双子がやらかしたようにシャレにならない状態になるのだ。これが生物なら、それこそ取り返しがつかないことになるだろう。

「この依頼、受けます」

 そう言って依頼を正式に受けたセインは、とりあえず受付嬢におすすめの食堂と宿屋を教えてもらった。

「基本的に宿屋でもお食事はできます。あとは早朝の朝市なら多くの屋台で賑わいますし、港の近くまで行けば美味しい魚料理が食べられますよ」

 受付嬢は、比較的治安が良い町の中心地の「銀波亭」という宿屋を紹介した。調査したい港からは少し遠いようだが、今回のクエストを依頼した商店の近くで、いろいろな商業施設が集まった場所のようだ。
 ギルドから、依頼を受諾した証明、および紹介状を貰って、セインはさっそく宿屋に向かった。とりあえずは、なにより寝床確保である。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

天才王子、引き篭もる……いや、引き篭もれない

戯言の遊び
ファンタジー
平穏に暮らしたいだけなのに、なぜ問題が山積みなんだ……!?」 辺境に飛ばされた“元サラリーマン王子”、引き篭もるつもりが領地再生の英雄に――! 現代日本で社畜生活を送っていた青年・レオンは、ある日突然、 中世ヨーロッパ風の王国「リステリア」の第五王子として転生する。 怠惰で引き篭もり体質なレオンは、父王により“国の厄介払い”として 荒れ果てた辺境〈グレイア領〉の領主を任される。 だが、現代知識と合理的な発想で領内を改革していくうちに、 貧困の村は活気を取り戻し――気づけば人々からこう呼ばれていた。 『良領主様』――いや、『天才王子』と。 領民想いのメイド・ミリア、少女リィナ、そして個性派冒険者たちと共に、 引き篭もり王子のスローライフ(予定)は、今日もなぜか忙しい! 「平穏に暮らしたいだけなのに、なぜ問題が山積みなんだ……!?」 社畜転生王子、引き篭もりたいのに領地がどんどん発展していく! ――働きたくないけど、働かざるを得ない異世界領主譚! こちらは、以前使っていたプロットを再構成して投稿しています 是非、通学や通勤のお供に、夜眠る前のお供に、ゆるりとお楽しみ下さい

学生時代、私をいじめていた女と一緒に異世界召喚されたけど、無能扱いされた私が実は本物の聖女で、いじめていた女は災厄を呼ぶ魔女でした。

さら
恋愛
いじめていた女と一緒に異世界召喚された私。 聖女として選ばれたのは彼女で、私は無能扱いされ追放された。 だが、辺境の村で暮らす中で気づく。 私の力は奇跡を起こすものではなく、 壊れた世界を“元に戻す”本物の聖女の力だった。 一方、聖女として祭り上げられた彼女は、 人々の期待に応え続けるうち、 世界を歪め、災厄を呼ぶ魔女へと変わっていく――。

超能力者なので、特別なスキルはいりません!

ごぢう だい
ファンタジー
 十歳の頃に落雷の直撃を受けた不遇の薫子は、超能力に目覚める。その後十六歳の時に二度目の落雷により、女神テテュースの導きにより、異世界へ転移してしまう。ソード&マジックの世界で、薫子が使えるのは超能力だけ。  剣も魔法も全く使えない薫子の冒険譚が始まる……。

この子、貴方の子供です。私とは寝てない? いいえ、貴方と妹の子です。

サイコちゃん
恋愛
貧乏暮らしをしていたエルティアナは赤ん坊を連れて、オーガスト伯爵の屋敷を訪ねた。その赤ん坊をオーガストの子供だと言い張るが、彼は身に覚えがない。するとエルティアナはこの赤ん坊は妹メルティアナとオーガストの子供だと告げる。当時、妹は第一王子の婚約者であり、現在はこの国の王妃である。ようやく事態を理解したオーガストは動揺し、彼女を追い返そうとするが――

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

筑豊国伝奇~転生した和風世界で国造り~

九尾の猫
ファンタジー
亡くなった祖父の後を継いで、半農半猟の生活を送る主人公。 ある日の事故がきっかけで、違う世界に転生する。 そこは中世日本の面影が色濃い和風世界。 しかも精霊の力に満たされた異世界。 さて…主人公の人生はどうなることやら。

俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?

八神 凪
ファンタジー
ある日、バイト帰りに熱血アニソンを熱唱しながら赤信号を渡り、案の定あっけなくダンプに轢かれて死んだ 『壽命 懸(じゅみょう かける)』 しかし例によって、彼の求める異世界への扉を開くことになる。 だが、女神アウロラの陰謀(という名の嫌がらせ)により、異端な「回復魔王」となって……。 異世界ペンデュース。そこで彼を待ち受ける運命とは?

処理中です...