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第一話 休憩室での女子トーク
しおりを挟む「ねえねえ、聞いた? 戦帝がもうすぐ戻られるって!!」
王宮の端にある騎士団詰所兼寮にある侍女控え室。
ツヤツヤした腰までの長さを持つ金色の髪にシャープな青い瞳を持ち紺色のワンピースに白いエプロンを付け黒いタイツに黒い靴という侍女の服を着た美人な侍女の先輩が興奮気味に話すのを茶色い髪とクリっとした丸い茶色い瞳の侍女の装いをしたナディアは聞かされている。
「はぁ……」
あまり興味がないためどう反応していいのか、ナディアは困り気味の気のない返事を返す。
今、王都で一番の話題に対するそっけない後輩の返事に美人な先輩であるミリアは眉をひそめた。
「何よ、ナディア、素っ気ないわね。あの戦帝だよ。我が国マルダレアの英雄、戦帝 オスカー・グラフトン様が王都に帰還されるのよ。一度お姿を見たくないの?」
子爵令嬢でもあるミリアの鼻息は荒い。熱く語られても興味があまりないナディアは返事に困ってしまう。
「侯爵家の次男なのに、まだ婚約者もおられないから、チャンスがあるかも……」
そう言ってナディアに同意を求めながら嬉しそうに話すミリア先輩の様子を見て、美しいミリア先輩ならチャンスがあるのではないかとナディアは思う。
「ミリア先輩は子爵令嬢なので、チャンスがあるかもしれませんが、私はただの平民なので、たぶん見るだけだと思いますよ?」
ナディアは自分の身の丈を考え、正直言って、自分には関係のない話だと思っている。
「ナディア、あなた平民って言うけれど、この間まで男爵令嬢だったじゃあない!!」
行儀見習いで侍女をしているミリアと違い、元男爵令嬢とは言え今は爵位返上をして平民となっているナディアであった。
「そうですが、私、父の看病もあって結婚は考えてないですし、ここで仕事できている限り食べるにも困らないので……結婚なんて……」
「17歳で何、行き遅れみたいなこと言ってるの?可愛い顔してるのに。18歳の私はどうなるの?」
そう言ってミリアは怒った顔をしてナディアの顔を確認するように見るのだった。
「先輩の様に美人に言われても……平凡な顔なので……」
ナディアは首をかしげながら答えたのだった。
ナディアは元男爵令嬢で、父、母と三人、男爵領を統治していたのだが、母親が病のために床に伏せ、治療にお金がかかったために、その治療費を稼ごうと父が一攫千金を狙ったため、投資詐欺にあい、それによって借金ができたため、領民に迷惑はかける前に……と爵位返上をしていたのだった。
ちなみに借金は屋敷にあった先祖代々の収集物などを売り払い何とか返済済みであった。しかし、母は治療甲斐なく儚くなっていた。母の死後、気が抜けたようになった父の世話をしながら、ナディアは王都の片隅で暮らしているのだった。
ナディア達の住むマルダレア王国は、大国と言うほどではないものの大陸中に強国として知られている国である。
というのも国ができて約500年の間、自国から他国へ攻め込むことはないが、幾度か他国から攻め込まれてきたことがあるのだが今の所負けなしであるからだ。
とは言え、5年前に隣国との戦いがマルダレア王国の勝利で終わり、今は平穏な国へとなっていた。
そして、2ヵ月ほど前、両国の王族の婚姻によって隣国との関係が強固なものになったため、隣国への睨みを効かせようと国境へ配置されていた戦の英雄、戦帝オスカー・グラフトンがいよいよ王都へ帰還するとの話題で市中は持ちきりだった。
「で、チャンスはともかくナディアは帰還パレード見に行くの?」
「いえいえ、私は仕事に出ます。良かったら、先輩見てきてどんなパレードだったのか教えてください」
「わかったわ。どんなパレードだったか教えるわ」
オスカー・グラフトンについておしゃべりをする二人の元に40代の黒髪に青い瞳の侍女長がやってきた。
「二人ともまだ休憩中だからゆっくりしていて良いから、話だけ聞いてね。今度王都に帰って来られる戦帝オスカー・グラフトン様の部隊がここの騎士団詰所を使われることが急遽決まって、申し訳ないけれど、寮の空いている部屋の準備をお願いできるかしら?」
「「分かりました!!」」
ナディアとミリアは元気よく返事をするのだった。
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