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第四話
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北の砦へライオネルが送られて一年 、ライオネルは公爵家の王都の屋敷へ戻ることになった。
ライオネルは隊長と離れないといけないのかと思うと素直に喜べなかった。
砦の中は警備をしている一部のものを除いてライオネルの送別会と言う名目でドンチャン騒ぎ。ここで過ごした一年を振り返ったライオネルはふいに涙が出そうになった。泣いている姿を見せるとそれを酒の肴にされてしまいそうだったので、宴会の場をそっと離れ、砦の中庭へやってきてベンチへ座ったのだった。
静かに涙を流しながら、砦の隊長エドモンド・ウィアーの事を考える。半年前抱きしめあい、お互いの心を確認したは言え、砦の中で人の目もありそれっきりだった。もう会えないのかと思うと別れを言いたかったがなかなかチャンスがなくこのまま砦を去ることになりそうだった。
ライオネルはふいに人の気配を感じ、気配のする方へ目をやった。そこには、会いたかったエドモンド・ウィアーが立っているのだった。
「レオ、ここだったか。姿が見えなくなったから探したぞ」
そう言いながらエドモンドはライオネルの方へやってきて、座っているライオネルの横に座ったかと思うとライオネルを全身で強く抱きしめた。
「隊長!人目が……」
ライオネルは離れようとするが、エドモンドは更にしっかりとライオネルを抱きしめる。
「みんな飲むのに必死でこんなところまでやってこない。安心しろ」
ライオネルを見つめるエドモンドはライオネルの頬を伝う涙を手で拭う。
「隊長、隊長と別れたくない」
ライオネルはエドモンドの背中に手を回してしがみついた。エドモンドはライオネルの背中を落ち着かせるようにトントンと優しく叩く。
「俺もレオと別れたくない。しかし、お前には成さねばならないことがあるはずだ。引き留めたい気持ちがない訳じゃないが、好きな奴の障害になりたくないんだ」
「今も好きって思ってくれているんですか?」
「なかなか二人になるチャンスがなくて言えなかったが、好きだ。いつも二人きりになったらこうしたいと思っていた」
言い終わるやいなや、エドモンドはライオネルの唇に口づける。エドモンドの乾いた唇にライオネルの唇が食べられるような口づけだった。
エドモンドが唇を離して問う。
「嫌か?」
エドモンドの問いかけにライオネルは必死に首をブンブン振る。
「うれしいです!!」
必死で答えてニッコリ笑うライオネルの可愛さにエドモンドは愛しい気持ちが溢れるのだった。
「レオ、俺のこと、隊長ではなくてエドって愛称で呼んでくれないか?」
「はい!エド」
先程泣いていたからか潤んだ瞳でエドモンドを見上げて呼ぶライオネルの可愛さにたまらず更に口づけるのだった。
「レオ、今は一緒にいることはできないが、困ったことがあったら呼んでくれ。助けに行くから」
「エド、ありがとう」
ライオネルはエドモンドにしがみつく。見つめ合った二人はどちらからともなく口づけ合うのだった。
◇◇◇◇
同じ頃、リリアも公爵家で教育を受けるため修道院を退院していた。
王都の公爵家の屋敷のリビングにて半年ぶりに会うライオネルとリリア。
「リリア、久しぶりだね。元気にしてたかい?」
「ライオネル様、会いたかった~」
抱きついてきたリリアに避けきれなかったライオネルは抱きしめられたかと思うと、慌てて引き離したのだった。
「ライオネル様、なぜ?」
「人前ではしたなくないかい?」
「ここはおうちですよ」
「父がいる」
「私たちのラブラブな姿ですよ。許してくださいますよね~」
リリアは同意を求めるように公爵を見た。公爵は、眉間にしわを寄せて呆れている。
「ここは、バインズ家ではない。公爵家の人間になろうというものが人前でそのような振る舞いをして言い訳なかろう」
「え~お義父様、羨ましいだけじゃあないんですか?お義母様とハグできないから~」
リリアがライオネルの小さい時に亡くなった母親の事を言ったとたんライオネルは目を丸くしてビックリした表情を見せたかと思うと、怒りの表情を見せた。
「リリア! 言っていいことと悪いことがある!! デリカシーと言うものがないのか」
「リリア、嘘ついてないもん」
「嘘をついていなければいいというものではない」
呆れた公爵がリリアを睨むライオネルに確認する。
「本当にこんなのを妻にしていいのだろうか?」
「父上、申し訳ありません。私から望んだ事とは言え、国王陛下に許可された結婚を拒否できるはずありません」
「ライオネル様、リリアと結婚したくないの?」
「したいとかしたくないとかではなくて、陛下に許可された結婚をしないと言う選択肢はないじゃあないか」
「結婚してくれるのね。リリア、公爵夫人ね」
ライオネルにニッコリ微笑むリリア。
すかさず口を挟む公爵。
「ライオネルと結婚すれば公爵夫人になれるわけじゃあない。貴女の振る舞い次第で、ライオネルは公爵になれないから」
「私が頑張ったら、ライオネル様は公爵になれるのね! 私、頑張る!」
力強く宣言するリリアにライオネルと公爵は苦笑いするのだった。
リリアに教育を受けさせるために結婚式の日を半年伸ばし、いろいろな家庭教師を呼んで教育を受けさせた。
しかし、リリアは出来ないと言っては教育から逃げるのだった。公爵は辛いがライオネルに公爵を継がせることを諦めねばならなかったのであった。
ライオネルは隊長と離れないといけないのかと思うと素直に喜べなかった。
砦の中は警備をしている一部のものを除いてライオネルの送別会と言う名目でドンチャン騒ぎ。ここで過ごした一年を振り返ったライオネルはふいに涙が出そうになった。泣いている姿を見せるとそれを酒の肴にされてしまいそうだったので、宴会の場をそっと離れ、砦の中庭へやってきてベンチへ座ったのだった。
静かに涙を流しながら、砦の隊長エドモンド・ウィアーの事を考える。半年前抱きしめあい、お互いの心を確認したは言え、砦の中で人の目もありそれっきりだった。もう会えないのかと思うと別れを言いたかったがなかなかチャンスがなくこのまま砦を去ることになりそうだった。
ライオネルはふいに人の気配を感じ、気配のする方へ目をやった。そこには、会いたかったエドモンド・ウィアーが立っているのだった。
「レオ、ここだったか。姿が見えなくなったから探したぞ」
そう言いながらエドモンドはライオネルの方へやってきて、座っているライオネルの横に座ったかと思うとライオネルを全身で強く抱きしめた。
「隊長!人目が……」
ライオネルは離れようとするが、エドモンドは更にしっかりとライオネルを抱きしめる。
「みんな飲むのに必死でこんなところまでやってこない。安心しろ」
ライオネルを見つめるエドモンドはライオネルの頬を伝う涙を手で拭う。
「隊長、隊長と別れたくない」
ライオネルはエドモンドの背中に手を回してしがみついた。エドモンドはライオネルの背中を落ち着かせるようにトントンと優しく叩く。
「俺もレオと別れたくない。しかし、お前には成さねばならないことがあるはずだ。引き留めたい気持ちがない訳じゃないが、好きな奴の障害になりたくないんだ」
「今も好きって思ってくれているんですか?」
「なかなか二人になるチャンスがなくて言えなかったが、好きだ。いつも二人きりになったらこうしたいと思っていた」
言い終わるやいなや、エドモンドはライオネルの唇に口づける。エドモンドの乾いた唇にライオネルの唇が食べられるような口づけだった。
エドモンドが唇を離して問う。
「嫌か?」
エドモンドの問いかけにライオネルは必死に首をブンブン振る。
「うれしいです!!」
必死で答えてニッコリ笑うライオネルの可愛さにエドモンドは愛しい気持ちが溢れるのだった。
「レオ、俺のこと、隊長ではなくてエドって愛称で呼んでくれないか?」
「はい!エド」
先程泣いていたからか潤んだ瞳でエドモンドを見上げて呼ぶライオネルの可愛さにたまらず更に口づけるのだった。
「レオ、今は一緒にいることはできないが、困ったことがあったら呼んでくれ。助けに行くから」
「エド、ありがとう」
ライオネルはエドモンドにしがみつく。見つめ合った二人はどちらからともなく口づけ合うのだった。
◇◇◇◇
同じ頃、リリアも公爵家で教育を受けるため修道院を退院していた。
王都の公爵家の屋敷のリビングにて半年ぶりに会うライオネルとリリア。
「リリア、久しぶりだね。元気にしてたかい?」
「ライオネル様、会いたかった~」
抱きついてきたリリアに避けきれなかったライオネルは抱きしめられたかと思うと、慌てて引き離したのだった。
「ライオネル様、なぜ?」
「人前ではしたなくないかい?」
「ここはおうちですよ」
「父がいる」
「私たちのラブラブな姿ですよ。許してくださいますよね~」
リリアは同意を求めるように公爵を見た。公爵は、眉間にしわを寄せて呆れている。
「ここは、バインズ家ではない。公爵家の人間になろうというものが人前でそのような振る舞いをして言い訳なかろう」
「え~お義父様、羨ましいだけじゃあないんですか?お義母様とハグできないから~」
リリアがライオネルの小さい時に亡くなった母親の事を言ったとたんライオネルは目を丸くしてビックリした表情を見せたかと思うと、怒りの表情を見せた。
「リリア! 言っていいことと悪いことがある!! デリカシーと言うものがないのか」
「リリア、嘘ついてないもん」
「嘘をついていなければいいというものではない」
呆れた公爵がリリアを睨むライオネルに確認する。
「本当にこんなのを妻にしていいのだろうか?」
「父上、申し訳ありません。私から望んだ事とは言え、国王陛下に許可された結婚を拒否できるはずありません」
「ライオネル様、リリアと結婚したくないの?」
「したいとかしたくないとかではなくて、陛下に許可された結婚をしないと言う選択肢はないじゃあないか」
「結婚してくれるのね。リリア、公爵夫人ね」
ライオネルにニッコリ微笑むリリア。
すかさず口を挟む公爵。
「ライオネルと結婚すれば公爵夫人になれるわけじゃあない。貴女の振る舞い次第で、ライオネルは公爵になれないから」
「私が頑張ったら、ライオネル様は公爵になれるのね! 私、頑張る!」
力強く宣言するリリアにライオネルと公爵は苦笑いするのだった。
リリアに教育を受けさせるために結婚式の日を半年伸ばし、いろいろな家庭教師を呼んで教育を受けさせた。
しかし、リリアは出来ないと言っては教育から逃げるのだった。公爵は辛いがライオネルに公爵を継がせることを諦めねばならなかったのであった。
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