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2.贖罪
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リバってます注意。
(攻めが受けを犯す描写ほとんど無かったけど一応)
──────────────
「っふー……」
電気を消した部屋に響く水音。家族は皆とっくに眠りについている。
「……っ、」
思い出していたのはあいつの泣き顔。涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔。いつものあいつとは全然違う顔。
あいつがクズなのが悪い。俺は被害者だ。
あいつは泣いていたが、付き合っていたとき俺はもっと傷ついていた。
そうぐるぐると考えるうち、俺はあいつの泣き顔を考えながら勃起させていた。
何故なのかは知らない。
ただ、もっと歪めてやりたい。この怒りを全部ぶつけて、あいつの顔を恐怖に歪めて、もっとぐちゃぐちゃにしたい。そんなことを考えていた。
俺は精を吐き出した。
「正人、一緒に帰ってもいい……?」
大学の帰り。誰かに呼び止められたと思ったら彼がそう声をかけてきていた。
「何で?」
足を止めずに答える。
「正人と、話、したいから……」
捨てられた犬のようにしょげている。
「嫌」
「ま、正人に許してもらえるように頑張るから……!」
押し問答を繰り返すうちに、俺の家がある住宅街まで来ていた。
「ストーカーでもする気?」
「そうじゃない……! オレは、正人とやり直したくて……正人。話だけでもしてほしい……」
犬。もしくは母親に置いていかれそうになった子供。
背後にそんな影が見えるみたいだった。
「そう。じゃあウチに上がっていきなよ。ウチ共働きで親帰ってくるの遅いから」
君は興味なかったから知らないだろうけど、と心の中で付け足す。だがそんなことを思っているなんて露ほども知らない彼は、ぱっと表情を明るくさせた。
「ありがとう……!」
家に入った瞬間、彼は言葉を紡ぎ出す。
「オレ、本当に悪いことしたと思ってて……、正人のこと全然ちゃんと考えてなかった。ごめん。やり直したい。オレとのこと、考えてほしい」
待てもできないのか。この犬は。まだ玄関だぞ。
俺は無言で自分の部屋に彼を引っ張って行った。
彼の両腕を片手で纏めて固定する。空いた手で彼の首をベッドに押し付けた。
「実は俺、君のこともう本当に嫌いになってたんだけど――
君の泣き顔には興奮したんだよね」
俺の突然の行動に目を白黒させる彼。
「な、なに、を」
「ね、挿れていい?」
「……っ……かひゅ」
彼の目が絶望に染まり、細い息が漏れた。
彼とそういうことをする時は彼が上だった。そして俺と付き合うまでは女の子としか付き合ったことが無かったらしい。つまり彼は、ソコにこれを挿れられたことなんてない。
「何で別れることになったんだっけ? 君の最低な行動のせいだよね。ならいいよね?」
「あ……ぁぅ」
「あは、俺、血嫌いだしちゃんと慣らしてあげるからさ」
首を押さえていた手で彼のズボンを引き下ろす。雑に指に唾を纏わせた後、引き攣る後孔に指を挿れた。
「……ゔぅ…………ぐ、…………ぅぁ゛、」
「さすがに狭すぎなんだけど。もうちょっと力抜いて」
「むり……むり、だから……」
「俺が出来てたんだから出来るでしょ」
「うぐ、ぅ…………ひぐ、……なんで……」
彼は再び涙を流し出した。
「正人と、やり直せるって、おもったのに……」
「君の泣き顔興奮するって言わなかったっけ。わざと煽ってる?」
「……ひっく、正人、まさと……」
ぎゅっと目をつぶって俺の名前を呼び出す。
初めて潤を可愛いと思った。俺の前ではずっとカッコいい所かクズな所しか見せてこなかった潤の泣き顔は、思っていたより俺の何かに刺さったようだ。
「ごめん、我慢できないわ」
そう言って、最初よりは広がったがまだ狭い後孔から指を抜き、自身を挿入した。
「う゛あ゛っ、…………っう…………く、ぅゔ……あ゛……」
少々キツすぎて痛みを感じたが、何度か律動を繰り返すうちにマシになっていく。
「ゔぅ…………ごめん……、ぅぐ、まさと…………、ごめん……」
虚ろな目でひたすら「ごめん」と繰り返す。
「おれが……おれがこわしたからだ…………うけいれないと、だめなんだ……」
涙と涎を垂れ流しながらうわ言のようにそんなことをずっと呟く潤に、俺はますます興奮した。
「っあ゛ぅ!、……うゔ……」
ばちんと乾いた音が鳴るほど勢いよく突いたが、抵抗してこない。
水気の少ない腸壁を何度も深く抉る。
腰を掴むために潤の手首から手を離したが、潤の手はだらんと垂れ下がるだけだった。
「もう、いたく、ない……なにもかんがえ、られない。まさと、まさと……」
言っている間も出し入れは止めない。
「そういうこと言われると余計クるんだけど」
「あ、あは……。正人が、おれに何か、感情を、向けてくれてる、のが、うれしい」
「ふーん。きもいね」
「きも、くていい、おれは……幸せだから……。もう、愛してもらう、のは、むりみたい、だから……なんでもいいから、おれに、なにか、思ってて…………なんでもいいから……」
半分くらい意識が飛んでいるような目で言う。
呂律が回っていない。これは本心なのだろうか。
「はー、イきそう。中で出すね?」
「うん……まさとのすきにして……」
「イクよッ……」
奥まで突いてから中に注ぐ。全て出し切るまで抜かなかった。
「っはー……。はは、潤のケツも意外といいね」
「え、えへ……もっと言って……」
「ねえ、これからも使っていいよね?」
「うん……すきにして…………んぅ」
涎塗れになっていた潤の口にキスをした。
それから1年。
挿れる方を変えてから何度も体を重ねた俺たちだが、潤は1度も抵抗してこなかった。
今の関係をどう思っているのか聞くと、償いだと言う。
「オレは最低なことをしたから、……正人に何されても文句言えないんだ」
「へえ。解放されたいとは思わないの?」
「もうオレ、正人に中出ししてもらわないと生きていけなくなっちゃったから、絶対離れないで……」
「前はあんなに浮気ばっかして、言動も最低だったのにね」
「あの時のオレは、どうかしてたから」
「今もどうかしてるよ」
「うん……でも幸せだからいいんだ」
潤は本当に幸せそうな顔で弱々しく笑った。
──────────────
最初は、軽く考えていた。浮気なんて嫉妬のきっかけみたいなもんだと。
確かにいいことではないけど、あいつが1番オレのことを考えてくれることだから。1つのスパイスみたいなもんだと。
だけど違った。あいつはすごく怒っていて、傷ついていた。脅しとして出した別れるという言葉に、そうしようと簡単に言われてしまった。
オレは何てバカなことをしたんだろうと、その時になってようやく事の重大さに気づいて、後悔した。
部屋が汚くなる度、飯が不味いと思う度、正人の顔が浮かぶ。洗濯を面倒だと思う度、生活費の計算をする度、正人の優しさを知る。
どれだけ正人がオレのために色んなことをしてくれていたか、どれだけ正人がオレのことを好きだったかが胸に沁みた。
謝りたいと思った。やり直したいと思った。
けれど正人が別人のようにオレを突っぱねたのを見て、もう取り返しがつかないのかもしれないと思った。オレはそのくらいとんでもないことをしたんだと。
嫌いと言われて、心が決壊した。涙が出た。
ごめんなさい。正人。もう1回オレを好きになって。全部謝るし、今度は間違えないから。
感情が言葉と涙になって全部出ていく。なのに全然止まらなくて、正人への申し訳なさでまだ涙が出てくる。
そうしたら、正人が俺に声をかけてくれた。
俺が泣き止むようにたくさん言葉をかけてくれた。
嬉しさでいっぱいになって、それと同時に、こんなに心が広くて優しい人に、なんて最低なことをしたんだろうと、また後悔で胸がいっぱいになった。
最後にもう一度やり直したい、と伝えると、正人はたぶん嫌な気持ちを飲み込んでいたけど、少し受け入れてくれた。
正人にやり直してもらえるように頑張る。
そう決意したが、やっぱり正人はオレを許すつもりは無いみたいだった。
冷たい態度は変わらないし、話もしてもらえそうにない。もう無理なのかな、と弱気な心が生まれる。
でも、いつか許してもらえる時がくるかもしれない、オレの罪が償える時がくるかもしれない。そんな細い細い糸を頼りに、オレは正人に謝り続けた。
でも、もうオレを好きだった正人は戻ってこないみたいだった。
やめてと言っても止まらない。名前を何度呼んでも気にもとめない。
付き合っていた時は、全部聞いてくれていたなぁとふと考えた。それも全部、オレが好きだったからなんだなぁと。
もう戻らないんだろう。正人のオレへの感情はすっかり変わってしまった。『好き』なんてもう一生聞けないんだろう。
それでもいいと思った。オレは償わないといけないから。
オレが正人にしてきたこと、全て償っても、たぶん元には戻らない。それでも償わないといけない。
何でもいい。
正人がオレのことを考えているなら、もう何でもいい。
オレはそれで幸せなんだ。
だからお願い。もう離さないで。
それで充分幸せだから。
(攻めが受けを犯す描写ほとんど無かったけど一応)
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「っふー……」
電気を消した部屋に響く水音。家族は皆とっくに眠りについている。
「……っ、」
思い出していたのはあいつの泣き顔。涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔。いつものあいつとは全然違う顔。
あいつがクズなのが悪い。俺は被害者だ。
あいつは泣いていたが、付き合っていたとき俺はもっと傷ついていた。
そうぐるぐると考えるうち、俺はあいつの泣き顔を考えながら勃起させていた。
何故なのかは知らない。
ただ、もっと歪めてやりたい。この怒りを全部ぶつけて、あいつの顔を恐怖に歪めて、もっとぐちゃぐちゃにしたい。そんなことを考えていた。
俺は精を吐き出した。
「正人、一緒に帰ってもいい……?」
大学の帰り。誰かに呼び止められたと思ったら彼がそう声をかけてきていた。
「何で?」
足を止めずに答える。
「正人と、話、したいから……」
捨てられた犬のようにしょげている。
「嫌」
「ま、正人に許してもらえるように頑張るから……!」
押し問答を繰り返すうちに、俺の家がある住宅街まで来ていた。
「ストーカーでもする気?」
「そうじゃない……! オレは、正人とやり直したくて……正人。話だけでもしてほしい……」
犬。もしくは母親に置いていかれそうになった子供。
背後にそんな影が見えるみたいだった。
「そう。じゃあウチに上がっていきなよ。ウチ共働きで親帰ってくるの遅いから」
君は興味なかったから知らないだろうけど、と心の中で付け足す。だがそんなことを思っているなんて露ほども知らない彼は、ぱっと表情を明るくさせた。
「ありがとう……!」
家に入った瞬間、彼は言葉を紡ぎ出す。
「オレ、本当に悪いことしたと思ってて……、正人のこと全然ちゃんと考えてなかった。ごめん。やり直したい。オレとのこと、考えてほしい」
待てもできないのか。この犬は。まだ玄関だぞ。
俺は無言で自分の部屋に彼を引っ張って行った。
彼の両腕を片手で纏めて固定する。空いた手で彼の首をベッドに押し付けた。
「実は俺、君のこともう本当に嫌いになってたんだけど――
君の泣き顔には興奮したんだよね」
俺の突然の行動に目を白黒させる彼。
「な、なに、を」
「ね、挿れていい?」
「……っ……かひゅ」
彼の目が絶望に染まり、細い息が漏れた。
彼とそういうことをする時は彼が上だった。そして俺と付き合うまでは女の子としか付き合ったことが無かったらしい。つまり彼は、ソコにこれを挿れられたことなんてない。
「何で別れることになったんだっけ? 君の最低な行動のせいだよね。ならいいよね?」
「あ……ぁぅ」
「あは、俺、血嫌いだしちゃんと慣らしてあげるからさ」
首を押さえていた手で彼のズボンを引き下ろす。雑に指に唾を纏わせた後、引き攣る後孔に指を挿れた。
「……ゔぅ…………ぐ、…………ぅぁ゛、」
「さすがに狭すぎなんだけど。もうちょっと力抜いて」
「むり……むり、だから……」
「俺が出来てたんだから出来るでしょ」
「うぐ、ぅ…………ひぐ、……なんで……」
彼は再び涙を流し出した。
「正人と、やり直せるって、おもったのに……」
「君の泣き顔興奮するって言わなかったっけ。わざと煽ってる?」
「……ひっく、正人、まさと……」
ぎゅっと目をつぶって俺の名前を呼び出す。
初めて潤を可愛いと思った。俺の前ではずっとカッコいい所かクズな所しか見せてこなかった潤の泣き顔は、思っていたより俺の何かに刺さったようだ。
「ごめん、我慢できないわ」
そう言って、最初よりは広がったがまだ狭い後孔から指を抜き、自身を挿入した。
「う゛あ゛っ、…………っう…………く、ぅゔ……あ゛……」
少々キツすぎて痛みを感じたが、何度か律動を繰り返すうちにマシになっていく。
「ゔぅ…………ごめん……、ぅぐ、まさと…………、ごめん……」
虚ろな目でひたすら「ごめん」と繰り返す。
「おれが……おれがこわしたからだ…………うけいれないと、だめなんだ……」
涙と涎を垂れ流しながらうわ言のようにそんなことをずっと呟く潤に、俺はますます興奮した。
「っあ゛ぅ!、……うゔ……」
ばちんと乾いた音が鳴るほど勢いよく突いたが、抵抗してこない。
水気の少ない腸壁を何度も深く抉る。
腰を掴むために潤の手首から手を離したが、潤の手はだらんと垂れ下がるだけだった。
「もう、いたく、ない……なにもかんがえ、られない。まさと、まさと……」
言っている間も出し入れは止めない。
「そういうこと言われると余計クるんだけど」
「あ、あは……。正人が、おれに何か、感情を、向けてくれてる、のが、うれしい」
「ふーん。きもいね」
「きも、くていい、おれは……幸せだから……。もう、愛してもらう、のは、むりみたい、だから……なんでもいいから、おれに、なにか、思ってて…………なんでもいいから……」
半分くらい意識が飛んでいるような目で言う。
呂律が回っていない。これは本心なのだろうか。
「はー、イきそう。中で出すね?」
「うん……まさとのすきにして……」
「イクよッ……」
奥まで突いてから中に注ぐ。全て出し切るまで抜かなかった。
「っはー……。はは、潤のケツも意外といいね」
「え、えへ……もっと言って……」
「ねえ、これからも使っていいよね?」
「うん……すきにして…………んぅ」
涎塗れになっていた潤の口にキスをした。
それから1年。
挿れる方を変えてから何度も体を重ねた俺たちだが、潤は1度も抵抗してこなかった。
今の関係をどう思っているのか聞くと、償いだと言う。
「オレは最低なことをしたから、……正人に何されても文句言えないんだ」
「へえ。解放されたいとは思わないの?」
「もうオレ、正人に中出ししてもらわないと生きていけなくなっちゃったから、絶対離れないで……」
「前はあんなに浮気ばっかして、言動も最低だったのにね」
「あの時のオレは、どうかしてたから」
「今もどうかしてるよ」
「うん……でも幸せだからいいんだ」
潤は本当に幸せそうな顔で弱々しく笑った。
──────────────
最初は、軽く考えていた。浮気なんて嫉妬のきっかけみたいなもんだと。
確かにいいことではないけど、あいつが1番オレのことを考えてくれることだから。1つのスパイスみたいなもんだと。
だけど違った。あいつはすごく怒っていて、傷ついていた。脅しとして出した別れるという言葉に、そうしようと簡単に言われてしまった。
オレは何てバカなことをしたんだろうと、その時になってようやく事の重大さに気づいて、後悔した。
部屋が汚くなる度、飯が不味いと思う度、正人の顔が浮かぶ。洗濯を面倒だと思う度、生活費の計算をする度、正人の優しさを知る。
どれだけ正人がオレのために色んなことをしてくれていたか、どれだけ正人がオレのことを好きだったかが胸に沁みた。
謝りたいと思った。やり直したいと思った。
けれど正人が別人のようにオレを突っぱねたのを見て、もう取り返しがつかないのかもしれないと思った。オレはそのくらいとんでもないことをしたんだと。
嫌いと言われて、心が決壊した。涙が出た。
ごめんなさい。正人。もう1回オレを好きになって。全部謝るし、今度は間違えないから。
感情が言葉と涙になって全部出ていく。なのに全然止まらなくて、正人への申し訳なさでまだ涙が出てくる。
そうしたら、正人が俺に声をかけてくれた。
俺が泣き止むようにたくさん言葉をかけてくれた。
嬉しさでいっぱいになって、それと同時に、こんなに心が広くて優しい人に、なんて最低なことをしたんだろうと、また後悔で胸がいっぱいになった。
最後にもう一度やり直したい、と伝えると、正人はたぶん嫌な気持ちを飲み込んでいたけど、少し受け入れてくれた。
正人にやり直してもらえるように頑張る。
そう決意したが、やっぱり正人はオレを許すつもりは無いみたいだった。
冷たい態度は変わらないし、話もしてもらえそうにない。もう無理なのかな、と弱気な心が生まれる。
でも、いつか許してもらえる時がくるかもしれない、オレの罪が償える時がくるかもしれない。そんな細い細い糸を頼りに、オレは正人に謝り続けた。
でも、もうオレを好きだった正人は戻ってこないみたいだった。
やめてと言っても止まらない。名前を何度呼んでも気にもとめない。
付き合っていた時は、全部聞いてくれていたなぁとふと考えた。それも全部、オレが好きだったからなんだなぁと。
もう戻らないんだろう。正人のオレへの感情はすっかり変わってしまった。『好き』なんてもう一生聞けないんだろう。
それでもいいと思った。オレは償わないといけないから。
オレが正人にしてきたこと、全て償っても、たぶん元には戻らない。それでも償わないといけない。
何でもいい。
正人がオレのことを考えているなら、もう何でもいい。
オレはそれで幸せなんだ。
だからお願い。もう離さないで。
それで充分幸せだから。
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