一難去ってまた一難!?元悪役令嬢の受難の日々はまた難易度を上げる

マンドラゴラ

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第一章 スティアと日記帳

一話

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スティアがその日記帳と出会ったのは正に運命だった。

アストンフォーゲル辺境伯領は、王国の最端に位置する領だ。
3方を海に囲まれるアストンフォーゲル辺境伯領は豊かな海産資源をもち大きな港がある事から貿易の要所として栄えてきた。
また、古くから国防・攻撃の拠点として国の重要な領となっている。

そんなアストンフォーゲル辺境伯家には、3人の子どもがいる。
前妻ソフィアの子どもで嫡男のレオンと年子で長女のスティア、後妻ナタリーの子どもでスティラの一つ下の次女ミラだ。

ナタリーとミラは贅沢が大好きでその程度を超えた浪費に使用人やスティアが止めても知らん顔をする始末。

ナタリーは前妻の娘であるスティアを虐げ、実の娘であるミラだけを可愛いがっていた。

夫で辺境伯のライリーと嫡男のレオンが商談や視察で屋敷を開けることを良いことナタリーとミラはやりたい放題。傍若無人な態度で屋敷を支配している。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ちょっと!スティア!!」

今日もナタリーお義母さまの金切り声が屋敷中に響き渡る。

ーーーバンッ…!!ーーー

凄い音を立てて私の部屋のドアが開かれる。

「貴方、ミラが欲しいって言ったドレスあげなかったそうじゃない!どう言うことなのよ!?可愛いミラが欲しいって言っているのだからあげなさいよ!貴方みたいな醜女が持っていても意味ないのだから!可愛いミラが着た方がドレスも喜ぶわ。」

嘲笑を浮かべて私を見るお義母さまとその背後に隠れて泣き真似をしている妹のミラ。
ミラはいつだって私のものを欲しがった。
私が拒否すれば泣きながらお義母さまに言いつけて、私はお義母さまに怒られる。
結局、私がミラにあげるまでお義母さまの暴言は止まらない。

でも、今回のドレスは何て言われようと絶対にあげられない。
亡くなったお母さまがプレゼントして下さった大切なドレスだから。

「ほら、早くミラに渡しなさいな。そのドレスは可愛いミラが着てこそ輝くのよ。」

「嫌です。このドレスは亡くなったお母さまに頂いたドレスなのです!他のものはミラにあげました!でも、このドレスだけはあげられません!」

「何ですって!?誰のおかげここにいられると思っているの!?ここに居させてもらっている分際で生意気よ!」

私の言葉に激怒したお義母さまが持っていたで力任せに叩いてくる。

(痛い…痛いよ…誰か助けて…)

私は、必死にドレスを庇う。

「ほら!早く渡しなさい!手を離して!」

「嫌です!許して下さい!お母さまに頂いたものなのです!」

「煩いわねっ!…ふぅ!早く渡せば良いのに全く手をかけさせて!今日は夕食ぬきよ!」

必死に庇っていたドレスがお義母さまに無理やりとられてしまった。

「お願いです!返して下さい!他のドレスなら何でも差し上げますから!」

必死に頭を下げる。

「ふん、ミラはこのドレスが良いの!このドレスを着てお父さまとお兄さまをお迎えするのよ!」

「そうよ、ミラ。きっとお父様とレオンも喜んで下さるわよ。ほら、行きましょう。」

お義母さまとミラは私の必死の訴えを鼻で笑って満足気に部屋を出て行く。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「どうして…どうして…お母さま…レオお兄さま…辛いよ…」

お義母さまとミラがいなくなってから私は動く気にもなれず扉の前で泣いていた。

お母さまが亡くなってから3年。
お義母さまとミラとなんとか仲良くなりたいと頑張ってきたけどもう限界だった。

私を虐げてミラだけを可愛いがるお義母さま。
お義母さまが怖くて何も出来ない使用人。
どんなに話しても信じてくれないお父さま。
離れ離れのレオお兄さま。
広い広い御屋敷で私はいつもひとりぼっちだ。

「もう…良いよね…私…頑張ったよね…もう…お母さまの所にいきたいわ…」

先の見えない日々に私は絶望を感じた。
もうどうだって良くなって…そうしたら、お母さまに会いたくなった。

ふらふらと立ち上がって2階の自室についているベランダへ向かう。

『ティア、もう少しの辛抱だよ。僕が早く立派になってティアのこと必ず救い出すから。僕のこと信じて待っていてね。』

レオお兄さまは、御屋敷に帰って来てくださると、いつも私を抱きしめてそうおっしゃって下さった。

レオお兄さまの言葉だけが私を支えていたけど、もう限界だった。

「ごめんなさい…レオお兄さま…ごめんなさい…」

唯一の心残りであるレオお兄さまを思っても私の足は一歩ずつ確実にベランダへ向かっていた。

「わぁ…っ!?」

泣きながらベランダへ歩いていると何かの段差に躓いて転んだ。

「え…床が…」

床の一部が外れて中が何やら光っている。
吸い込まれるかのようにその床へ向かうと床が一人でに剥がれた。

「これは…だれかの日記帳…?」

厳重に包装された赤い革のノートはびっしりと文字で埋まっていて、どうやら日記帳の様だった。

「スティア・アストンフォーゲル…!?」

裏表紙に書かれていたのは私の名前と3年後の日付だった。

「どう言うことなの…?これは、未来の私の日記帳ってことなの…?」

未来の自分とはいえ、人の日記帳を見るのはどうなのかと思ったけど…好奇心には勝てなかった。

私は誰も入ってこれないようにドアノブに下から椅子の背もたれを引っ掛けるとベッドの中に潜り込んで日記帳を開いた。
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