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第一章 スティアと日記帳
四話
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「そこのお嬢さん、何かお困りですか?」
頭を抱えてどうするべきか考えていると頭上から声が降ってきた。
「大したことではないのです。お気に…え…」
「…っ!?」
パッと顔を上げると、そこにはレオお兄さまの御友人で、隣のフォルスター侯爵家のカイル様がいらっしゃった。
カイル様とレオお兄さまは同い年で小さな頃はレオお兄さまに付いて良くフォルスター侯爵家へ遊びに行っていた。
その縁もあってカイル様は私の顔を知っているのだ。
カイル様も私を驚いた顔をしてこちらを凝視している。
(これは、大変ですわ…!取り敢えず、ここは退散ですわ!!)
「あ!待て!」
ベンチを飛び降りて走り出した私をカイル様が追いかける。
カイル様は体を動かされるのが好きで、毎日体を鍛えられているとレオお兄さまに聞いたことがある。
そんな、カイル様から逃げ延びれるはずもなく私はあっさり捕まってしまった。
「いきなり走り出すから驚いたぞ。…逃げ出したってことはスティアで間違えないよな?」
カイル様の様子から私がスティアであることは確信しているようだ。
先ほどの丁寧な言葉使いは何処へやら。
いつものカイル様の言葉使いにもどっている。
「まさか、カイル様に会ってしまうなんて…私も運がありませんわ。」
大人しく認めるとカイル様はそのまま先ほどのベンチまでエスコートして下さった。
「共もつけずにどうして街へきたんだ?そんなこと屋敷の奴らが許すわけないだろう?」
ベンチへ座ると開口一番カイル様が聞いてきた。
逃走防止なのか手は繋いだままだ。
「屋敷の者には言っておりません。私が黙って出てきたのですわ。」
「どうしてだ?怒らないから言ってみろ。」
「私、どうしても欲しいものがありますの。誰にも内緒で手に入れたかったのですわ。
異国のものだったので、その国の船が出港する前に、その国の方に何か聞けたらと思いまして…」
私の回答が少し意外だったのかカイル様は目を見開いて私を見ている。
「何がそんなに欲しいんだ?
レオンに言えば何でも買って貰えるだろう?
…レオンにも言えないことなのか?」
「レオお兄さまには、これ以上ご心配をおかけしたくないのです。
カイル様、お願いします。レオお兄さまには今日のこと言わないで頂けませんか?」
「そうは言ってもなぁ…んー…」
カイル様は頭をガシガシかいて考え込んでしまった。
「よし!分かった!このことはレオンには言わない。俺たち2人だけの秘密にしよう!」
「ありがとうございます!!」
「ただし!ひとつ条件がある。」
「条件ですか…?」
「ああ、スティアが一体、何が欲しいのか。ちゃんと俺に説明すること。」
できるか?と私の目を真っ直ぐ見てカイル様は問う。
「絶対、誰にも言わないでくださいまし。
私、実は…この物事を記録できる鉱石、ゼネラルストーンが欲しいのです。」
「ゼネラルストーン…?劇や音楽を記録する鉱石だろ?何でそんなもんが欲しいんだ?」
カイル様がおしゃったようにゼネラルストーンは主に劇や音楽などの芸術分野で利用される。
ゼネラルストーンに見本として劇や音楽を記録することで練習に利用したり、後世に残すための資料にしたりするためだ。
しかし、私はゼネラルストーンの物事を記録できると言う特性を利用して、普段の生活を記録したり、お義母さまやミラからされていることを記録して冤罪で裁かれる可能性をなるべく低くしたいのだ。
そんなことをカイル様に言えるわけもなく黙り込んでしまう。
「あー、分かった分かった。無理に言わなくて良い。
スティアの事情は何となく分かるからよ。
話してくれてありがとな。さっ、帰るぞ。」
カイル様は私を頭をぽんぽんっと撫でて、ベンチから立ち上がった。
私は少ししょんぼりしながら後をついていく。
「明日、アストンフォーゲル家の屋敷に迎えに行く。明日ちゃんと連れてってやっからそんな悲しそうな顔するな。」
カイル様が困ったように笑って私に言う。
「良いんですか!?」
「ああ、ゼネラルストーンを取り扱ってる店に覚えがあるんだ。その後は美味しいケーキでも食べよう!俺の奢りだ!ちゃんと連れて行くぞ!約束だ。」
「ありがとうございます!カイル様!」
「おう!任せておけ!」
私は結局そのままカイル様に御屋敷まで送って頂いた。
カイル様に明日の念押しをして別れた。
カイル様は笑っていられたけど、私とっては死活問題だ。
御屋敷に入るとちょうど夕ご飯の時間だったので、夕ご飯を食べお風呂に入るとそのままベッドへダイブした。
ふかふかのベッドに転がると疲れていたのがすぐに目蓋が落ちてウトウトしてくる。
私は気持ちの良い微睡にそのまま身を任せたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最後までお読み頂きありがとうございます!
漢気溢れるカイル様との買い物も気になるかも知れませんが、次回は迷子のフード少年の閑話を入れたいと思っております。
これからも、《一難去ってまた一難!?元悪役令嬢の受難の日々はまた難易度を上げる》をお願い致します。
頭を抱えてどうするべきか考えていると頭上から声が降ってきた。
「大したことではないのです。お気に…え…」
「…っ!?」
パッと顔を上げると、そこにはレオお兄さまの御友人で、隣のフォルスター侯爵家のカイル様がいらっしゃった。
カイル様とレオお兄さまは同い年で小さな頃はレオお兄さまに付いて良くフォルスター侯爵家へ遊びに行っていた。
その縁もあってカイル様は私の顔を知っているのだ。
カイル様も私を驚いた顔をしてこちらを凝視している。
(これは、大変ですわ…!取り敢えず、ここは退散ですわ!!)
「あ!待て!」
ベンチを飛び降りて走り出した私をカイル様が追いかける。
カイル様は体を動かされるのが好きで、毎日体を鍛えられているとレオお兄さまに聞いたことがある。
そんな、カイル様から逃げ延びれるはずもなく私はあっさり捕まってしまった。
「いきなり走り出すから驚いたぞ。…逃げ出したってことはスティアで間違えないよな?」
カイル様の様子から私がスティアであることは確信しているようだ。
先ほどの丁寧な言葉使いは何処へやら。
いつものカイル様の言葉使いにもどっている。
「まさか、カイル様に会ってしまうなんて…私も運がありませんわ。」
大人しく認めるとカイル様はそのまま先ほどのベンチまでエスコートして下さった。
「共もつけずにどうして街へきたんだ?そんなこと屋敷の奴らが許すわけないだろう?」
ベンチへ座ると開口一番カイル様が聞いてきた。
逃走防止なのか手は繋いだままだ。
「屋敷の者には言っておりません。私が黙って出てきたのですわ。」
「どうしてだ?怒らないから言ってみろ。」
「私、どうしても欲しいものがありますの。誰にも内緒で手に入れたかったのですわ。
異国のものだったので、その国の船が出港する前に、その国の方に何か聞けたらと思いまして…」
私の回答が少し意外だったのかカイル様は目を見開いて私を見ている。
「何がそんなに欲しいんだ?
レオンに言えば何でも買って貰えるだろう?
…レオンにも言えないことなのか?」
「レオお兄さまには、これ以上ご心配をおかけしたくないのです。
カイル様、お願いします。レオお兄さまには今日のこと言わないで頂けませんか?」
「そうは言ってもなぁ…んー…」
カイル様は頭をガシガシかいて考え込んでしまった。
「よし!分かった!このことはレオンには言わない。俺たち2人だけの秘密にしよう!」
「ありがとうございます!!」
「ただし!ひとつ条件がある。」
「条件ですか…?」
「ああ、スティアが一体、何が欲しいのか。ちゃんと俺に説明すること。」
できるか?と私の目を真っ直ぐ見てカイル様は問う。
「絶対、誰にも言わないでくださいまし。
私、実は…この物事を記録できる鉱石、ゼネラルストーンが欲しいのです。」
「ゼネラルストーン…?劇や音楽を記録する鉱石だろ?何でそんなもんが欲しいんだ?」
カイル様がおしゃったようにゼネラルストーンは主に劇や音楽などの芸術分野で利用される。
ゼネラルストーンに見本として劇や音楽を記録することで練習に利用したり、後世に残すための資料にしたりするためだ。
しかし、私はゼネラルストーンの物事を記録できると言う特性を利用して、普段の生活を記録したり、お義母さまやミラからされていることを記録して冤罪で裁かれる可能性をなるべく低くしたいのだ。
そんなことをカイル様に言えるわけもなく黙り込んでしまう。
「あー、分かった分かった。無理に言わなくて良い。
スティアの事情は何となく分かるからよ。
話してくれてありがとな。さっ、帰るぞ。」
カイル様は私を頭をぽんぽんっと撫でて、ベンチから立ち上がった。
私は少ししょんぼりしながら後をついていく。
「明日、アストンフォーゲル家の屋敷に迎えに行く。明日ちゃんと連れてってやっからそんな悲しそうな顔するな。」
カイル様が困ったように笑って私に言う。
「良いんですか!?」
「ああ、ゼネラルストーンを取り扱ってる店に覚えがあるんだ。その後は美味しいケーキでも食べよう!俺の奢りだ!ちゃんと連れて行くぞ!約束だ。」
「ありがとうございます!カイル様!」
「おう!任せておけ!」
私は結局そのままカイル様に御屋敷まで送って頂いた。
カイル様に明日の念押しをして別れた。
カイル様は笑っていられたけど、私とっては死活問題だ。
御屋敷に入るとちょうど夕ご飯の時間だったので、夕ご飯を食べお風呂に入るとそのままベッドへダイブした。
ふかふかのベッドに転がると疲れていたのがすぐに目蓋が落ちてウトウトしてくる。
私は気持ちの良い微睡にそのまま身を任せたのだった。
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最後までお読み頂きありがとうございます!
漢気溢れるカイル様との買い物も気になるかも知れませんが、次回は迷子のフード少年の閑話を入れたいと思っております。
これからも、《一難去ってまた一難!?元悪役令嬢の受難の日々はまた難易度を上げる》をお願い致します。
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