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第三章 運命にカウンターを
十六話
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「…ア…ィア…ティア!ティア!起きて!」
「んん…ん?…っ!?レオお兄さま!?」
「おはよう、ティア。」
え、何故レオお兄さまが…!?
それにしても…目覚めて一番レオお兄さまの整ったお顔は…心臓に悪いですわ!
「おはよう…ございます…?どうしてレオお兄さまがこちらに?」
「連休だから帰ってきたんだ。ティアに会いたくて。今日はカイルの所のお茶会に行くんだろう?送っていくよ。
ティアのことエスコートさせて?」
久しぶりにお会いしたレオお兄さまは、ぐっと身長が伸びて大人びた様に感じる。
「今日のエスコートはアルに頼んでしまいましたわ…まさか、レオお兄さまが帰ってこられるなんて夢にも思わなくて…」
「ん?大丈夫、大丈夫。アルベルト君には代わって貰えば良いんだよ。
それとも、僕じゃ嫌かな?」
眉尻を下げて不安そうな顔をする。
その顔は反則ですわ!
いやなんて言えるわけないですもの!
「嫌じゃありませんわ…嬉しいです。」
「良かった!嫌だって言われたらどうしようかと…
実は、カイルに今日のこと聞いてね。お茶会の為にティアと対になる服を仕立てたんだ。もちろんフォルスター夫人に相談してね。」
さっ、あの人たちに気づかれる前に出ようか。と私を抱えると外套を着せてささっとフォルスター侯爵邸へ出発する。
久しぶりにレオお兄さまに会えたのは嬉しいけど、何がなんだか分かりませんわ!
「まあ!なんて素敵なの!
流石ティアちゃん!私の娘!」
侯爵邸へ着くといつものように、待ちかまえていたヴァイオレット様とメイドたちに手際よく磨かれ飾られて気づけば支度が終わっていた。
ヴァイオレット様は、いつの間か御自分も支度を済ませていて出来上がった私を見て歓声を上げている。
それにしてもヴァイオレット様はいくつになられて素敵だわ…とても3人の子を産んだとは思えない!
今日のヴァイオレット様のドレスは、マーメイドラインのドレスで首や肩をレース生地で覆った大人っぽいデザインの中に上品さが滲み出るデザインだ。
「ヴァイオレット様もとても素敵です。」
「まあ!ありがとう。さっ、息子たちのところにいきましょう。お披露目してたくさん褒めてもらいましょうね。
女の子は褒められて美しくなるのよ。」
「おお、スティア!いつも可愛いらしいが今日は更に輝いているな!凄く似合う!綺麗だよ!
こんな可愛い妹がいて羨ましいぜ!レオン!」
「当たり前だろう。僕のティアが可愛くないわけがない。凄く綺麗だよ。」
部屋に入ってまずドアの一番近くにいたカイお兄さまとレオお兄さまが褒めて下さる。
「ありがとうございます。カイお兄さま、レオお兄さま!あの…カイお兄さま…!」
「ん?どうした?」
「……私、カイお兄さまのこともお兄さまだと思っておりますわ…!」
思い切って言ったは良いけど…恥ずかしくて消えてしまいそうだわ!
「そうか…」
恥ずかしくて顔を上げられずにいるとカイお兄さまが何かを呟いたのが聞こえた。
「え…?」
「そうだよな!スティアはもう俺の可愛い妹だ!」
うぐっ…流石カイお兄さま…力強いですわ…
カイお兄さまが笑顔で私を抱きしめる。
「ちょっと!カイル!僕のティアに抱きつかないでよ!ティアが潰れちゃうから!
…えっ!力強すぎでしょ!アルベルト!ちょっと手伝って!」
「おう…!」
走馬灯が見えかけましたわ…
アルとレオお兄さま2人がかりでやっと解放される。
「こら、カイ。女の子はもっと優しく扱わないとダメだぞ。」
「そうよ、カイ。そんな風に雑に扱ってはティアちゃんが可哀想だわ。」
「ごめんな、スティア。つい嬉しくて。」
フォルスター侯爵とヴァイオレット様に怒られてカイお兄さまが落ち込む。
「全然大丈夫ですわ!私も嬉しかったです。」
「カイ兄さんの妹なら僕のお姉さんですね。
スティア姉さん、僕も嬉しいです!」
まあ…!ライリー…なんて天使なの…!
スティア姉さん…なんて…嬉しいわ!
「ええ、よろしくねライリー。」
「兄弟なんだからライって呼んでスティア姉さん。」
「分かったわ、ライ。」
へへっと嬉しそう笑うライのふかふかの頭を撫でる。
「俺は…!兄弟なんて認めねぇから!兄弟のんていやだね!」
「え…」
アルとも仲良くしていたつもりだったけど…
そう思っていたのは私だけだったの…?
急に怒鳴ったアルにびっくりする。
「ごめんなさい…迷惑だったかしら…?」
「違う!そう言うことじゃない!俺は!兄弟じゃなくて…その…夫「友だちになりたいんだよね!?アルベルト。兄弟より友だちの方が話せることもあるもんね?」」
急にレオお兄さまがアルの言葉を遮った。
「あら、そうだったのね!安心したわ、嫌われたわけじゃなくて!
家族にも言えないことでも友だちになら言えるって本に書いてあったわ!改めてよろしくね!」
「あ…ああ…」
大切なお友だちを無くさずに安心して笑顔で手を差し出す私の背後で、レオお兄さまが悪い顔していたことも、カイお兄さまや侯爵ご夫妻がアルに対して哀れんだ目をしていたことなど、もちろん気づかずただただ幸せな気持ちでいっぱいだった。
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最後までお読みいただきありがとうございます!
早速、フォルスター三兄弟のお話です。
いや~スティアも中々鈍感な子ですね。
兄弟になりたくなくて焦るアルベルト可愛いですね!マンドラゴラの大好物です!
アルベルトはもちろん夫婦狙いですからね!
スティア以外の人たちは皆んな察していました。
分かっていて話を遮るあたりレオンも腹黒ですね。
お前に渡す気は毛頭ないぞ?という強い意志を感じました。
さて、次回はお茶会本番!
ヴァイオレットが仕組んだ良いこととは一体なんなのでしょうか?
フォルスター侯爵家+レオンの楽しい作戦!
是非、お楽しみに!
「んん…ん?…っ!?レオお兄さま!?」
「おはよう、ティア。」
え、何故レオお兄さまが…!?
それにしても…目覚めて一番レオお兄さまの整ったお顔は…心臓に悪いですわ!
「おはよう…ございます…?どうしてレオお兄さまがこちらに?」
「連休だから帰ってきたんだ。ティアに会いたくて。今日はカイルの所のお茶会に行くんだろう?送っていくよ。
ティアのことエスコートさせて?」
久しぶりにお会いしたレオお兄さまは、ぐっと身長が伸びて大人びた様に感じる。
「今日のエスコートはアルに頼んでしまいましたわ…まさか、レオお兄さまが帰ってこられるなんて夢にも思わなくて…」
「ん?大丈夫、大丈夫。アルベルト君には代わって貰えば良いんだよ。
それとも、僕じゃ嫌かな?」
眉尻を下げて不安そうな顔をする。
その顔は反則ですわ!
いやなんて言えるわけないですもの!
「嫌じゃありませんわ…嬉しいです。」
「良かった!嫌だって言われたらどうしようかと…
実は、カイルに今日のこと聞いてね。お茶会の為にティアと対になる服を仕立てたんだ。もちろんフォルスター夫人に相談してね。」
さっ、あの人たちに気づかれる前に出ようか。と私を抱えると外套を着せてささっとフォルスター侯爵邸へ出発する。
久しぶりにレオお兄さまに会えたのは嬉しいけど、何がなんだか分かりませんわ!
「まあ!なんて素敵なの!
流石ティアちゃん!私の娘!」
侯爵邸へ着くといつものように、待ちかまえていたヴァイオレット様とメイドたちに手際よく磨かれ飾られて気づけば支度が終わっていた。
ヴァイオレット様は、いつの間か御自分も支度を済ませていて出来上がった私を見て歓声を上げている。
それにしてもヴァイオレット様はいくつになられて素敵だわ…とても3人の子を産んだとは思えない!
今日のヴァイオレット様のドレスは、マーメイドラインのドレスで首や肩をレース生地で覆った大人っぽいデザインの中に上品さが滲み出るデザインだ。
「ヴァイオレット様もとても素敵です。」
「まあ!ありがとう。さっ、息子たちのところにいきましょう。お披露目してたくさん褒めてもらいましょうね。
女の子は褒められて美しくなるのよ。」
「おお、スティア!いつも可愛いらしいが今日は更に輝いているな!凄く似合う!綺麗だよ!
こんな可愛い妹がいて羨ましいぜ!レオン!」
「当たり前だろう。僕のティアが可愛くないわけがない。凄く綺麗だよ。」
部屋に入ってまずドアの一番近くにいたカイお兄さまとレオお兄さまが褒めて下さる。
「ありがとうございます。カイお兄さま、レオお兄さま!あの…カイお兄さま…!」
「ん?どうした?」
「……私、カイお兄さまのこともお兄さまだと思っておりますわ…!」
思い切って言ったは良いけど…恥ずかしくて消えてしまいそうだわ!
「そうか…」
恥ずかしくて顔を上げられずにいるとカイお兄さまが何かを呟いたのが聞こえた。
「え…?」
「そうだよな!スティアはもう俺の可愛い妹だ!」
うぐっ…流石カイお兄さま…力強いですわ…
カイお兄さまが笑顔で私を抱きしめる。
「ちょっと!カイル!僕のティアに抱きつかないでよ!ティアが潰れちゃうから!
…えっ!力強すぎでしょ!アルベルト!ちょっと手伝って!」
「おう…!」
走馬灯が見えかけましたわ…
アルとレオお兄さま2人がかりでやっと解放される。
「こら、カイ。女の子はもっと優しく扱わないとダメだぞ。」
「そうよ、カイ。そんな風に雑に扱ってはティアちゃんが可哀想だわ。」
「ごめんな、スティア。つい嬉しくて。」
フォルスター侯爵とヴァイオレット様に怒られてカイお兄さまが落ち込む。
「全然大丈夫ですわ!私も嬉しかったです。」
「カイ兄さんの妹なら僕のお姉さんですね。
スティア姉さん、僕も嬉しいです!」
まあ…!ライリー…なんて天使なの…!
スティア姉さん…なんて…嬉しいわ!
「ええ、よろしくねライリー。」
「兄弟なんだからライって呼んでスティア姉さん。」
「分かったわ、ライ。」
へへっと嬉しそう笑うライのふかふかの頭を撫でる。
「俺は…!兄弟なんて認めねぇから!兄弟のんていやだね!」
「え…」
アルとも仲良くしていたつもりだったけど…
そう思っていたのは私だけだったの…?
急に怒鳴ったアルにびっくりする。
「ごめんなさい…迷惑だったかしら…?」
「違う!そう言うことじゃない!俺は!兄弟じゃなくて…その…夫「友だちになりたいんだよね!?アルベルト。兄弟より友だちの方が話せることもあるもんね?」」
急にレオお兄さまがアルの言葉を遮った。
「あら、そうだったのね!安心したわ、嫌われたわけじゃなくて!
家族にも言えないことでも友だちになら言えるって本に書いてあったわ!改めてよろしくね!」
「あ…ああ…」
大切なお友だちを無くさずに安心して笑顔で手を差し出す私の背後で、レオお兄さまが悪い顔していたことも、カイお兄さまや侯爵ご夫妻がアルに対して哀れんだ目をしていたことなど、もちろん気づかずただただ幸せな気持ちでいっぱいだった。
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最後までお読みいただきありがとうございます!
早速、フォルスター三兄弟のお話です。
いや~スティアも中々鈍感な子ですね。
兄弟になりたくなくて焦るアルベルト可愛いですね!マンドラゴラの大好物です!
アルベルトはもちろん夫婦狙いですからね!
スティア以外の人たちは皆んな察していました。
分かっていて話を遮るあたりレオンも腹黒ですね。
お前に渡す気は毛頭ないぞ?という強い意志を感じました。
さて、次回はお茶会本番!
ヴァイオレットが仕組んだ良いこととは一体なんなのでしょうか?
フォルスター侯爵家+レオンの楽しい作戦!
是非、お楽しみに!
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