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第一章
女子高生の日常
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◆
「おはよー!」
「真希、おはよ」
高校2年生になっても、私の親友は同じクラスで苗字が近いために、席も後ろ。私の苗字は色川で、彼女のは羽衣。
1年のころに前後の席になった時から、高校にはいって一番仲良くなったといっても過言ではない。
まだ進級したばっかりでクラスも親友も浮足立っている。
私は結構早めに学校にきて、本を読んでいたり、携帯を触っていたりなど。
学校はわたしにとって案外居心地がいい。人がいることで安心感も得れるし、ありがたいことに話しかけてくれる友人もたくさんいる。
「千愛ちゃん、数学の宿題やってある?」
「うん、やってないの?」
「分かんないとこあって、見せてくんない?」
「いいよ」
真希ほどではないけど、仲のいい友人が話しかけてくれる。学校での私はみんなに頼られる優等生。
「千愛ちゃんほんとありがとう!まじ天使!」
「そんなことないよ~、また何か言ってね」
「千愛はほんとにいい子なんだから~。こんなに可愛くて美人でそれでいて優しい。頭も良し運動神経も良し。悪いところの方がないでしょ」
「なんで真希が誇らしげなの」
そう言って、私の周りにいる人たちが笑う。友達に囲まれて、幸せだ。こんなにも頼られて必要とされることが嬉しく思う。
「真希はやったの?」
「一個もやってない!」
「もう…」
私のことを自慢げに話す真希に宿題をさせようとカバンも降ろしてない状態から、席に座らせて宿題をみる。
1年生の時から、真希は私が面倒をみてきた。この一年間でもかなりお世話していたと思うし、助けられてもした。そんな大事な親友だ。
「千愛ちゃんって真希の保護者みたいでほんとに…」
「そこまで子どもじゃないやい」
「そうやってムキになるところもかわいいよ」
「千愛まで子ども扱いする~」
元気いっぱいで反論する真希の頭を撫でながら可愛がってあげるとさらに、子どもっぽくなる。そんなところも愛おしい。可愛い。
「とりあえず、お勉強片つけちゃお?」
「うん!」
満面の笑みでこちらを見てくる真希。良い子いい子しながら宿題を進めていくのだった。
□
お昼の授業も終わり、お昼ご飯を食べようと真希の方を向こうとする。食欲旺盛な真希は、いつも3時間目と4時間目の間に早弁をしてしまうため、お昼ご飯は学食で食べるか購買部になにか買いに行くことになる。今日はどっちの日だろうかと思い話しかけようとすると。
「色川さん」
急にある人物に話しかけられた。
「お昼の時間だけど、ちょっといいかな」
「うん、大丈夫だよ」
後ろの席で様子を伺っていた真希に用事できたからご飯みんなと先に食べていてほしい、ということをつたえると速攻でOK、と返事をして購買部の方にダッシュしていった。食事に関しては本当に貪欲でかわいいなと思う。あの小さな体で精一杯の元気を蓄えておくには、たくさんのエネルギーが必要なんだろうと思う。
一方で話しかけてきた人物の方をみる。さらさらの髪の毛に、さっぱりした目鼻立ち。そして、制服の上からでも分かるくらいの筋肉量それでいてすらっとした背格好。一般的にみて、こういった男の子のことをイケメン、と呼ぶのだろうと思う。
「じゃあ、色川さん」
「どうしたの?」
「とりあえず、移動しながら話すよ」
当たり障りのない優しい声で話してくれる彼についていき教室を後にする。
授業おわりでお昼のために移動する人たちがいるために、教室の中はまばらになってる。みんな結構お腹空いてるのかな、なんて。
「それで、呼び出したわけなんだけど…先生から今日の放課後に学級委員で作業してほしいことがあるみたいで。お昼にいったん資料と道具取りに来てほしいらしくてさ。ほら、先生放課後部活で忙しいから、昼休みのうちに説明してほしいみたい。詳しいことはまた職員室で聞こっか」
「そうなんだ。私は部活も何もないし大丈夫だけど、高宮くんは今日の放課後大丈夫?」
私が学校生活に求めていることはたくさんの友達と話すことであり、部活動は含まれていない。放課後という時間を拘束されてしまうことの方が私にとっては望ましくない。よって、今日の学級委員の作業もあまりやりたくはないのだが、学校、クラスでの地位を確保するために、信頼をもらうためにも、学級委員をやらなければいけなかった。これは私の生きていくうえで必要な選択だったのだ。
「僕は特に部活とか入ってないからさ。それにお手伝いとか細かいことは得意だし、皆のためだし頑張らなきゃってなるよね」
「そうだよね。クラスのみんなのためだから頑張れる気がするな」
「色川さん、みんなのこと大好きだよね。伝わってくるよ」
「そうかな、ありがとう」
皆のことが大好きなのは、皆を好いていれば皆も私を好きでいてくれるから。クラスの子に求められるために、愛されるためならばなんでもできてしまう。
そんなこと話している間に、職員室についている。前を歩く高宮君が立ち止まる。
それからノックをして声をかけ、扉を開ける。その仕草だけでも彼の人の好さが伝わる。
彼に続いて私も失礼します、と言いながらも中に入っていく。
「おお!高宮、色川!こっちにきてくれ」
自分の席に座る先生たちが、お弁当や購買パンなどを食べながら仕事をしている。食事の時間も仕事をしているあたり、教員という仕事の大変さが感じられる。
そんな中でも、豪快なうちの担任が大声で奥の方から私たちに声をかけてきた。周りの先生もうっとおしそうなほどの大声だ。
「先生、放課後の件でお話お伺いにきました」
「おう!2人そろってきてくれたな、よしよし」
なんだかご満悦そうな先生の顔をみて、なんとなくこの担任はやはり苦手だなと思う。破天荒で明るくて、世界に対して無頓着な人間。私が周りに目を配り、人に好かれようと。愛を与えて、その分の愛を受け取ろうと必死に考えているときに、こういったタイプの人間は周りに対して全く気を張らない。それはその人本来のものであり、私の持つこの『特異性』と何ら変わりのないものなのだと思う。
人間とは、私のように自分の物語を隅々まで吟味する人と、ページを読み飛ばすかのように先へと進んでしまう人に分かれる。私は後者の人間を世界に無頓着な人間だとカテゴライズする。
それをもったいないと思うか、それぞれの楽しみ方があるかなど捉え方は人それぞれだと思う。私個人としてはできるだけ多数の人間に愛されるために必要な行為であることに変わりはなく、それをしない人をどうこう言う筋合いはない。
その価値観を押し付けてしまうことが、私の獲得する愛から離れてしまう。できるだけステレオタイプにならずに、カテゴライズした人間を枠から取り外して認識しなければならない。
ようは何が言いたいのかというと、私の苦手なこの先生のことも私にとってはとても愛おしくて愛するべき対象であるということだ。
「…はい、今日の仕事は把握しました。ではお昼の時間も迫ってきたので。ここらへんで」
頭の中で苦手であるこの教師について考えている間に、お昼の要件は済んでいるようだ。もちろん私も先生の話をしっかりと聞いていたし、まったく困るようなこともなかった。結構なようの単純作業を雑用のように押し付けられただけだった。
それでも、私はクラス委員という立場についてことを公開しないし、天秤にかけたとこで私に理があるのは分かり切っている。
だから嫌だとも思わないし、皆のために頑張れる。皆に愛されるために。
「おはよー!」
「真希、おはよ」
高校2年生になっても、私の親友は同じクラスで苗字が近いために、席も後ろ。私の苗字は色川で、彼女のは羽衣。
1年のころに前後の席になった時から、高校にはいって一番仲良くなったといっても過言ではない。
まだ進級したばっかりでクラスも親友も浮足立っている。
私は結構早めに学校にきて、本を読んでいたり、携帯を触っていたりなど。
学校はわたしにとって案外居心地がいい。人がいることで安心感も得れるし、ありがたいことに話しかけてくれる友人もたくさんいる。
「千愛ちゃん、数学の宿題やってある?」
「うん、やってないの?」
「分かんないとこあって、見せてくんない?」
「いいよ」
真希ほどではないけど、仲のいい友人が話しかけてくれる。学校での私はみんなに頼られる優等生。
「千愛ちゃんほんとありがとう!まじ天使!」
「そんなことないよ~、また何か言ってね」
「千愛はほんとにいい子なんだから~。こんなに可愛くて美人でそれでいて優しい。頭も良し運動神経も良し。悪いところの方がないでしょ」
「なんで真希が誇らしげなの」
そう言って、私の周りにいる人たちが笑う。友達に囲まれて、幸せだ。こんなにも頼られて必要とされることが嬉しく思う。
「真希はやったの?」
「一個もやってない!」
「もう…」
私のことを自慢げに話す真希に宿題をさせようとカバンも降ろしてない状態から、席に座らせて宿題をみる。
1年生の時から、真希は私が面倒をみてきた。この一年間でもかなりお世話していたと思うし、助けられてもした。そんな大事な親友だ。
「千愛ちゃんって真希の保護者みたいでほんとに…」
「そこまで子どもじゃないやい」
「そうやってムキになるところもかわいいよ」
「千愛まで子ども扱いする~」
元気いっぱいで反論する真希の頭を撫でながら可愛がってあげるとさらに、子どもっぽくなる。そんなところも愛おしい。可愛い。
「とりあえず、お勉強片つけちゃお?」
「うん!」
満面の笑みでこちらを見てくる真希。良い子いい子しながら宿題を進めていくのだった。
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お昼の授業も終わり、お昼ご飯を食べようと真希の方を向こうとする。食欲旺盛な真希は、いつも3時間目と4時間目の間に早弁をしてしまうため、お昼ご飯は学食で食べるか購買部になにか買いに行くことになる。今日はどっちの日だろうかと思い話しかけようとすると。
「色川さん」
急にある人物に話しかけられた。
「お昼の時間だけど、ちょっといいかな」
「うん、大丈夫だよ」
後ろの席で様子を伺っていた真希に用事できたからご飯みんなと先に食べていてほしい、ということをつたえると速攻でOK、と返事をして購買部の方にダッシュしていった。食事に関しては本当に貪欲でかわいいなと思う。あの小さな体で精一杯の元気を蓄えておくには、たくさんのエネルギーが必要なんだろうと思う。
一方で話しかけてきた人物の方をみる。さらさらの髪の毛に、さっぱりした目鼻立ち。そして、制服の上からでも分かるくらいの筋肉量それでいてすらっとした背格好。一般的にみて、こういった男の子のことをイケメン、と呼ぶのだろうと思う。
「じゃあ、色川さん」
「どうしたの?」
「とりあえず、移動しながら話すよ」
当たり障りのない優しい声で話してくれる彼についていき教室を後にする。
授業おわりでお昼のために移動する人たちがいるために、教室の中はまばらになってる。みんな結構お腹空いてるのかな、なんて。
「それで、呼び出したわけなんだけど…先生から今日の放課後に学級委員で作業してほしいことがあるみたいで。お昼にいったん資料と道具取りに来てほしいらしくてさ。ほら、先生放課後部活で忙しいから、昼休みのうちに説明してほしいみたい。詳しいことはまた職員室で聞こっか」
「そうなんだ。私は部活も何もないし大丈夫だけど、高宮くんは今日の放課後大丈夫?」
私が学校生活に求めていることはたくさんの友達と話すことであり、部活動は含まれていない。放課後という時間を拘束されてしまうことの方が私にとっては望ましくない。よって、今日の学級委員の作業もあまりやりたくはないのだが、学校、クラスでの地位を確保するために、信頼をもらうためにも、学級委員をやらなければいけなかった。これは私の生きていくうえで必要な選択だったのだ。
「僕は特に部活とか入ってないからさ。それにお手伝いとか細かいことは得意だし、皆のためだし頑張らなきゃってなるよね」
「そうだよね。クラスのみんなのためだから頑張れる気がするな」
「色川さん、みんなのこと大好きだよね。伝わってくるよ」
「そうかな、ありがとう」
皆のことが大好きなのは、皆を好いていれば皆も私を好きでいてくれるから。クラスの子に求められるために、愛されるためならばなんでもできてしまう。
そんなこと話している間に、職員室についている。前を歩く高宮君が立ち止まる。
それからノックをして声をかけ、扉を開ける。その仕草だけでも彼の人の好さが伝わる。
彼に続いて私も失礼します、と言いながらも中に入っていく。
「おお!高宮、色川!こっちにきてくれ」
自分の席に座る先生たちが、お弁当や購買パンなどを食べながら仕事をしている。食事の時間も仕事をしているあたり、教員という仕事の大変さが感じられる。
そんな中でも、豪快なうちの担任が大声で奥の方から私たちに声をかけてきた。周りの先生もうっとおしそうなほどの大声だ。
「先生、放課後の件でお話お伺いにきました」
「おう!2人そろってきてくれたな、よしよし」
なんだかご満悦そうな先生の顔をみて、なんとなくこの担任はやはり苦手だなと思う。破天荒で明るくて、世界に対して無頓着な人間。私が周りに目を配り、人に好かれようと。愛を与えて、その分の愛を受け取ろうと必死に考えているときに、こういったタイプの人間は周りに対して全く気を張らない。それはその人本来のものであり、私の持つこの『特異性』と何ら変わりのないものなのだと思う。
人間とは、私のように自分の物語を隅々まで吟味する人と、ページを読み飛ばすかのように先へと進んでしまう人に分かれる。私は後者の人間を世界に無頓着な人間だとカテゴライズする。
それをもったいないと思うか、それぞれの楽しみ方があるかなど捉え方は人それぞれだと思う。私個人としてはできるだけ多数の人間に愛されるために必要な行為であることに変わりはなく、それをしない人をどうこう言う筋合いはない。
その価値観を押し付けてしまうことが、私の獲得する愛から離れてしまう。できるだけステレオタイプにならずに、カテゴライズした人間を枠から取り外して認識しなければならない。
ようは何が言いたいのかというと、私の苦手なこの先生のことも私にとってはとても愛おしくて愛するべき対象であるということだ。
「…はい、今日の仕事は把握しました。ではお昼の時間も迫ってきたので。ここらへんで」
頭の中で苦手であるこの教師について考えている間に、お昼の要件は済んでいるようだ。もちろん私も先生の話をしっかりと聞いていたし、まったく困るようなこともなかった。結構なようの単純作業を雑用のように押し付けられただけだった。
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