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「それ、誘ってるふうにしか見えねえよ?」
(1)
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その翌日は夕方から雨が降り出した。
窓を打ちつける音は次第に激しさを増していき、テレビの音も聞こえないくらいのどしゃ降りになった。
リモコンを取ってテレビを消すと、雨の音しか聞こえなくなる。
静かな部屋に響く雨音がやけに孤独を感じさせるようで、途端に寂しさを覚えた。
琉生は同窓会でいなくて、羽琉もまだ帰ってきていない。
バイトで帰りが遅いことが多いから、今日もそうかもしれない。
いつもはなにも思わないのに、今日に限っては一人でいるのがなんだかつらかった。
「はー…」
壁時計を見て、ため息をひとつ漏らす。
時刻はもうすぐ日付が変わる頃で、琉生もそろそろ帰ってくるはずだ。
先に寝てていい、と言われたけど、やっぱり心配でそうできない。
琉生が誰かとそういうことになったらと思うと、気が気でない。
スマートフォンを手に取って見るも、琉生からの連絡はまったくない。
電話しようか、と衝動的に思ったけど、もしまだ友達と一緒にいるなら迷惑かもしれない。
せっかく楽しんでいる時に邪魔をしてしまうかもしれない。
そう思うと、たったの電話ひとつ、メッセージひとつ送ることができなかった。
いつもそう、言いたいことはいつも言えなくて強がって見せてばかりで。
寂しい時もつらい時も、大丈夫、と見せ掛けの言葉で誤魔化して。
琉生に甘えることはあっても、まともに泣いたことなんてほとんどない。
好きな人にも本当の意味で甘えられないなんて、つくづく可愛げがない。
他の子がするみたいに、もっと可愛く甘えられるならよかった。
「う、わ…! びっくりした!」
一瞬の稲光の後、大きな雷鳴が轟いた。
思ったより近くに落ちたのか、チカチカと部屋の電気が点滅した。
外に降りしきる雨はさっきよりも激しさを増し、バラバラとゲリラ豪雨のような音を立てる。
こんな天気でちゃんと帰ってこられるかと、心配になってきた。
琉生はもちろんだけど、羽琉のことも。
いくら車だとしても、この雨じゃ視界は悪く運転はしづらいかもしれない。
そう思っていると、近くに置いていたスマートフォンが着信を知らせた。
画面を見ると相手は琉生で、紗奈はすぐに応答ボタンをタップした。
『悪い、紗奈。今日は帰れない』
その声が耳をすり抜け、えっ、と声を上げるしかできなかった。
こんな天気だ、そうなるかもしれないと予想はついていたはずなのに。
『この雨で電車が止まってていつ動くかもわかんなくて、適当にどこかに泊まるから』
「迎えに行くよ?」
『いい。こんな雨降りでもう時間も遅いし、外に出たら危ない』
そんなふうに言われたらなにも言えなくて、うん、と答えるだけだった。
『明日の朝には動くと思うしちゃんと帰るからさ、紗奈は心配しなくていいよ』
いつもと同じ優しい声なのに、それが不安になるのは、きっと紅音のことがあるからだ。
すぐそこに彼女がいるんじゃないかと、二人でどこかに泊まる気なんじゃないかと。
そう疑ってしまう自分は、本当にみっともなくて醜い。
大好きな彼氏と、尊敬する先輩。
二人ともを疑って、いろんなことを悶々と考えてしまうなんて。
なにを言われてもなにも言われなくても、きっとそうせずにはいられない。
「……ん、気をつけてね」
紗奈は今日もまた言いたいことは奥底に仕舞ったまま、聞き分けのいい彼女に徹する。
そうすることで、今まで大きな問題もなくうまくやってきた。
それに苦しくなったりもするけど、これが一緒にいるためのあり方だから。
あるかわからない、琉生との未来のために。
窓を打ちつける音は次第に激しさを増していき、テレビの音も聞こえないくらいのどしゃ降りになった。
リモコンを取ってテレビを消すと、雨の音しか聞こえなくなる。
静かな部屋に響く雨音がやけに孤独を感じさせるようで、途端に寂しさを覚えた。
琉生は同窓会でいなくて、羽琉もまだ帰ってきていない。
バイトで帰りが遅いことが多いから、今日もそうかもしれない。
いつもはなにも思わないのに、今日に限っては一人でいるのがなんだかつらかった。
「はー…」
壁時計を見て、ため息をひとつ漏らす。
時刻はもうすぐ日付が変わる頃で、琉生もそろそろ帰ってくるはずだ。
先に寝てていい、と言われたけど、やっぱり心配でそうできない。
琉生が誰かとそういうことになったらと思うと、気が気でない。
スマートフォンを手に取って見るも、琉生からの連絡はまったくない。
電話しようか、と衝動的に思ったけど、もしまだ友達と一緒にいるなら迷惑かもしれない。
せっかく楽しんでいる時に邪魔をしてしまうかもしれない。
そう思うと、たったの電話ひとつ、メッセージひとつ送ることができなかった。
いつもそう、言いたいことはいつも言えなくて強がって見せてばかりで。
寂しい時もつらい時も、大丈夫、と見せ掛けの言葉で誤魔化して。
琉生に甘えることはあっても、まともに泣いたことなんてほとんどない。
好きな人にも本当の意味で甘えられないなんて、つくづく可愛げがない。
他の子がするみたいに、もっと可愛く甘えられるならよかった。
「う、わ…! びっくりした!」
一瞬の稲光の後、大きな雷鳴が轟いた。
思ったより近くに落ちたのか、チカチカと部屋の電気が点滅した。
外に降りしきる雨はさっきよりも激しさを増し、バラバラとゲリラ豪雨のような音を立てる。
こんな天気でちゃんと帰ってこられるかと、心配になってきた。
琉生はもちろんだけど、羽琉のことも。
いくら車だとしても、この雨じゃ視界は悪く運転はしづらいかもしれない。
そう思っていると、近くに置いていたスマートフォンが着信を知らせた。
画面を見ると相手は琉生で、紗奈はすぐに応答ボタンをタップした。
『悪い、紗奈。今日は帰れない』
その声が耳をすり抜け、えっ、と声を上げるしかできなかった。
こんな天気だ、そうなるかもしれないと予想はついていたはずなのに。
『この雨で電車が止まってていつ動くかもわかんなくて、適当にどこかに泊まるから』
「迎えに行くよ?」
『いい。こんな雨降りでもう時間も遅いし、外に出たら危ない』
そんなふうに言われたらなにも言えなくて、うん、と答えるだけだった。
『明日の朝には動くと思うしちゃんと帰るからさ、紗奈は心配しなくていいよ』
いつもと同じ優しい声なのに、それが不安になるのは、きっと紅音のことがあるからだ。
すぐそこに彼女がいるんじゃないかと、二人でどこかに泊まる気なんじゃないかと。
そう疑ってしまう自分は、本当にみっともなくて醜い。
大好きな彼氏と、尊敬する先輩。
二人ともを疑って、いろんなことを悶々と考えてしまうなんて。
なにを言われてもなにも言われなくても、きっとそうせずにはいられない。
「……ん、気をつけてね」
紗奈は今日もまた言いたいことは奥底に仕舞ったまま、聞き分けのいい彼女に徹する。
そうすることで、今まで大きな問題もなくうまくやってきた。
それに苦しくなったりもするけど、これが一緒にいるためのあり方だから。
あるかわからない、琉生との未来のために。
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