乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜

ひろのひまり

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3.お茶会って3時のオヤツの事じゃないんですか?

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 あれからセバスに追いつかれて捕獲されました!!
リリィです!!

セバスから逃げ切れる事ってあるのかしら?
もう少し大きくなったら逃げ切ってみせる!!
待ってろセバス!!


という事でヒョイと肩に担がれお母様の所まで連行されて参りました。


さっきまではカーテシー、貴族のお辞儀?の練習を延々と…させられておりました。
そう、延々と…地獄でした。

ちょこんと膝を折ってドレスの裾を広げて背中は伸ばしたまま…何回か転びましたが、及第点は頂けたようです。


「リリィ。もう少ーしだけで良いの。可愛らしく微笑んで座っていてね」

「…はい、おかあさま」


そして今はサロンでお茶会のマナーの練習中です。
現在3歳、中身日本人のハタチの女にマナーなんてーー!!

ムリな話!!

お茶なんて、美味しくお菓子と一緒に頂いたらいいじゃないの?って思うんだけどなぁ…

カチャリと音を立てないようにカップを上げ下げ。この世界の子供達はこんなに厳しいマナーの元で生きているのか…

口から魂が飛び出しそうだよ…

チラリとお兄様を見る。

完璧に美しい姿勢を保ってカップを操ってる! なんてお上品!なんて美しいんだ!
キラキラエフェクト降臨!

お兄様と目が合った!
ニッコリ微笑まれてノックアウトです。


しんどいなぁ…早く終わらないかなぁ…

もそもそしてたらお母様がパンパンと手を叩いた。


「…リリィ?貴方にはまだ早いかも知れないけれど、将来的には必ず貴方の為になる事なの。がんばれる?」

私と同じ菫色の瞳で見つめられると有無を言わさず頷かされちゃうんだよね…

「はい…」

「よろしい。いい子ねリリィは」

ニッコリと笑うお母様はとっても美しい。
キラキラエフェクトはアクアマリン。とってもキレイに透き通るような水色。


「リリィ?」

おっといけない。

「なぁに?おかあさま」


キラキラエフェクトは他の人は滅多に見れないんだって。お父様が言ってた。だからあんまり言っちゃいけないんだって。
キレイなのに皆見れないなんてかわいそうだな。

キレイなエフェクトだと魅入っちゃうからよくボーッとしてるように見られてるのはご愛嬌かな。

ちなみに、お兄様のエフェクトはサファイヤとエメラルド。綺麗な青と透明な緑の2色が混じり合ってとっても綺麗なの!


「明日は朝から準備をしてお昼前には出ますからね。今日は早めに寝て明日きちんと起きるのですよ?」

「はい、わかりました。おかあさま」

ニッコリ笑う事を忘れない。

「ふふっ。リリィは王宮初めてだから緊張すると思うけれど、クリスも一緒だから安心ね」

「リリィ…心配だけど…ボクが付いているからね!」

「たのしみです!」


はぁっーーー。
心の中ででっかい溜息ついちゃった。
王宮とか窮屈そうだなぁ。
お茶会って言っても好きにお菓子食べたりできないんだもんね?
でも、王宮…お城?だよね。
ガチお城なんて見た事無いしラッキーっちゃあラッキーかな?


「クリスも、テオドール殿下とヴィクトル殿下にお会いするのは久しぶりよね?」

「そうですね。殿下達とは昨年のテオドール殿下のせいたんさい以来…ですかね」

「テオドール殿下はクリスと同い年だし、ヴィクトル殿下はリリィと同い年なのよ?仲良くなれるといいわね」


テオドール殿下は私が生まれた時にわざわざ治癒院まで王様と一緒に来てくれたんだよね。
頬っぺたつつかれてちょっと嫌な顔しちゃったんだよなぁ…
あの時はちょっと気まずかった。
なんて考えてたら、

「そうですね。リリィ?」

お兄様にジトッと見られてた!
お兄様、その顔やめてー!


「そ!そうですね!なかよくなれるようにリリィがんばります!」

ニッコリ。よし。


「…リリィ?明日は大人しくしていてちょうだいね」

「…はい。」

ニッコリお母様の絶対零度のスマイルは恐ろしいです…。


「少し難しい話をするとね、明日のお茶会はテオドール殿下の婚約者候補の方々もいらっしゃるの。あと、側近候補の方々もね。クリスも側近候補に上げていただいているのよ」


へー!お兄様すごいじゃん!って、王弟であるお父様の息子だからそれくらいは当たり前?
お兄様自身の実力もすごいし確定なんじゃないのかなぁ?

ていうか、王家が囲っておきたいんだろ!って感じかな?



「我が家としては別に選ばれなくても問題はないのだけれど…王妃様直々に御連絡頂いてしまっているのよ。リリィ、わかるわよね?」


あー成る程、ベルナー家ウチにはそんなのどうでもいい話なんだけど、王妃様から直接話来ちゃったから断れないし、選ばれなきゃダメって事ね。
オッケーオッケー!


「わかりましたわ!わたくし、おにいさまのことフォローします!」

「リリィ…」


あら?お母様もお兄様も頭を抱えちゃった。
間違った事言ったかな…?




◇◇◇◇◇◇



翌朝、朝ご飯もそこそこに準備に大忙しです。
まだ3歳だもんね!コルセットで締めたりはしなくてOK!
良かった…あんなの締められたら何にも食べれないだろうし。

コルセットって、着物の帯みたいなやつだよね?成人式なんて前日から夜通し仕事だったし出てないから苦しさはわかんないけどさ!


鏡を見て、あら可愛い!
フワフワの金髪をハーフアップにしてお花を散りばめてある。
菫色の瞳に合う薄いピンクのドレスにもお花の刺繍が沢山!

元々ふっくらした唇には子供らしく透明のグロスを軽く乗せるだけ。

小さい頃に憧れてたお姫様スタイルです。
嬉しい!夢が叶ったよー!!

メイドの皆さんありがとう!
マジマジと鏡を見ていると侍女のニナが嬉しそうに声をかけてきた。


「リリィ様とってもお似合い!素敵です!さすが私達の女神!!」

両手を祈りのポーズにして鏡越しにキラキラした目で見てくる。

…ヨイショが過ぎるぜ?お嬢さん?


「…、ちょっとおおげさよ?」
「そんな事ございませんよ!我が天使!」


ここにも一人リリィに虜の人間が居る。
名前は、ニナ・ヴァンサン。
子爵家の長女で12歳。

彼女はこれからベルナー家に生まれて来るリリィの為の侍女の募集が行われた時に参加した一人だ。
由緒正しきベルナー家の募集にこぞって貴族の娘達は参加させられた。

親達はベルナー家との関わりを求め、子達は息子のクリスに一目惚れをして…と大挙して押しかけてきたが、ミシェルと当時下僕だったセバスによって選定され数名残ったうちの一人にニナがいた。

最終的にニナが選ばれた理由は、
ヴァンサン家の権力に対しての執着の無さ、何故応募してきたかというと、一応ノリで?との事。
ニナ自身はクリスに全く興味が無かった事。
それよりも母マリアに対して心酔していた事。
何よりもマリアからの心象がかなり良かった事。
これが一番の理由だった。

マリアに対しての心酔は変わらず、リリィが生まれ、初めて顔を見せてもらった瞬間に虜になったニナは心の底から服従する事を誓ったのだった。

あれから3年。
ニナは日々、自分の女神を敬い時に叱咤しながら磨き続けてきた。

これからも美しく成長していくであろう女神は…たまにおかしな事を言ったり行動したりするが、それも魅力の一つとして捉えていたのだった。


補足だが、クリスの侍従はトマス・ヴァンサン。
リリィの侍女のニナの双子の兄で子爵家次男。
トマスもニナと同様にクリスの侍従の募集があった時にやって来た。
やはりノリで…。

クリスの侍従として、優秀さは勿論、自分の意思で来ている事等色々チェック項目があったが何よりも決定的だったのがクリスとの相性の良さ、そして子爵家には珍しい魔力量の多さだった。


すっかり準備もできて、自分の部屋から居間へと移動しているとお兄様も部屋から出てきた。


「リリィ!とってもかわいい!似合ってるね」

「ありがとう。うふっ。おにいさまもかっこいいですよ」


キャッキャウフフしながら階段を降りて行く。


クリスの後ろには侍従のトマス。
リリィの後ろには侍女のニナ。


トマスもニナも我が主人あるじが1番!と思っているのだった。
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