乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜

ひろのひまり

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68.初めての実戦訓練はどうなるか分かりませんか?

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 「制服ヨーシ!ローブヨーシ!簡易食料ヨーシ!短刀ヨーシ!ポーションヨーシ!忘れ物ナーシ!!」

 合計6種類のポーションを携えていざ実戦訓練へ出発です!
 寮前に全員集合してから実戦訓練の場所である架空ダンジョンに向かいます。

 架空ダンジョンとは、ここアールヴレズル学園の敷地内にある魔法で作られた訓練用のダンジョンです。



 「はー、ドキドキしてきた…」
 「リリィ?大丈夫?」
 「レオ…レオはもう何回かここで訓練してるのよね?」
 「そうだね。1学年目で初回の訓練が終わったら申請出せばいつでも潜れるダンジョンだからね、暇を見つけては潜りに来てるよ」


 そうなんだ!だから余計に?会えなかったのかな?
 なんてねっ!!

 
 「じゃあ、レオに任せておけば大丈夫ね!」
 「うん?初めての実戦訓練だから無理のない程度に行くっていうのがルールだしオレ達上級生がストッパーの役目を担ってるけど…」
 
 「そっか、でも大丈夫!何かあっても私の特製ポーションで回復できるし!」
 「リリィ、ポーション飲む事前提でいちゃダメだよ?ポーションは飲まないにこした事ないんだからね」
 「はーい…」

 
 チェッ、特製ポーション飲んでもらいたかったのにな…。

 
 「フフッ。でも万が一を想定するのも大事だからね。その時は遠慮なくリリィのを貰う事にするよ」
 
 
 クッ!カッコいいではないか……!!
 その、貴方の事分かってますよ?っていう雰囲気がまた……。


 「そっ!そういえば、仮想ダンジョンってなんで出来たんだっけ?」


 あ、なんか焦って変な質問しちゃった。


 「うん?以前はね、魔族の森とマルタン王国の境界線ら辺に実戦訓練に出る時もあったんだけど学生が倒せる程度の魔物を討伐しに行くのも、リリィが昔言ってた魔族と棲み分けが出来ているのにわざわざ敵対しに行ってどうする?…っていう話になって禁止になったんだよ」

 「え?私?」

 「そうだよ?ほら授業でもやったでしょ?ミシェル様が掛け合ってマルタン王国と魔族との間で不可侵条約を結んで、お互いに境界線から入り込まないって。それを破ったら討伐可能するって」

 「あ、そうだったね。でも、境界線から入ってくる魔物も多いのよね?授業でそう言ってた…」

 「それに関しては知能のない獣だから…という理由で討伐可能。冒険者や討伐部隊がそこは対応してる」

 「じゃあ安心だよね?」
 「そうだね、あ、先生来たよ」

 
 先生の登場で騒ついていた空気が静かになって説明が始まった。


 「皆さんおはようございます!今日は1学年目の子達の初めての実戦訓練です。上級生とのペアは出来ていますか?」


 まだペアが組めなかった場合はこの場で組み合わせるらしい。
 例年なら何人も組めていない人がいるらしいけど、今年は皆すんなり決まったんだって。
 アディが、私達がサッと決めちゃったから他もサッと決まったんだって言ってたな…。

 なんで?って聞いたら、人気のある人達が既に決まっていて取り合いにならなかったから…ってテオがそう言ってたんだって。
 テオ達の時は大変で皆なかなか決まらなくて、最終的に先生達がペアになったんだって。

 凄いよね!当時の生徒会役員達でも纏めきらないくらい混乱したんだって。
 そんな風にならなくて良かったねってアディと頷き合ったのよ。

 
 「今年は優秀ですね!混乱もなくスムーズに決まったようで!では、仮想ダンジョンの説明に入りますね…。まず、ここに来た時に1学年の子達はプレートを貰ったと思いますが全員持っていますか?」

 
 シルバーのチェーン付きプレート。
 ここに来た順に配られていたから、ちゃんと持っています!

 
 「このプレート凄く大切な物なので失くさないように。まず、今からこのプレートに自分の魔力を込めて下さい」

 
 言われた通りに魔力を込める。
 するとパァッと光ってプレート上に名前が浮かんだ。

 
 「魔力に反応するプレートです。名前浮かびましたか?浮かんだらまず自分の登録は完了です。で、このプレートが無いとダンジョンに入れませんのでね!まずダンジョンに入る前に通常だと学園の方で申請を行います。申請が通ったらそのプレートをダンジョンの入り口にあるセンサーに掲げて下さい。ロックが解除されて中に入る事ができます」


 へぇ!カギ代わりなってるんだ!
 寮のマスターキーとかと同じような原理なのかな?


 「で、申請がされていない場合はロックが開かないようになっています。だから勝手に入ろうとしても無理ですからね。今回は1学年と3学年全員登録してありますのでプレートを翳して入って下さいね」

 
 成る程ね、ちゃんと管理されてるって事ね。


 「このプレートはきちんと身につけておいて下さい。一応仮想ダンジョンなので怪我を負ったりはしませんが、その戦闘中は傷を負います。戦闘終了すると傷は消えますが魔力は使えば使う分だけ普通に減ります。魔力枯渇だけは気をつけてください。このプレートで皆さんが今どこで何をしているかというのを学園の方の専用の物でチェックしていますので本当に危険になる前に助けに入ったりその戦闘を強制終了する事もあります」


 …怪我はしないけど魔力は減る。
 だからポーションは支給されたのか。


 「あとは…潜れる階層ですが1学年のフリー層は地下3階までです。地下3階のボスを倒すと地下4階に降りれます。でもボスを倒さないまま1学年を終了しても特に問題はありません」

 
 「今回の実戦訓練は上級生全員が参加してくれていますが、本来上級生は不参加でも問題はありません。強制参加なのは今回の1学年と高等部で1回の合計2回のみです」


 あ、確かに実戦経験積みたい人とそうじゃ無い人がいるもんね。
 

 「その二度だけしか入らない人も多いのでその辺は心配せず自分のやりたいようにやってもらって構いません。今日も上の階に上がってもいいですし、その場で待機でもいです。ただ、高等部の卒業時に地下3階のボス以上を倒して貰うというテストはあります。普通に高等部卒業まで行ける人ならそこのボスはよほどの事がない限り倒せますので安心して下さい」


 うーん私は……せっかくなら何回かチャレンジしたいかも!!

 敵?ってスライムと狼みたいなのだったよね?地下3階までは授業で出てくる敵を教えてもらえたんだよね。

 
 「地下3階のボス前までは仮想敵も弱いので契約獣の召喚は禁止してますので間違えないように。精霊魔法は使えます。ボス戦は召喚獣もOKですがあまりにも個体差がある場合はこちらで何らかのセーブを行います。例えば召喚獣の魔法禁止等です」


 ……ロウ、セル、ネスルはボスまでは連れて行けないという事ね。
 ボスって何なのかな?そこは教えて貰えなかったもんなぁ。


 「では、色々と説明しましたがそろそろ入って行きますか、あ、各フロアの階段前に今回に限り先生方が立ってくれていますので安心して下さい。すぐに出たくなってしまった場合はプレートに向かって脱出の呪文を唱えてくださいね!出口ゲートがすぐ近くに開きますので」


 怖くなったりしても今回は大丈夫だよね!慣れてるレオが一緒だし!

 
 「リリィ?今回メインで行くのはリリィだよ?」
 「うっ!……分かってるよ?でもレオを頼っていいんでしょ?」


 身長差の分上目遣いになってしまうのは仕方なし!!


 「ーーっ!!勿論だよっ!」

 
 くそっというレオの呟きが聞こえたけどどうしたのかな?
 あら?顔も赤い?

 
 「レオ?」
 「んんっ!……リリィどうしたの?」


 あら?もういつも通りのレオスマイルだわ。

 
 「何でもないけど…私、がんばるね!」
 「うん。でも程々にね、じゃないとリリィとだと…何かが起きそうな気が……」
 「失礼ね!……気を付けるわ……」


 ではそろそろ仮想ダンジョンに潜入ですよ!

 

 横並びになってプレートを翳して何組かずつダンジョンに入って行きます。
 同じような場所から入っても中へは同じ扉から同時に入った人だけが一緒の場所に転移しますが別扉から入ったり時間差で入ると全く別の場所に転移するそうです。

 
 「うー、緊張するー」
 「ハハッ大丈夫大丈夫」
 「あ、アディ達だ!がんばれー!!」

 
 アディとテオが手を振って転移して行く、ただ黒装束の人が一人一緒に転移して行った。

 
 「アディ達と一緒に行ったのって?」
 「ん?ああ、王族に付いてる護衛の影だね」
 「影?」
 「うん。危険がないとは言えないからね」
 「確かにそうだよね…。あ、お兄様とヴィータだ!がんばれー!!」


 ヴィータ達にも黒装束の人が一人付いて行った。
 もうすぐ自分の順番。遊園地のアトラクションに並んでる時みたいなドキドキ感がある。


 「リリィ順番だよ。プレート掲げてね」
 「う、うん」

 
 プレートを掲げて……初ダンジョンに出発です!!
 


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