乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜

ひろのひまり

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69.初ダンジョン、初対決はどうなりますか?

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 シュンッと目の前の風景が大幅に変わりました。
 
 ダンジョン内は少し暗めで岩肌ゴツゴツとかではなくてレンガ造りの古城?みたいな雰囲気。


 「レ、レオ…?」
 「どうしたの?」

 
 レオの袖をちょいと掴んでしまう。


 「ちょ、ちょっと……こわい…かも?」
 「フフ、ヘル様の所よりは明るいでしょう?」
 「ん?あ、そうか!ヘルの所の方が暗いしお化け屋敷みたいだったわ。しかもリアルスケルトンいるし!!」


 そう思ったら怖さが無くなった。
 良かった!ヘルの所に通ってて!

 カツカツと通路を歩いているがあんなに人が居たのに誰にも遭遇しないのが不思議な感じがする。

 
 「……レオ……誰もいないのね」
 「ん?そうだね。それぞれ別空間に飛ばされてるからね。だけど先生達の召喚獣とかが1組ずつについているんだよ?」
 「え?そうなんだ!気付かなかった。今も召喚獣がどこかにいるの?」
 「見守り部隊として斥候タイプの召喚獣が付いて来ていると思うよ」
 

 確かに仮想と言ってもダンジョンはダンジョン。初めて入る生徒に上級生が着いたとしても何かあっては困るのは学園側だからね。


 「って言っても、仮想ダンジョンってすごいね…そういえばレオは何階まで行ったの?」
 「ん?今で地下150階だったかな?あんまり時間ないからそこまで潜れてないよ?」
 「凄いと思うんだけど…」
 「時間があればもっと行けると思うんだけどね」

 
 レオの実力って…やっぱりすごいのかな?
 お兄様がレオには勝てないって言ってたし今の学園でNo.1って話らしいし。

 ていうか…そろそろですか?
 そろそろ出てきますか?

 
 「……。」
 「……。」

 「……。」
 「……リリィ?」

 「ーー!!っひゃいっっ!!」
 「ククク…。ひゃいって……」

 「……レオ~」
 「あそこ…スライム出てきてるよ?」
 

 そうなんです!
 人生(前の世界含む)初のスライムと遭遇中です!って言っても仮想だから本物では無いのだけど…。
 凄いプルンプルンしてる青い物体が……そこに……いるんです!!

 ギャーッと叫ぶ程の事でも無いし…怖いって訳でも無いし…。

 
 「……一応倒してみた方がいいのよね?」
 「まあ、そうだね。リリィ次第だと思うけど、最終的に5年後にはボスを倒さなくちゃいけないから、慣れておいた方がいいとは思うよ?」


 ……今までの人生で殺傷をした事…虫くらいです。
 ここに居るのは実際に生きてる魔物では無い……ここはあまり深く考えずに行くべきですね!!

 
 はふはふと乱れた呼吸を深呼吸する事で整えて……いざ。

 魔力はどれくらい?アン様に相談したら最下級のスライムでクッキー3枚分くらいで行けるんじゃない?って言われたけど…。


 「えーと、……グラビティ」

 
 ーーーー!!
 こっこれは!!!
 思っていたよりも大分恥ずかしいやつ!!
 
 ーーーック、逆に心にダメージを負ったわ…。

 それにそもそも魔法の詠唱?って必要?相手にこんな魔法撃ちますよーって教えてるじゃん!!
 ……喋れない魔物…とかは無詠唱じゃん!!

 
 プルプルしていたスライムが重力でベチャッと潰れている。
 

 ヨシ、じゃあ心の中で唱えてみたらいいかな?そしたら傷はもう負わないでしょう!

 えーと、魔力はクッキー4枚分くらいにしてみようかな?

 【シャインクーペ】
 

 心の中で呪文を唱えて手を潰れたスライムに向けてみた。

 ……このポーズすら……ダメだ…チョット恥ずかしい……。

 手を向けた瞬間に潰れていたスライムが2つに切れた。

 そしてキラッと光って消えた。

 
 「……。」
 「……。」

 「……。」
 「……リリィ?」

 「……。」
 「リリィ?」

 「ひゃいっっ…」
 「ひゃいって…くく…リリィ、君今…」

 「あ……!!やっぱりダメ??ダメなの!?」
 「リリィ落ち着いて?始めは呪文唱えてたけど、二発目は…?」

 「えーと…ですね…【シャインクーペ】を…」
 「うん、無詠唱だったよね?」
 

 あー、やっぱりダメなやつ?恥ずかしさが先行しちゃって後の事何にも考えていなかったわ…。
 だって……授業では皆も同じようにやってたからまだ開き直れたけど…今は……チョットね。
 ………


 「えーと……はい…」
 「ーー!凄い!凄いよ!!リリィ!!」

 「えっ!?はい??」
 「無詠唱なんて魔導士のトップクラスの人達くらいしかできないとされているのに!!」

 「え?そうなの??」
 「そうなの!」
 
 
 「えー?また皆思い込んでやってないだけじゃないの?」
 「呪文を唱えるって魔力を込めたり練ったりするのに結構重要で唱える事で魔力を高めてる事にも繋がっているんだよ」

 「ん?じゃあやっぱり唱えた方が……いい系?」
 「うーん、どうだろう…無詠唱派は少数でミシェル様とライル様はそうらしいけど、あの方々は凄い才能をお持ちの方だからあまり参考にならないし…」

 
 えと…でも、あの…個人的には無詠唱推奨していきたいと思ってマス!!
 
 強いて言うならば…あの、ポーズも…


 「……とりあえず今日は無詠唱でどれくらいのパワーが出せるのか確認しながら進もうか」
 「うん。そうしてみるわ」

 
 レオが一緒で良かったな。
 私がやる事を頭ごなしにNOと言わないのよね。
 理由があってNOならその理由を分かるように説明してくれるし、YESなら更に良くなるように一緒に考えてくれる。

 頼れる存在よね……ていうか、昔から頼ってるかもしれないわ。

 頼れる兄貴分?それとも……
 
 
 
 
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