雨上がる空見上げて

秋本シラキ

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2章

雨上がる空見上げて 2章

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あれからしばらくの時間、高山からメールは来なかった。俺はこのままメールが来ないことを願ったが、その願いはその日の夜にもろくも崩れ去った。



ブーブー



枕もとにある携帯が微かに振動する。



時計の針はとっくに十二時を周り、布団の中にもぐりこんでいた俺は、乱暴に携帯をとってメールを確認した。



『あなたの言葉が本当なら、僕を助けてください』

送り先を見ると高山からだった。俺は一つため息を吐いた。



このまま高山のメールを無視して、あの賭けをやった馬鹿どもには「あれから高山からはメールが来なかった」と言ってごまかすことも出来る。だが俺の性格的に、一度約束したものに嘘をついてごまかすと言うことはできなかった。



『本当です。もし高山君がよかったなら』



送ってしまった。それから一分も経たないうちにメールが来た。


『じゃあ、助けてください。僕もう限界です。死にたいです』



俺はその文章を見て、背筋がゾクッとした。死にたいだと?まぁ本気ではないだろうが。



『限界って、学校でいじめられていることですか?』



そう送って、また一分も経たないうちにまたメールが送られてくる。



『そうです。死にたいです』



高山には悪いが、いじめられっ子にありがちなパターンの内容だと俺は思った。



そして俺の性格的に、こんな湿度百パーセント見たいなウジウジとした性格が嫌いで、これも性格的にだが生まれつきすぐに感情的になる性格で、読んでいてつい頭に血が上ってしまった。



『じゃあ、高山君は死んで逃げようと思っているの?そんなことしたってお前をいじめてきた奴らは別に何も感情は持たないし、忘れ去られるだけだぞ。死ぬ勇気があるんだったらお前、死ぬ前に死ぬ気でいじめた奴らに立ち向かっていけよ!』



今度は五分くらいしてからメールが送られてくる。

『僕はあなたと違って強くありません』



その場に高山がいるならば殴りつけているところだった。



『何処が違うんだよ。俺もお前も同じ普通の人間だろ?立ち向かうことぐらいできるだろう。別に負けたっていいんだよ!』



『でも立ち向かうって、立ち向かっていじめはなくなるんですか?』



この送られてきた言葉が俺をもっと感情的にさせた。

『そんなもん知るか!お前、悔しくないのかよ?いじめられて』



『悔しいです』

『じゃあ、立ち向かえよ!それから死んだっていいだろう!』



『でも、そんな勇気ありません』

『勇気だと!?お前は結局、自分のプライドとか自分がこれ以上傷つきたくないだけじゃねえか?お前、もう死にたいって最初に書いたよなぁ?そしたら、もうお前の生きてきた人生の中でこれ以上最悪なことはないってことだよなぁ?そしたらプライドも何もねえよ!立ち向かえ!!!!!』



その長々としたメールを送った後は、高山からメールが届くことはなかった。しばらく冷静になると、少し高山に言い過ぎたと反省し、そして自分が滑稽に思えて仕方がなかった。
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