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暗殺者
約束
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「まさか!ビズーイ、ウェリスのこと、好きになっちゃってた?!」
ドニは、泣き出したビズーイに、大慌てした。
「そういうことじゃなくて、」
言いながら、ウェリスが振り返ると、
「ドニ!セイフの召使いどもが、命令されて、対抗魔術、張り巡らせやがった。さっさと戻れ」
空間移動魔術で現れた魔術師が、ドニの背後から、ビズーイとの間に割り込むように、腕を掴んだ。
「でも、ビズーイが」
泣いてるビズーイの肩に、ドニが手を置く。
魔術師とドニとビズーイは、同時に消えた。
空間移動魔術は、直接、触れている人と移動することは可能だ。
だけど、魔力が全くないビズーイと、手のひらだけの接触で空間移動するなんて、ウェリスは、ちょっとこわくて、できないな…と思ってしまう。
半開きのままの扉を、音もなく、ウェリスは魔術で閉めた。
ふう…と、ため息が出て、ウェリスは、うなだれた。さらさらと、流れ落ちる銀髪が、泣きそうな横顔を隠した。
ビズーイに、他の王様の様子を探って欲しい。って頼まれた時、めっちゃうれしかったのにな~…
ウェリスは、自分の存在が、そこまでビズーイを追い詰めてしまったことが、つらかった。
ウェリスは顔を上げると、目をパチパチして、涙を引っ込めた。
広間の隅へ行くと、王城から逃げようとした時に、そうしたように、王城の礎石にされている鉱石の前にひざまずき、頭を下げた。
鉱石に両手を置き、ウェリスは言った。
「ビズーイを助けて下さり、ありがとうございます」
鉱石が答えることはなかった。
触れた手のひらから、想いが流れ込んで来ることもなかった。
鉱石は、ウェリスの国の王族の代々の遺骸が石となったものと言い伝えられている。
ビズーイの胸を、短剣が突き刺した瞬間、刃を魔術で消し去ったのは、ドニでも、ウェリスでもなければ、この広間には、『彼ら』と『彼女ら』以外にいなかった。
「どうか、ドニも、お護りください」
ウェリスは唇を震わせ、息を吸い込んで、謝った。
「ごめんなさい。『国を取り戻して、必ずお迎えに上がる』と、お約束したのに。」
鉱石の上、ウェリスの両手は、ぎゅっと、握り締められる。
「ぼくは、ドニのそばに、いちゃいけないから。」
ぼくがドニのそばにいることで、ドニの仲間の誰かを、また追い詰めてしまうかもしれない。
「だから、どうか、ここで、ドニをお護りください」
こんな願い、聞いてもらえるわけがない。
代々、あなたたちが護り伝えて来た王国を、ぼくは、自分から僭王に「あげる」なんて言ってしまった。
僭王を殺して、王国を取り返そうともしないで、毎日、美味しい物を食べたり、見たこともなかったものを見たり、知らなかったことを知ったり、笑って生きている。
一番の罪は――自ら望んで、僭王と、交合している。
僭王が、ドニだったから。
そんなの、言い訳だ。
あの時、僭王がドニの顔をしていても、殺して、ぼくは王国を護らなければならなかった。
ウェリスは、顔を上げた。
今、ぽんぽん、と、頭を叩かれた――ような気がした。
「お父さん…」
ウェリスの透き通った水晶のような瞳から、涙があふれる。
風邪をこじらせて亡くなった父が、イタズラをしたウェリスたちを怒る時の、全くお仕置きになっていない、頭の叩き方だった。
ウェリスは、まるで子どものように、両手で涙を拭いながら、しゃくりあげる。
「ドニを好きになって、ごめんなさい。ドニを好きじゃなかったら、ぼくの国を護れた。ドニを好きになって、ごめんなさい」
ドニは、泣き出したビズーイに、大慌てした。
「そういうことじゃなくて、」
言いながら、ウェリスが振り返ると、
「ドニ!セイフの召使いどもが、命令されて、対抗魔術、張り巡らせやがった。さっさと戻れ」
空間移動魔術で現れた魔術師が、ドニの背後から、ビズーイとの間に割り込むように、腕を掴んだ。
「でも、ビズーイが」
泣いてるビズーイの肩に、ドニが手を置く。
魔術師とドニとビズーイは、同時に消えた。
空間移動魔術は、直接、触れている人と移動することは可能だ。
だけど、魔力が全くないビズーイと、手のひらだけの接触で空間移動するなんて、ウェリスは、ちょっとこわくて、できないな…と思ってしまう。
半開きのままの扉を、音もなく、ウェリスは魔術で閉めた。
ふう…と、ため息が出て、ウェリスは、うなだれた。さらさらと、流れ落ちる銀髪が、泣きそうな横顔を隠した。
ビズーイに、他の王様の様子を探って欲しい。って頼まれた時、めっちゃうれしかったのにな~…
ウェリスは、自分の存在が、そこまでビズーイを追い詰めてしまったことが、つらかった。
ウェリスは顔を上げると、目をパチパチして、涙を引っ込めた。
広間の隅へ行くと、王城から逃げようとした時に、そうしたように、王城の礎石にされている鉱石の前にひざまずき、頭を下げた。
鉱石に両手を置き、ウェリスは言った。
「ビズーイを助けて下さり、ありがとうございます」
鉱石が答えることはなかった。
触れた手のひらから、想いが流れ込んで来ることもなかった。
鉱石は、ウェリスの国の王族の代々の遺骸が石となったものと言い伝えられている。
ビズーイの胸を、短剣が突き刺した瞬間、刃を魔術で消し去ったのは、ドニでも、ウェリスでもなければ、この広間には、『彼ら』と『彼女ら』以外にいなかった。
「どうか、ドニも、お護りください」
ウェリスは唇を震わせ、息を吸い込んで、謝った。
「ごめんなさい。『国を取り戻して、必ずお迎えに上がる』と、お約束したのに。」
鉱石の上、ウェリスの両手は、ぎゅっと、握り締められる。
「ぼくは、ドニのそばに、いちゃいけないから。」
ぼくがドニのそばにいることで、ドニの仲間の誰かを、また追い詰めてしまうかもしれない。
「だから、どうか、ここで、ドニをお護りください」
こんな願い、聞いてもらえるわけがない。
代々、あなたたちが護り伝えて来た王国を、ぼくは、自分から僭王に「あげる」なんて言ってしまった。
僭王を殺して、王国を取り返そうともしないで、毎日、美味しい物を食べたり、見たこともなかったものを見たり、知らなかったことを知ったり、笑って生きている。
一番の罪は――自ら望んで、僭王と、交合している。
僭王が、ドニだったから。
そんなの、言い訳だ。
あの時、僭王がドニの顔をしていても、殺して、ぼくは王国を護らなければならなかった。
ウェリスは、顔を上げた。
今、ぽんぽん、と、頭を叩かれた――ような気がした。
「お父さん…」
ウェリスの透き通った水晶のような瞳から、涙があふれる。
風邪をこじらせて亡くなった父が、イタズラをしたウェリスたちを怒る時の、全くお仕置きになっていない、頭の叩き方だった。
ウェリスは、まるで子どものように、両手で涙を拭いながら、しゃくりあげる。
「ドニを好きになって、ごめんなさい。ドニを好きじゃなかったら、ぼくの国を護れた。ドニを好きになって、ごめんなさい」
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