ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

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1章 きっかけ

1

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「 えぇ──っ..が、...合併っ?」

二ノ宮高校1年B組

田中 苗
(たなか なえ)


彼女の青春はそんな一言から始まった。


…危ないとは聞いてたけどまさか自分が在学中にそんな事になるなんて‥

そう、彼女の通う二ノ宮高校は、かなり前から財政危機に陥っていると噂されていたのだ。


「 ちょっ、と……じゃあ何?  制服も鞄も全部っ買い直し?  ぐぉっ……こっちが財政危機じゃっ!  破綻してまうぅっ」


「 なえちん...ちょっと、落ち着いて…」


頭を抱え込み卒倒する親友田中に遠藤 由美は言う。

「 うぇぇっ 

だって由美ぃ、やっと今月でたまってた家賃払い終わったのにぃ! あんな金持ち学校と合併したら絶対っ学費も何もかも今より上がっちゃうよぅぅっ」


泣き出す苗を由美はよしよしと慰めた。



そう。彼女達が今通っている二ノ宮高校は隣接する、金持ちだらけのお坊っちゃんお嬢ちゃんが通う名門校。
結城学園に吸収合併されることになったのだ。


制服はもちろんのこと、校舎の内部から至るところまで、どこぞの有名デザイナーが手がけたブランドの集まり…
そこはそんな学園だった――。


  「――!あっ、いたいた!
ねぇ由美っ!苗っ!!

今度の土曜日、学校終わってから暇ある?」



屋上で苗と由美がランチタイムを堪能中のところにクラスメートの中島が駆け寄って聞いた。


「土曜?ごめん、あたし土曜は塾だよぉ」


「そっかぁ……じゃあ、苗は?」

「‥‥‥なに中ちゃん?  土曜に何があるの?  とりあえず土曜日はバイトないから、暇っちゃあ暇だし忙しいっちゃあ忙しいかな?」


苗は曖昧な答えを返した。

「それがさぁ。今度、お隣サンとうち合併するじゃん?  んで、結城に通ってる1コ上の従兄弟いるんだけど~お近づきのしるしに合コンでもしないか?  てさっ!  どう?  行けそう?  上手くいけば未来の社長夫人の座もゲット出来るかもよ!」

中島は目をキラキラさせながら興奮気味に言った。


「合コンっ?……やだよぉ!  そんな、お坊っちゃん達と合コンなんて会費高いに決まってんじゃん」

…さすがなえちん・・・

嫌になっちゃうくらい現実的…
社長夫人の夢よりも目先の出費を考えるなんて…


由美は苗を見つめそう思った。


  そんな、苗の肩を中島は笑って叩く。

  「やだっ苗ったら。
そんなお坊っちゃん達だからいいんじゃない!
もち、向こうの招待だから会費も全部向こう持ちだって!
君達は手ぶらでおいでって言ってんっ…」


「何時にどこで待ち合わせ?」


…って即答かよっ!?

中島は心の中でツッコむ。
「えーっと…学校から直で行くから」


…さすがなえちん‥‥
タダならなんでもござれ主義貫いてるね‥


由美は二人のやり取りを黙って見守っていた…


「えっ、学校から直でっ?  制服で居酒屋入れてくれる?  もしかして金の力で何とかするとかっ?」


「…違うよ苗。レストランでするって。親がイタリアン料理の専門店を経営してる人がいるからその店貸し切ってそこでやるってさ!」


「なぬっ!  イタリアンっ……貸し切りっ?
‥‥是非ともお持ち帰り前提で行かねばならんっ!!」

「お持ち‥ってちょっとそれだけはやめてよっ?…んじゃ決まりってことで、できるだけ誘ってこい! って言われてるからドタキャンしないでね!

それじゃあたしまだ他の子にも声掛けてくるから」


中島はそれだけ念を押すと他の子の勧誘のために、この場を後にした…



「ねぇ‥聞いた、由美……貸し切りレストランでイタリアンだって...」


苗はウットリとしたクリ目で様々な料理を思い浮かべ妄想にふけっている…

そして力んだ。


「だってさぁ!
居酒屋メニューはあまり持って帰れないじゃん!

イタリアンだったらピザとパスタでしょ‥
ああと何があったっけっ?

…まぁいいや!
とりあえず持ち帰りしやすい料理ばっかりだすぃ~

それに、ご招待だよ!
タダなんだよ!!
いやぁ~あたし、お坊っちゃんてさぁ‥ぬくぬくと甘やかされて育った気の利かない衆らだと思ったんだけど・・・

中々やるじゃん!!」


苗は上機嫌に顔をホクホクとさせながら語っている。


はは…なえちんやっぱり持ち帰りする気だ…

「でも、よかったじゃん! 私も行きたかったなぁ‥ねぇ、カッコイイ人いたら紹介してよね!」


「…ん? あぁカッコイイ人ね。わかったわかった、居たらね!」

苗は男よりもただで味わえる料理に心を奪われているようである。


「ねえ…なえちん…
生活苦なのはわかるけどさぁ私達、花の女子校生になったんだよ!?」


由美はガシッと苗の両肩を掴み訴えた。



  
「もっと青春を謳歌しようよっ! 悲しすぎだよ!! 短い青春を生活のためだけに費やすなんて!!」


「…わ、わかったっ! わかったから…落ち着いて由美っ」


由美は苗の肩をがたがたと激しく揺さぶる


「…よ、よしっ。カッコイイの見つけてくるから、どんなのがいいの?」


「さすが、苗! え~とねぇ…優しくてぇ~洗練されててぇ~‥」


「うんうん…優しくて洗練っと…」


苗は食べ掛けていたお弁当をつつきながら、由美の好みのタイプを頭にインプットしていった



「んでぇ~‥」


まだ、あるんかい!?…

「……んで?…」


「イケメンでモデルみたいなスタイルだったら最高!! かな?」



「…っ…そんなの無理っす!!」

苗はお手上げ!と言わんばかりに食べ終わった弁当箱をカシャンと放り投げた。


「由美さぁ、もっと現実を見るべきだよ! だいたいそんな、優しくて、洗練されてて? んでなに? イカメンでモデルなみのスタイル? いるわけないっしょ!!
そんなお坊っちゃん! 
せめて、二つに絞っておくれでないかい?」

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