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2章 新校舎
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しおりを挟む「 あ、なえちんおはよう!! 夕べ眠れた?
‥あたし、なんだかすごいドキドキもんで、寝たかどうかわかんないよ~」
晴樹の言った通り結城学園の新校舎も出来上がり、
苗達 二ノ宮高校の生徒は3学年全員、今日から結城に登校していた…
二ノ宮高校の土地も結城が“都庁”から買収し全てが合併される。
校舎はかなりの歴史を刻んでおり、どの道取り壊した方がよいと言う事になり、今朝から早速解体作業が始まっていた…
解体が済めばまた新しい部室や体育館などが 建てられる手筈となっている。
歴史はほんの五年と浅いが合併のお陰で結城学園は昔の二ノ宮高校と同じマンモス校となった
実はこの結城学園を創設したのも財政難の二ノ宮を救う為に晴樹の祖父…
結城 茂樹 (学園理事長)
が、二ノ宮の土地を半分買収し建てたものだった…
それでも財政立て直しができず、結局全てを結城に委ねるしかなくなったのである。
苗達 二ノ宮高校の生徒は結城家に救われた事になるのだった…
「う~ん新校舎の匂いって感じがする!」
苗は由美と新しい教室に向かいながら鼻をフガフガさせていた。
・
… なえちん‥
それはやめて‥‥‥
苗の動作に引きながらも由美はこれからの新しい学園生活に胸をときめかせていた――
「でもさぁ、ここの理事長もすごいよね
昔の恩返しか何か知らないけど…借金背負った学校一つ買い取っちゃうんだから!!」
「うん、ほんとだょ!
ついでにウチの借金も肩代わりしてくれたらあたしはこの身を捧げてもいいね」
… いや、なえちん‥
それはいくらなんでも‥
由美は話題を借金からそらした
「でもさぁ、その理事長の孫って人にあたし早く会ってみたい!優しい人なんでしょ?」
「優しいっちゃ?優しいかな…だってさ‥
“今日は君らはゲストで俺達はホストなんだから”
とか、言ってさぁこう‥
目をキラーン、なんてさせちゃってパスタ取り分けてくれたよ
背中に薔薇の花、背負ってたような感じ?」
「そうなの?やっぱりお金持ちって気取った人ばっかりなのかな…」
世話になったわりに苗はひどい 言いようだ
「でも、世話好きそうだったよ!持ち帰り詰めるのも手伝ってくれたし!!」
苗は自分が無理矢理、手伝わせたとは思っちゃいなかった‥
・
「へぇ~
でも、セレブで優しいなら全然いいじゃん!」
由美は最初の理想のタイプより妥協しはじめた‥
「あっ!確か、足がいように長かったよ
良く思い出したらスタイルもモデルみたいな感じだったかも!」
苗の記憶の復活で由美の瞳はキラキラと輝き始める
「申し分ない!
じゅうぶん過ぎるよ~
早く会ってみたい!!
だってさ、お金持ちで、
優しくて、モデルみたいでしかも、ちゃんとゲストとホストの立場をわきまえてるんでしょ!?ちゃんと洗練されてるしさぁ
もぅっこの際、イケメンは忘れるっ!
あたし、断然!!結城サンに的を絞っちゃう!」
「うんっ!頑張ってね
由美が兄さんの彼女になったら是非、苗にあのパスタをご馳走して!楽しみにしてるから!」
「わかった、パスタね‥」
苗は合コンの日の夜に合コンの様子を聞く為、電話を掛けてきた由美に飽きる程、兄さんのお勧めパスタの話しをしていたのだ。
そして、中島の隠密作戦も虚しく由美は晴樹狙い撃ちを宣言するのだった‥
ただ、この時、由美&中島にとって強敵な恋のライバルが、まさか!?な人物になるとはとても想定出来る訳がなかった…
・
[ 全校生徒のみなさん
おはようございます。
8時から校庭で全校朝礼を行います]
校内放送のアナウンスが流れ生徒達はゾロゾロと移動を始めだす‥
「じゃあ、なえちん。あたし達も行こっか」
そして、苗達も移動を始めた
校庭に続々と黒いかたまりができ始める…
さすがに、二つの学校を合併した今‥生徒数の多さは都内一、二を誇るものになっていた
「ねぇ‥やっぱこのお洒落な校舎にウチらの制服ってめちゃめちゃ浮いてるよね」
「うん、あたし夏服は結城の制服にする‥」
「苗はどうする?」
校庭で整列をしながら元二ノ宮の生徒は口々に話しを交した
そして、近くに並んでいた中島が苗に声をかける
「あたし‥‥
夏も中間も冬も貰い物で二ノ宮の制服、手に入れちゃってるから…」
「‥‥そぅ」
[ 皆さん静かに!――]
ざわつく校庭が静かになると教壇に渋めの老紳士が上がりマイクを取った。
「 あの人が理事長かな?なかなかのダンディさんだね」
「うん‥さすが晴樹サンのお祖父さんて感じ‥///
晴樹サンも年取ったら絶対あんな風になるはず!」
・
苗の言葉に続き、中島が顔を赤らめながら言いきった
そして、理事長の後に生徒会長らしき人が二ノ宮の生徒に歓迎の言葉を送る‥
一通りの挨拶が終わり解散と同時に苗達も自分達のクラスに戻ってきた
「ねぇ‥なえちん。
結城先輩らしき人いた?」
席につくなり由美は苗に聞いてくる
「わかんないょ
あんだけ人数がいたら‥
それに、兄さんはたぶん二年だったと思うから校舎だって離れてるし……」
「え??!??
じゃぁさっ、お昼に見に行ってみようよぉ」
「わかった、わかった」
由美は苗にしがみついておねだりしていた
今日から共学になったせいか元、二ノ宮の生徒達の間でも語られる話題は男のことばかりだった。
「ねぇ、さっきの人めちゃめちゃ格好よかったよね?」
「でも、中島サンが知り合いみたいだったじゃん。親しそうに話しかけてたし‥」
「二年だったよね、たしか…… 中島サンこっちの二年に従兄弟がいたじゃん‥
たぶん、その繋がりなんじゃない?」
「あ?でもさぁなんかお嬢軍団に囲まれてて近づきにくそ? 名前なんて言うんだろうね」
そんなざわめきの声を耳にして中島は焦っていた。
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