ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

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2章 新校舎

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… なんだか…ヤバいかもしれない……


クラスの女子の声に聞耳を立てていた中島は焦った。

… そうだよね、考えてみればあれだけの容姿にバックは結城財閥ときた……
モテない訳がないし…


従兄のコネを利用しても中々近づくのは困難だった。それぐらいお嬢軍団の要塞は堅かったのだ。


その上、元女子高の二ノ宮出身と言う男に飢えた女豹の集団までもが晴樹争奪戦に参加してしまった‥‥


競争率は倍の倍の倍の倍の・・・・に跳ね上がり険しい道のりを進むことを余儀なくされる。


だが、そんな険しい道もなんのその…まるで急斜面の坂の下で待ち構え、転がり落ちてくる極上の獲物を意図も簡単に手に入れる、そんな不届きなヤツがいた……



午前の授業も終わりランチタイムに突入する‥
天気がいいが屋上のペンキがまだ乾いていないってことで苗と由美は教室で弁当を広げ始めた。


「なえちん、お弁当食べたら二年のとこ行ってみようよ!」

「はぃはぃ」


由美とそんな会話をしていると何やら廊下の方がざわつき始めた



「キャ?ちょっとなにっ!? あの人誰っ!?」

「ねぇっあの人今朝の──」


  
廊下の騒雜しさに苗達も何事かと箸を止めた


そして、クラスのドアがガラッと開くと中島の従兄弟が顔を出した。
その直ぐ後ろから騒動の原因が顔を覗かせる。


「(晴樹さんだ!!)‥お兄ぃどうしたの、なんか用っ?」

中島は当然のように駆け寄り話かけた。


「ああ、友理。悪いんだけど田中さんて子、呼んでくれる?」


「え…田中?……」


お兄ぃの言葉に中島が唖然としていると、教室を覗いていた晴樹が口を開いた。

「あ!いた!!
あそこで弁当食べてる」

晴樹が尋ね人を見つけ、手を振りながら教室の中に入ってくる。


それと同時に再び教室の中がざわつき出していた。

廊下の窓にはびっしりと飢えた女豹どもが張り付き教室の中を喰いいるように覗いている。


…なんで苗?!

中島の頭の中を、
なんで?! という文字が回転しはじめていた。


晴樹は苗の側に来ると空いていた近くの椅子を手前に引き寄せる。そして背もたれに肘をかけて座るとにっこり微笑みかけていた。



「兄さんどったのさ?」


苗は驚き由美は真っ赤になって晴樹を凝視している。

「ああ、持ち帰りはちゃんと食べたかと思って聞きにきただけ」

晴樹は楽しそうに話かけた…


  

「ああ!その節はどうもお世話になりました!」


苗はペコッと頭を下げた


「料理はあれで足りた?」


「はぃ!腹八分目でちょうどよかったです」


苗もホクホクしながら答えた。

そして晴樹は何か言いたそうな顔を見せ、急にニヤっと口を緩める。

「……ぷっ…

ところで満作さん‥元気?」


…は!? なんでっウチのオトンの名を?!

苗は晴樹の質問に不安感を募らせる。

「‥元気‥ですが‥
ウチの満作に何かご用でしょうか?」


…父ちゃんまたなんかしでかしたんじゃ!??

慌てる自分を落ち着けながら苗は丁寧に聞き返した。


「ぶ‥‥いや‥元気ならいいんだ‥プクッ」


「………」

……──なんだか気になる言い方するな、この人‥


苗の困惑顔をよそに、笑顔の晴樹を見て周りの女子はボソボソと呟いていた。



「ねぇ、苗の知り合い?」

「そうかも、だってわざわざこっちの教室まで来るんだから‥」


「でも、さっきの取り巻きのお嬢軍団はどうしたんだろ?」

回りの女子はあれこれと想像を巡らせる。

お嬢軍団は苗の所に来るために晴樹自身が自分で追い払っていた…


「いつも、弁当食べてるの?」


  ・
苗達の弁当を見て聞いてくる晴樹に苗はうん、と答える


「あ、そうだっ!

兄さん、この子由美って言うの、合コンは用があって行けなかったんだけど」

苗の紹介で晴樹は由美に目を向けて微笑む‥


「そ、じゃあこれからよろしく。俺は結城…」

「この人が噂のパスタの兄さんだよ!」



へ!?…パスタの兄さん?


真っ赤に硬直している由美に晴樹が自己紹介をしようとしたら苗に先を超されてしまった。


… 俺は、どうあがいても“兄さん”から離脱できないのか?

晴樹は咳払いをした。

「じ、じゃあ……あんまりランチタイムを邪魔しちゃ悪いから……この辺でパスタ兄さんは退散するよ」


晴樹達は席を立つ。そしてドアの前にくると再び周りがざわつきような事を口にした。


「明日は二人ともここの学食ご馳走するから弁当は持ってこなくていいよ!」


その言葉に周りの女子が囁きながら苗達を羨望の眼差しで見つめる。

そして、ドアの近くで固まっている中島に晴樹は気付いた。


  ・
「中ちゃん……だったよね?君もこのクラスだったんだ?」


晴樹はそれだけ声をかけると群がる女豹を掻き分けて立ち去っていった。


「ご馳走…っ…由美聞いた!?お昼ご馳走してくれるってっ…て、あれ?由美だいじょび?」


ご馳走で喜んだ苗は、放心状態の由美の赤ら顔の前をひらひらと手で扇ぐ。


「ねえ、なえ‥ちん‥//‥王子様って‥‥ホントに居たんだね‥//」


「んぁ? なにが!?」


「ねぇ!あの人でしょ!?
結城先輩って‥!


…あたし…絶対頑張るっ」


由美は瞳をキラキラさせて夢追い人のように遠くを見つめ続けた…



そして、ここにも一人‥



… 晴樹さんからわざわざ会いにくるなんて……っ

あたし一人では、お嬢軍団を押し退けることはできないから今朝、挨拶するだけでも苦労したのにっ……


「……っ!…」

中島の頭の中でそろばんが弾かれる。


… 苗に取り入った方が絶対に近道だわ!!


中島は策が決まると苗の側に来た。

「ねえ苗、お兄ぃも居ることだし……あたしも明日お昼一緒にイイ?」


「いいんじゃない?別に」

苗は勝手に承諾する。そして、そんな中島の企みに気づいた由美は中島にキッと視線を向けた。


由美に気付いた中島も目を向ける。そんな二人の間でバチバチッと高熱線が激しくぶつかり合い、戦いの火花を散らしていた‥

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