ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

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3章 ランチ

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そして、明くる日──




約束通り、周りの女子の羨望の眼差しを全身に浴びつつ苗達は晴樹に連れられ学食に来ていた。

店内は学食と言うよりも、なんだか高級感漂うカフェテリアのような作りでテーブルに置かれた小さなドリンクメニューを見て苗は驚愕している…




*アメリカン  700円
*ブレンド      700円
*カフェオレ  900円
*エスプレッソ  1200円



…なにっ!?
たかがコーヒーにこんなに金払うんか!?


苗はムッとしていた。


学食の席につき晴樹は苗達にメニューを見せて好きな物を頼めと言った…

ここは学食といっても普通高校にある学食とは明らかに違い、某有名レストランと同じメニューが一律千円で食する事が出来る…

苗はメニューを見てから晴樹に言った‥

「カタカナが多くて意味わかんないょ
兄さんのお勧めでお願いします!」

「‥‥わかった」


晴樹はとりあえず、苗の好みを大まかに聞いて料理を注文した‥


苗は、その間も学食の雰囲気を眺めながら口々に意見をいい表情をコロコロと変える‥

そんな苗を見て晴樹は

… 飽きない‥‥‥

そう思っていた。




店内を一通り見回すと、テーブルのメニューを手に取り何やら苗はプルプルと震えだしている。



青筋の立ち始めた苗に晴樹は声をかけた。

「どうした苗?  コーヒーは食後でもいいだろ?」


当然、晴樹は最初から食後のコーヒーもご馳走するつもりでいたから、苗にそういうと‥


「こんな高いコーヒーはいらなぃ!水で十分!!」


‥晴樹は何故か怒られた


「大丈夫だよ…
ドリンクチケットがあるから、全部半額以下で飲めるし‥好きなもの頼みな」


「えっそうなの!?」



そういうと、苗は一番高いエスプレッソを頼んだ‥



そして、運ばれてきた料理を一口食し、苗はグッ!と親指を立てて無言で晴樹にサインを送ってくる‥‥

仕方がないので同じサインを晴樹も送ってやった──


食事が済むとすかさず食後のコーヒーが運ばれてくる。

ここは学食といってもちゃんとウェイターがいて普通のレストランと変わらない…

結城が経営しているレストラン関係に配属される前に接客係りの者は皆、研修がてらこの学食で学ぶことになっている‥

したがって、客は例え学園の生徒でも丁寧な応対ができなければならなかった………


そして、目の前に出されたエスプレッソのカップに苗はまた、驚愕していた



「うわっ、ちっちゃっ!?…」

苗はエスプレッソを初めて見たようだった‥‥

ちぃ~さな カップを手にとり眺め‥呟く…

「コレが1200円‥‥‥」

苗は一口で飲み干した瞬間、えもいわれぬ渋い表情を決め込んだ


……ぐあっ!大人の味やっ


「‥ぷっ」


逐一、苗の表情を観察していた晴樹のツボにハマった‥


苦味が残るのか、苗は飲み干した後もラクダのように口を動かす


そんな苗に、晴樹は追加でカフェオレを頼んでやった‥

苗は運ばれてきたカフェオレを口にし、幸せそうな顔で満足している。



「落ち着いた?」

晴樹は声をかけた‥‥




… いいなぁ‥苗‥


苗と晴樹のやり取りを見て中島は思った‥
晴樹はいやに苗に構う‥

…いつの間にか“苗”って呼び捨てだし…

そんな苗が中島は羨ましかった‥‥‥

あの合コンの日以来どうやら苗は晴樹のお気に入りになったようだった‥‥

隣にいる由美も緊張していてあまり話していない…


…晴樹サンは苗の何を気に入ったんだろ?
家族構成?満作父さん?‥

ただ、単純に晴樹サンが苗のキャラを気に入ったのであれば真似しようがない…


… あたしも個性的にならなきゃ!



「ねぇ由美、おいしかったねぇ!
学生の身分でこんな美味しい料理食べちゃったら舌が肥えちゃうょ」


苗はご機嫌に口数少ない由美に語りかけた


「ぅん‥‥‥///
あたし‥‥‥緊張して味がわからなかった‥‥」


「えぇ、もったいない!!

こんなに美味しいのに味わからないって!!?


‥で、何を緊張したの?」


… なえちんには、わからないよ


由美はこんなに格好いい人の前で言いたい放題言える苗をすごいと思った‥


そして、苗のすごさはまた思わぬところで発揮される



「そぅいえば‥
さっきの前菜で出たパスタ‥あの時のパスタと同じ味だった‥‥」


「へえ…さすが、
わかった?ここのシェフは元々あのレストランにいた人なんだ。
向こうを引退してからここの料理長をやってもらってる。だから、あのパスタはここが元祖。向こうは一番弟子の人がまかなってるからね!」


「‥へぇ…どうりで‥

由美は行きたくても行けなかったもんね…
スッゴい、美味しかったんだよ!
あたしっバイト代貯めてまた、絶対行くっ!」


そして、力説する苗に晴樹は思わず言ってしまった。


  
「わざわざバイト代貯めなくても、あのレストランならいつでもご馳走してあげるよ」

その言葉に晴樹を見る苗の瞳が爛々と輝きを放った。

「兄さんっ…ああ、あなたはなんて素敵な人なんだっ!でっ、いつ連れてってくれる?ねぇねぇ!いつ?」


「…っ…あ…と……」

苗の勢いに晴樹はたじろいでいた。

半分、社交辞令のつもりだったんだけど‥
まぁ、いいか…ウチの店を誉めてくれてるし……

晴樹は苦笑いを微かに浮かべる。

「苗はいつがいい? 」

「あたし的には今度の日曜がバイト休みなんだけど」

「じゃあ今度の日曜のお昼にしようか。夜はディナーの予約客でいっぱいになるから…」


遠慮のない苗に笑いながら軽く答える晴樹に中島も由美もあんぐりと口を開けている。

… うそ
苗ったらすごい…簡単に晴樹さんとデートの約束まで漕ぎつけちゃった!?


二人は唖然とした。

「やった!!
ホントにいいの?
マジでお昼“ご馳走”になっても」


苗はあくまでも、奢りでしょ?と念を押すように口にする。


「ああ、もちろん“ご馳走”するから」

そして晴樹もご馳走を強調していた。
そして、更に天然の図々しさに拍車をかけた。


「由美!よかったね、兄さんのお勧めパスタが食べられるんだよ」

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