ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

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7章 スポーツ大会

3

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「ここかなぁ~~…
兄さんっ!」


掛け声と同時に隣の隣‥の仕切りのカーテンがシャッと勢い良く開く音がする…

「あら、居ない
‥‥‥こっちかな?」



晴樹の隣のベッドに近づく気配がする‥



「‥‥──
苗っ!‥‥こっちだ‥‥」


見かねた晴樹は仕方なく自分から声を掛けた。



――シャー!‥‥


「なんだ、ここかぁ」


カーテンを開けて晴樹を確認すると苗はホッと息をつく


「なんの用だ?‥
言っとくけどノートは諦めてくれよ。なんだかスゲー調子悪いから…」


「‥ぅん、‥‥すごく悪い?」


苗は心配そうな顔で覗き込む‥

「あぁ‥吐き気がする…」

晴樹はそう言うと苗に背中を向けて布団をすっぽり被った

「吐き気!?」

「あぁ‥‥だからちょっと寝かせて‥‥‥」


吐き気がする上に胸は痛みを増してくる‥‥

‥ヤバい‥‥なんだかイライラしてきた‥‥‥
頼むから早くどっか行ってくれっ!
このままじゃ八つ当たりしちまう!!



晴樹は苗と言葉を交わす度に苛立ちが募っていた…




「じゃあ‥‥‥
‥‥食欲もなぃ?」


「──!っ…
あるわけないだろ!!?
吐き気がするってのに!!」


ついに晴樹は苛立ちを抑えきれず、ガバッと起きあがり苗を怒鳴りつけてしまった


「‥重症みたいだね‥‥」


晴樹は苛立つままに苗を睨みつける。ただ、その程度で怯まない苗は保健の中をうろうろしはじめた。


「気分悪いなら尚更だよ。‥あ、あった!‥いいかな?勝手に使っても?」


何やら独り言をいいながら晴樹のベッドに近づくと、苗は体温計を差し出した。

「何だよこれ‥」

「‥これ?‥これは‥

説明しよう!
これは体温計と言って人の体温を計るっ‥」

「それは知ってる‥」

「じゃあ、聞くことないじゃんっ」

「俺は熱はない!‥頼むから寝かせてくれよ!!」


‥マジでイライラする!!


神経を逆撫でする苗の行動に晴樹の口調もだんだんと強くなってきた

だが、そんな晴樹相手でも苗は至ってマイペース‥‥

「一緒にお弁当食べよっ‥
兄さんにも作ってきたんだょ~ん」

「だからっ食いたくないって言ってるっ‥‥

──……っ



‥‥つ、作ってきた?…」


「うん、ほらっ
豪華見参!! ちょっとでもいいから食べて、で熱あったら薬飲まなきゃだょ!」



苗は晴樹の前に、ベッド用のテーブルを取り付けると小さめの三段重ねのお重箱をパカパカッと広げて並べた


「…これ‥‥全部作ったのか?」


晴樹は弁当を眺め聞いた


「もちろん、早起きしたんだよ!
ほらっ!兄さんの大好きな玉子焼きも二種類作ったんだよっ
甘めのだし巻きと塩味!!」


苗は晴樹に説明しながら箸を差し出し、自分もベッドの傍に腰掛けた


晴樹は呆然としたまま箸を動かさない‥

「あれ?玉子焼き好きじゃなかった!?
大ちゃんのを盗むくらいだから大好物だと思ったんだけど‥‥」


「いゃ‥‥‥
これ、全部大好物…

あったんだ‥
俺の分も‥‥///‥」


‥なんだ‥‥‥あったんだ‥‥


晴樹の苛立ちはいつの間にか消え、痛かった胸は違う疼きにかわっていく


何だか胸がきゅぅっと締め付けられ鼓動が早まる。



‥なんかすげー苦しい‥

///‥


顔が微妙に熱を持つ。晴樹は隣で弁当を頬張る苗を見つめていた…


「?‥食べないの?
やっぱり食欲ない?」

箸を握ったまま自分を見ている晴樹に気づき苗は言った

「いゃ‥‥食べるよ‥」


晴樹は玉子焼きに手を伸ばした。
‥だが、玉子焼きが上手く掴めない



晴樹の手は微かに震えていた…

「寒気がする!?
やっぱり風邪だねぇ‥」


苗は薬棚を物色し風邪薬を探し出す。

「ちょっとでもいいから食べたら薬飲も!ね。
はぃあ~ん…」


苗はそう言うと晴樹が食べ損ねた玉子焼きを晴樹の口に運ぶ


「‥‥‥パクッ‥///…」


「はい。じゃ、薬のんで」

大人しく玉子焼きを食べた晴樹を確認し苗は薬を差し出した‥
でも、晴樹は薬を受け取らず何か呟いている…

「‥‥‥たい‥」

「ん?なに?」

「もう少し食べたい!」

晴樹は上目使いで苗を見た


「‥‥‥食欲沸いた?‥
あそ、じゃあ食べよ!
食べた方が元気になるから」

苗は晴樹の口にどんどん弁当を運ぶ‥

「ちょっ、苗。
もう少しゆっくり頼む‥」

弁当を口に詰め込みすぎて晴樹はむせ掛けていた💧
そして、苗の入れてくれた水筒のお茶を飲み一息つくとポツリと呟く

「苗‥さっきはごめんな…ちょっとイライラしてたから…」

申し訳なさそうに詫びる晴樹に苗は言った

「?‥‥あぁ、気にしない気にしない!!
体調悪かったら誰だってあんななるんだから!
ウチの弟なんか三人いっぺんにだからもっと大変だょ!!」




苗は口をモグモクと動かし我が家の愚痴を語り続ける。

「ぐずるし我が儘いうし、甘えるしさぁ‥それに比べたら兄さんなんて可愛いもんだよ!!」


──……俺は小学生の三つ子とおんなじ扱いされてたわけか!?


そぅ‥苗は弟達のお陰で気分屋の男の扱いには慣れていた。
従って晴樹の今までの行動言動は何ひとつ気にしちゃいない‥

というか…聞いちゃいなかった──
これが、ちまたで今話題の“鈍感力” ってぇやつである‥


晴樹は弁当をつつき自分の口と交互にオカズを運ぶ苗を見つめる


苗は自分の口にちっこい
ミートボールを運び晴樹にはエビフライを差し出していた


「苗…」

「ん、なに?」


「そっちの方が旨そっ‥」

晴樹は言うなり苗の首に手を回しグィッと引き寄せた──




「──!っ‥ンフ‥‥!!

‥ムグッ‥‥ぅ‥」




クチュリと何かが絡み合う…



‥ゆっくりと唇を苗の口から離す。吐き出されたお互いの吐息がまざり合い、生温かい空気を肌で感じる。

晴樹は苗の唇にはみだしたソースをペロッと舐めた‥



「やっぱり、こっちのが旨い‥」


晴樹はそういいながら熱をもつ瞳で苗を見つめてくる‥‥

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