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9章 嫉妬
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しおりを挟む「来週から夏休み前の期末テストに入るから、暇っちゅー暇は……」
「…そ、そうだよなっ…あー、…んじゃ、いいゎ…また今度に…スル…」
シュンとする夏目を見て苗は言った
「え? 何!? なんかあるんじゃないの?
お得な情報なら聞くだけきくよ!!」
苗に言われて夏目は映画の券を差し出す…
「‥!!…[Mr.ビーン]の映画の招待チケじゃん!! どうしたのコレ!?」
苗は興奮して夏目にきいた
「‥ウチの親父の会社がスポンサーでさ‥手に入ったんだけど、お前好きそうだなって思って…」
その言葉に苗はうんうんと激しく頷くと好き好き!! を大きな声で連発する。
そして、その単語は二階にいる晴樹にはっきりと聞こえてきていた…
――!?…な、に‥好き好き言ってんだ苗のヤツ!?
二人の様子を喰いいるように見つめていた晴樹の手に力が入る‥‥
そしてまた、あの時の痛みが晴樹を襲った
――!ッ ‥ 痛ッテェー…
ッ何だ?‥なんだよコレ!?
晴樹はジリジリと焼き付くような胸の痛みに顔をしかめる…
なんでこんなに胸を突くのか原因が解らない
ただ、二人が何を話ているのかが無償に気になって仕方がなかった…
……………………………………………
「でも、そのチケットは当日しか使えないから…もしよかったらっ」
夏目は合間にハァッと深呼吸を入れる。
「その映画の公開日にっ“二人っきり”で観に行くかっ!?」
…よしっ、言ったぞ!
夏目は気合いを入れ、デートだ!ということを強調して言った
そして、苗の返事にショックを受ける…
「え〰ダメだょっそんなの!! 何言ってんのさっ!?」
‥えぇ!? ダメ!?
|||…嘘…だろ?…あっさり断られた……
ショックで青ざめ血の気が引いていく――
まるでめまいのような虚脱感に夏目は襲われていた…
さっきまでバクバクいってた心臓が今度はズキッと痛む…
そしてまた、苗の一言でウキウキ踊り出すのだった。
「だって招待ってことは‥タダでしょ!?
この日に行かなきゃもったいないょ!
午後からでもいい!?
バイト昼から5時までなんだよね!!」
――え…この日の…午後?
苗のまくしたてる言葉を夏目は頭で必死に整理する…
「あーやっぱ…
午後はだめかぁ…じゃあもしよかったらそのチケット貰える? あたし一人でも観にっ…」
「全っっ然‥OK!!
苗っ!! 今度の土曜の午後に“二人っきり”で観に行こう!!」
……………………………………………
映画さえ観れればいい! みたいな言い方をする苗の言葉を遮るように夏目はデートの約束を取り付けた
そして、苗の大好きな言葉で誘惑する…
「夕食は俺、奢るから!! 小遣いの範囲でしかご馳走出来ないけど…それでもいいか?」
苗はその言葉に目を輝かせ夏目の手を突然きゅっと握りしめた
…!っ苗の手ッ…//…スゲー気持ちいい…
苗の小さな柔らかい手に包み込まれ、夏目の心臓は速撃ちマックなみに鼓動を打ち鳴らす
そして浮かれ顔の夏目を睨みつける険しい顔の晴樹がいた。
―――っ…な、に…手なんか握ってんだよ!?
夏目を恨むに恨めない…そう、晴樹はしっかりと見ていた。苗の方から夏目の手を取り握ったことを…
そして今も尚、手をにぎにぎしながらキラキラとした瞳で夏目を一生懸命見つめ、何か言っている姿が嫌でも目に映る。
目を反らしたくてもそらせない…
嬉しそうに夏目を見つめる苗を見ていると、晴樹は胸が苦しくてしょうがなかった。
そんな晴樹に苗は更に追い討ちをかける行動をとってしまった…
……………………………………………
「大ちゃん!! ちょー嬉しいっありがとう!! よしっ、俺からのハグだ! 受けとれ〰〰」
「え!? な、ちょっ――…ウソ!? マジッ!?…っ…」
いきなりの大胆なハグに夏目は真っ赤になって狼狽える。そして晴樹はその光景に唖然としていた
…っ…あのバカっ何やってんだ!?
そして苗に向けられたその苛立ちは怒りとなって直ぐに夏目に注がれた
夏目はハグしてくる苗に戸惑いながらも、やり場のない両腕をゆっくりと苗の背中に回す。そしてギュッと抱きしめ首筋に顔を埋めた
‥苗っ!! めちゃ気持ちいっ──最っ高!!
柔らかな抱き心地。苗の汗の香りにクラクラしながら夏目は苗にバレないように半勃ちの腰を引き気味で苗をぎゅうぎゅう抱きしめた
そして、夏目のその行動に晴樹は怒りを抑えきれなかった――
ガタガタガタッッ!!――
騒がしい騒音と女子の悲鳴が2年の校舎から響く――
険しい表情のまま椅子を抱え上げた晴樹を直哉が後ろから羽交い締めにして止めていた
「何する気ですか晴樹サン!?」
「っるさい!! てめぇ誰が止めろっつった!? いいから放せ!!」
晴樹は恐ろしいほどの剣幕で直哉に食ってかかる
‥ヤバいっ! 晴樹さんめちゃめちゃキレてるっ…
………………………………………………
晴樹の異常なキレ方に直哉は焦った
‥恐いけど今、手を放したら何しでかすかっ…
「晴樹サンが二階の窓から椅子なんか放り投げたら理事長の立場がなくなっちゃいますよ!!」
恐ろしい晴樹の睨みと目を合わせないように直哉は顔を背けながら叫ぶ
「――クソッ…」
ガシャンッ!!――
直哉の言葉に晴樹は一瞬、躊躇し捨てゼリフを吐くと持っていた椅子を投げ捨てて教室から出て行った
「‥‥‥‥はぁーッ!
びびったぁ‥‥‥あの人
めちゃめちゃ恐ェ〰〰…」
「‥健在だな、昔の迫力は‥‥‥お前よく止められたな…俺、感心するよ‥‥」
傍観者の一人がホッとしてへばり込んだ直哉を讃えながら立たせる
「ヤバい…腰抜けそう…」
直哉はボヤいた‥
‥なんなんだ?晴樹さん
何となく田中さんに惚れてるように見えるんだけど…だとしたら、あの1年坊…半殺しにあうぞ……
窓から晴樹が覗いていた場所を見ると苗達はもういない。直哉は声をかけても一向に返事をしない晴樹を見て夏目に妬いているのでは? そう思ったのだ
教えといてやるか? 晴樹サンの恐ろしさを…こんな事はなるべく避けたい……
直哉はそう考えていた…
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