ありのままのキミに夢中 ~イケメンはずんどうぽっちゃりに恋をする!~

中村 心響

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9章 嫉妬

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──バンッ!

室内の扉が弾かれる様に開いた。


「……どうした晴樹…いくら身内でも理事長室に入る時はノックくらいちゃんとするもんだぞ…」


来客用のソファに乱暴に腰掛ける晴樹に老紳士は呆れながら話し掛けた。


「……お爺…やっぱ無理だ。俺、ここの理事長なんかなれねえっ」


晴樹はぶっきらぼうに言った。


「フッ…険しい顔して何を言い出すかと思えば…お前がわしの跡を継ぐのはまだ先の話しだろう? なんだかんだ言って今回も二ノ宮の生徒と親睦会や学校行事だって、周りの生徒を引っ張っていろいろやってくれたらしいじゃないか? 何があったんだいったい?」


お爺こと結城学園理事長。結城 茂樹は晴樹に自分の跡を継がせるためにいろいろと模索をしていた。



「俺、やっぱり短気だから理事長なんて向かない…」

「だからなんだ?」

晴樹の答えにお爺は平然として言う

「だからなんだ…って言われてもっ…」


深いため息をついて黙りこんだ晴樹にお爺は言い聞かせる

「晴樹…お前が短気なのは血筋だ。お前が短気ならお前の父親の智晴(ともはる)も短気だ…そして、もちろんその親のわしもな……」

……………………………………………

「上の兄さん達に比べ、お前が一番……結城の血を濃く受け継いでると、わしも智晴も思ってる。

本当は智晴はお前に会社のトップを継がせたかったんだ。上の兄さん達では大人し過ぎるからな…

会社は安泰かもしれないが、それではいずれ先細りの経営になってしまう…少々、破天荒くらいのほうが面白みがあるし失敗もあるが新しい道も拓けるもんだ…

結城グループも今や経済界の怪物と言われるまでになってしまった……
だからこそ、しっかり統率のとれる者が上に立ち眼を光らせて置かなければ、これだけの大企業が崩れたらどうなると思う?」


「ああ、…悲惨なことになるな。失業者が溢れ出す」

晴樹はお爺の問いに手をプラプラさせて適当に応えた


「そうだ…大企業だからこそ責任は多大なものになる。関係無いでは済まされないんだ……ところで、晴樹」


「あ?」


「聞く所によるとお前が昔引っ張って回ってた、なんちゃらってグループが手に追えないくらい騒ぎ回ってるらしいじゃないか…」


…っ…なんで知ってるんだっ?


「少年課の知り合いから聞いてな…」

……………………………………………

「お前がまとめてた頃は統率が取れてたから、うすらバカなやんちゃは居たが今は本気バカなやんちゃをしやがる。とても少年課の域で処理が出来ないと、な…

一度トップに就くと辞めたってずっとついて回るんだぞ…大人の社会だってそうだ。そのグループもデカくしたのはお前だろう?

終らすなら終らす。面倒見るなら見るできっちり落とし前くらいはつけて来い。

学園のことはまだ考えるな…わしも元気なうちはなるべく表に出たいからな。なんせ、こんな身近でピッチピチのあんよが見れるんじゃからっ…ウホっ」


…っ…あんた、理事長のくせに…


お爺は語るだけ語ると晴樹に呆れる顔を無視してクルッと背を向けた。そしておもむろに鼻の下を伸ばして双眼鏡で窓の外を眺め始める。


「……案外、理事長の椅子も捨てがたい…晴樹、お前はのんびり学生生活をエンジョイすればいい……おっ晴樹! あそこを覗いて見ろ」


お爺は晴樹を手招きして双眼鏡を覗かせた。

「わしのもろタイプだ!」

そう言ったお爺の指示する方を覗くと双眼鏡に映ったのは…

……っ…苗!?


だった…

そして、お爺は何かを読み上げたように説明した。

………………………………………………

「田中 苗 1年N―B組。両親と両祖父母、少3の三つ子の弟と10人家族。今年の秋には女の子が誕生の予定……」


お爺はどんなもんだ! と余裕の笑みを浮かべ晴樹にほくそ笑んだ。


「やっぱり血は争えんな…くびれなんぞどこふく風……凹凸のないボディラインに色白だんごっ鼻。
まさしく、昭和初期の女性代表と言ってもよいくらい日本人女性の基本の体型じゃ…

あーゆう娘っ子は風呂上がりに浴衣が似合うぞ…
わしがあと二十年若かったらアタックするんだがっ…」


いや…70のあんたが20若くなっても結局は50代だから……


口惜しそうに語るお爺に晴樹は心の中でツッコんだ


「だが…まー仕方がない。今回は可愛い孫に譲るとしよう…」


「は?」


間抜けな表情の晴樹にお爺はニヤニヤしながら言った

「血は争えんと言ったはず!! わしのもろタイプということは、お前の想い人…当たりだろ? ちなみに、智晴も苗ちゃんがタイプだと言っておった!!」


……!? なんで二人して苗を知ってんだ?


「…あ、いや…っ…学園に入る前の履歴書を智晴と一緒に見てな…ふほっ」


晴樹の冷たい目線にお爺はバツが悪そうに笑いながら白状した…

……………………………………………

‥こんなやつらが経済界のトップに立ってるなんて知ったら絶対に世間はパニクるな……

「苗は……妹みたいなもんだよ…」


晴樹は苗を双眼鏡で覗きながら呟く


…っ…おいおいっ、そんな激しく踊ったらパンツ見えちまうだろ!?ったく…

苗は体操着から制服に着替え、数人のクラスメートと校庭で食後のブートキャンプを踊っている。


苗の動きにハラハラしているそんな晴樹にお爺はカマをかけた‥


「ほう~‥じゃあ妹を溺愛してるってことになるのか‥‥ん?」

「溺愛って別にっ…」


「では溺愛じゃなくて何という? 彼女でもないのに制服を買い与え、食事をご馳走し、果ては身を粉にしスポーツで手に入れた戦利品を譲渡して家まで送って行く……生物学で言えばまさしくオスの立派な求愛行動だと思うがな…」


「――…! っ信じらんねえっ!? なんでそんなことまでっ…」


なんでもお見通し。とでも言うようにお爺は得意気に言ってのけて含み笑いを零した。

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