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9章 嫉妬
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しおりを挟むもめてる!?…
晴樹は鬼警部、高松からの情報を気にしながら貴志に連絡してみた…
鬼頭 貴志―――
今や全国に勢力を伸ばし、向かう所、敵無しの極道
鬼頭組の総代
鬼頭 辰治 (キトウ タツジ)
を叔父に持ちその跡目とも言われている。
実の父は辰治の兄で実際の鬼頭組の後継ぎだった…
だが極道が肌に合わず街の外れで小さな花屋を営んでいる。
弟の辰治とは正反対の性格だった。
覚醒遺伝かどうかはわからないが、息子の貴志は女のような綺麗な顔をしながらも実の父より弟の辰治に似て気性が荒い…
貴志は早くに家を飛び出して、父親が昔飛び出した鬼頭家に帰ってしまったのだ。
貴志の父は言う
『今なら父さんの気持ちが解るっ…』
話もろくにせず息子に家を出ていかれる辛さを自分がその身になって初めて理解したのだった
先代の代表…貴志の祖父が亡くなる数日前に心を交わし、初めて親子のわだかまりが消えたのだった。
《親孝行、したい時に 親はなし》
‥‥とはよく言ったものだ
貴志は手を取り号泣する大の男二人を見てから実の親ともマメにコンタクトを取るようになった…
『親孝行ってのは出来る内にするもんなんだな!』
……………………………………………
改心した貴志がよく言う言葉だった‥
ただ、たまぁ~にとてつもなく冷酷になる時がある
綺麗な顔で冷たい微笑を浮かべる貴志は案外、Mっ気のあるチームの奴らの密かに憧れの的だった
晴樹とつるんでいた頃は、絶世の美男美女コンビと言われよそのチームやレディースにも隠れファンがいた程だ。
ある者は特攻服に
《晴樹命貴志愛》等と刺繍しチームから袋叩きにあったのもいた…
パカッ―
ピッ‥ピッ‥‥
プッ―「…おう」
「あ、モシモシ貴志? 俺だけど…」
「ああ? 誰だけど!?」
「‥は、晴樹だけど…」
「ぷ…んなん、名乗らなくても着信見りゃすぐわかる!」
「…っじゃあ、ややこしい返し方すんじゃねぇ!!ボケ!」
とにっコイツはっ…
「ハハ! キレんなよっ
久しぶりじゃん、どうしたよ?
学生生活は楽しいか?ん?俺も入学すっかな~」
「それはやめてくれ…
それより、ちょっと頼みあんだけど…でもさっき高松サンに連絡したらお前んとこ、もめてるって聞いて…」
「あ~、気にすんな‥」
ジョー‥ジョボ
「‥いつもの」
ジョボ‥「こぜり合いだ」
「‥‥なんだ、そうか‥
ところでお前‥今、ドコにいる?」
「トイレだ‥」
…………………………………………
やっぱりっ…
「頼みってなんだ?」
「あぁ、実は―――」
晴樹は自分達の作ったチームの件を話した。
「‥‥なるほどね…
いいぜ、別に。どうせ暇だしな。やるんなら今の内だ! もう少ししたらデカイ抗争がおっぱじまるからな!」
「やっぱ、もめてんじゃねぇかっ」
「ああ? もめてねぇって! 計算の内だよ…フフン」
「余裕だな…」
「まあな!
それより学校すんだらウチに来いよ!
チームのこともあるし、
何より叔父貴が会いたがってる!!
[晴樹はまだ外国から帰ってこんのか!?]
ってうるさくてよ…
もう日本に居る、なんてゆーとうっとうしいから黙ってたんだぜ?」
「…未だに!?…っ…わかった…後で行くから…じゃあ辰治サンにもよろしくいってくれ」
「ああ、後でな!」
プッ―ッ―
‥フゥ―‥‥また、勝負すんのか? 辰治サンも負けず嫌いだな…
まあ、あとは貴志と話して段取りつけりゃいいか‥
晴樹はため息をついて携帯をポケットしまい教室に向かった。
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