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12章 死神降臨!
1
しおりを挟む車から降りた貴志達を取り囲み、その中の一人が口を開く‥
「やっとのご対面ってやつだな──
【月華乱舞】四代目の頭‥加藤だ…
ウチを負かしたテメェらと一度でいいからやってみたくてよぉ‥‥」
ギラギラとした目つきで貴志達を見据え語る加藤に
冷たい微笑で貴志は答えた‥‥‥
「フッ‥‥‥そんなに‥‥
ヤリたい、ヤリたい、言うなよ‥‥
興奮するじゃねぇか‥ぁ?」
腕を組み、しなやかな指先で唇をなぞると口元には意味深な笑みを浮かべ冷たい眼差しで加藤を舐めるように見据える‥
そんな貴志に月華のメンバーは皆、顔を赤らめていた。
「そんなにヤリたきゃ相手してやるぜ‥‥?ぁぁ?
‥‥どうした?かかって来ねぇのか?」
「‥‥ぅ///…〰クソッ」
肩までのワンレングスのロン毛をさらりとかき上げて急かす貴志を相手に、加藤はほんのり赤くなりながらたじろいでいた‥
‥噂で聞いちゃいたがマジで美人だ‥ほんとに男かよ!?…
「‥、も、もう一人のヤツはどうしたよ!?///
俺はそいつとやりてぇんだ!!」
…コイツの顔は何か殴るのに勇気が要りそうだっ
「あぁ!?
タイマン張りたいなら俺にしとけ!!
アイツは今、壊れてんだよ!!」
…………………………………………
バタンッ──!
突然、車のドアの締まる音に驚き貴志が振り返ると、車の屋根に寄りかかり不敵な笑みを浮かべながらこちらを見据える晴樹がいた‥
「俺とやりたいって?
どこのバカだよ?‥あ?」
晴樹はそういいながらゆっくりと歩き、貴志の前に立ちはだかり月華のメンバーに視線を流す…
そして加藤に焦点を絞った
「あぁ‥‥
お前か‥‥‥‥フンッ‥‥」
「──…っ!?」
頭から足先を眺め鼻で笑う晴樹に一瞬で加藤は腹を立てた。‥
ただ‥嫌味に笑うその表情も悔しいかな…すごく格好よかった──
‥絶世の美男美女コンビか…笑わせやがって〰〰っ
額に青筋を立てる加藤を晴樹はさらに煽り始めた‥
「お前‥すげぇ顔に
滲み出てるな‥‥
単細胞ぶりが‥‥‥‥」
「んだとっこのやろ!!」
決めた!コイツ絶対ボコる!!!
怒りに任せ揺るぎない決心を固める加藤を晴樹はあっさりコケ落とす‥‥
「フン!‥一筆書きで書いたような簡単なツラしやがって‥‥‥テメェの脳みそも簡単な作りしてんだろ!?
‥ところで、お前‥‥
眉毛、どこに落としてきたんだ?
ちゃんと、名前と住所貼っとかなきゃ誰も届けねぇぞ?」
…………………………………………
「よくみりゃ有り難くなる顔してんな?」
つけ加えた言葉はバカにしてるのか誉めてるのかもわからない。
月華のメンバー達も晴樹の言葉に密かにニヤついていた…
「〰〰っ///
てんめぇ〰〰っ…人が気にしてること全部いいやがって!!」
加藤は真っ赤になっていきりたつ!!
そぅ、加藤はお地蔵サンのような自分の顔立ちをとても気にしていた‥‥
今日だって、晴樹達と一戦交えるために気合いを入れ、少しでもこの穏やかな顔立ちが渋くなればと眉毛を爪楊枝のように剃り込んだのが間違いだった‥‥
見事に手元は狂い加藤の顔に残るは眉三分の二を取り去った眉頭のみ‥‥‥
加藤の眉は見事な麿(まろ)眉‥‥平安の人になっていたのだ‥‥‥
仕方なしに加藤は眉を書いたのだが、哀しいかな‥
真夏の日本は湿地帯‥‥‥書いた眉毛は消えてどこかに行ってしまっていた──
そして、今‥
晴樹の前に立ちはだかるは
威喝(いかつ)いバイクに股がり、片方は爪楊枝眉ともう片方は麿眉の‥
切ない表情をしたお地蔵サンだったのだ‥
…………………………………………
怒りでプルプル震える加藤の顔の両脇では立派に垂れ下がった福耳が一緒に震えている‥‥‥
‥しまった‥マジでバチが当たりそうだな…っ
晴樹は一瞬思った。
だが、気を取り直して言った‥‥
「お地蔵サンの頼みを断ると祟られるかもしれねぇからな‥」
「俺は地蔵じゃねぇっ!!」
「ハッ!どっちでもいい‥‥
俺も当たりどころが丁度欲しかったとこだ‥‥
テメェから売ってきた喧嘩だ‥‥‥心おきなくやらせてもらうぜ‥‥」
晴樹の言葉にお地蔵サン‥
いゃ、…加藤はバイクを降り腫れぼったい一重目で晴樹を見据えた‥‥
「敵を前にして寝るなんて余裕だな‥‥‥」
「寝てんじゃねぇっ〰
睨んでんだ!!
ちくしょ〰コノヤロ―!!」
‥晴樹の奴‥‥‥
完全に遊んでんな‥‥
まぁ、丁度いい‥
コイツに相手させて暴れさせれば晴樹も少しはウサが晴れるて落ち着くだろ?‥‥壊れたまんまじゃ俺も面倒くせぇしな…
もし、危なきゃ地蔵サンが仏サンになる前にアイツを止めりゃあいいしな‥
貴志は、黙って晴樹の自由にさせることにした‥
‥死神VSお地蔵サン‥‥かょ?今世紀、最大の見せ場だな…
デスナイツのメンバーはハラハラしながら二人を見守っていた‥
…………………………………………
「…っ…余裕こいてんのも今のウチだぜ!?あぁ!?
今日を逃したら次はもうねぇだろうからな‥‥
テメェらの伝説はこの俺が終らせてやらぁっ!!!」
――ザザッ――!!
「クッ‥なんだそれ?」
いきなり突っ込んできた加藤を晴樹はあっさりとかわし苦笑する
「〰〰ちっ
んなぁろぉ――!!!」
──ガキッ!
―ドカッ―!!
──バスッ―!!
お地蔵サンの攻撃は見事にかわされ、突っ込む度に晴樹から反撃を受けまくる!!
だが、お地蔵サンは打たれ強かった‥‥‥
‥なんだコイツ?まともに手応えあるのにちっともヨタつかねぇな?
「おりゃぁあぁぁ!!!」
晴樹の攻撃に怯む事なくお地蔵サンは奇声をあげながら突っ込んでくる!
「グァ──!……痛ッぅ
クソッ‥この地蔵野郎〰っ」
中腰に構え晴樹の腹部めがけ頭から突っ込んできた地蔵の攻撃をまともに受け、晴樹は一瞬息がつまり悶えた!
「ヘッ!わかってるとは思うがよぉ‥‥喧嘩ってのは自分が負けたって思ったら負けなんだよ‥‥‥」
腹を抱え蹲(うずくま)る
晴樹を見据え、地蔵は顔面に思いっきり蹴りを入れた!!
そして貴志達が息を飲む!!
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