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13章 キスマニア
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しおりを挟む晴樹は苗の口に熱い舌を押し入れアメをかばう苗の舌を絡めとる‥
かばわれたアメが晴樹の舌に触れても晴樹はソレを押し退け苗の舌を求め続けた──
アメが溶けきるまでの長いディープなキスに酔いが回る‥
乱れる呼吸もそのままに晴樹は苗の唇を貪り甘い唾液を味わう‥‥‥
――ナエッ!!
晴樹は堪らず苗の首筋に食い付くようにキスをし耳たぶを噛んでいた──
「──!?うっぁ
兄さん、アメはそこにないょ?!」
苗に言われて晴樹は再び苗の唇を塞ぐ‥
そして、小さくなった苗の口の中のアメを晴樹は意図も簡単に奪いとっていた──
‥‥はッ!!?
簡単に捕られてまったやないけ!?
呆然とする苗の口に晴樹はコロンとアメを戻しそして、苗の口の中でアメを転がす‥
苗の唇の脇からはみだした甘い唾液を舐めながらアメを奪ったり戻したり、晴樹は遊ぶようにその動作を繰り返した。
そして‥‥‥
最後の最後にアメを奪い小さくなったアメは晴樹の口の中で簡単に砕けて消えてしまった──
アメを守りきれなかったショックで放心状態の苗を晴樹は見つめ軽くキスをする。
そして晴樹は伝えてしまいたい思いを堪え苗を強く強く抱きしめた‥
…………………………………………
‥好きだとはっきり言えばいいだけのこと‥‥
ただ‥
それが晴樹には難しい‥
‘兄さん’としての俺を必要としても、男としての俺を‥コイツは必要とするだろうか──
声を聞くだけで浮かれる自分と‘電話は用があるからかける!’
なんてはっきり言ってくれる苗に晴樹は気持ちを伝える自信がない‥‥‥
夏目のことを聞いただけで顔を赤らめた苗と、今こうして激しいディープなキスをしてても晴樹からの援助のことしか頭にない苗の態度を晴樹はかなり気にしていた‥‥‥
晴樹は抱きしめた苗を解放するとソファから立ちあがる
「着替えてくる‥‥‥」
一言だけ呟くと洗面所に向かった──
‥アメ‥‥‥捕られちった‥
兄さんからの援助はもう望めない‥‥‥ワンモアチャンス…
ワンモアだから次はナッシング‥‥
当分は‥兄さんのくれたお中元で何とかしのいでいける‥‥‥
ちょっと‥割りのいいバイトさがさなきゃだょ‥‥‥
苗はソファで正座しこれからの生活を色々と考えていた
…………………………………………
―カチャ!
「もう、帰るぞ‥」
着替えを済ませ洗面所から出てきた晴樹は苗に声をかけ部屋を出た──
苗は重い腰を上げ、晴樹の後を着いていく‥‥
‥はぁ…
兄さんにはもう頼れない‥何とかしなきゃ‥‥‥
晴樹の後からエレベーター乗り込みながら、苗は肩を落としため息をついた。
黙ったままの晴樹を見上げては苗は何度もため息をこぼす
うつ向きながら肩を落として歩く姿は裸の大将そのものだった。
「大将、どこ行くんだ?」
いつの間にか晴樹とは違う方向に向かって歩く苗を晴樹は呼び止めた。
拗ねた表情で下唇を突き出し振り返った苗は今にも線路沿いに向かって逃げ出しそうなほどに大将だった──。
「おいで‥
腹減ったから何か食べて帰ろう‥‥‥」
車の助手席を開けて手招きする晴樹のもとへ、とぼとぼと戻り、大将…いや、苗は車に乗り込む‥‥
‥これが最後の晩餐になるんだ‥‥‥
普段なら嬉しい筈の食事の誘いも最後だと考えるだけで悲しい‥
車は賑やかな交差点を過ぎて駐車場に止まる‥‥
うつ向いたままの苗はどこに連れてこられたかわからなかった‥
…………………………………………
ある店の前に来ると
暖簾(のれん)をくぐれば、威勢のいい声が聞こえてくる
「らっしゃい!!
お、久しぶり!カウンター空いてるよ!」
「あぁ、ごめん。
ちょっと今日は個室にしとくよ
服装がラフ過ぎるからさ‥」
さすがに裸の大将ルックの苗をカウンターに座らせるわけにはいかない。
晴樹は暖簾越しに中の人にボソボソっと声をかけた‥
そして、店の人が晴樹達を個室へと案内する‥
店の中は酸味の聞いた匂いと檜の香りが、すがすがしく漂っていた。
掘りごたつのテーブルにつき晴樹は苗にメニューを見せた。
アワビ、大トロ、ボタン海老、踊り
様々な魚介名の下には値段らしきものが書いていない。
ここは銀座の一角にある隠れ家的、超高級寿司店。
種類の少ない、おしながきには常連さん専用のメニューが用意されているせいもあった‥
「載ってないのも頼めば出てくるよ‥わからなきゃお任せにしとくか?」
晴樹の助言に苗は頷いた。
頼んだ料理がどんどん運ばれてくるが、苗はあまり箸が進まない‥
「どうした?
寿司嫌いだったか?」
晴樹の問いかけに苗は首を振り、そしてシクシクと泣き始めた。
…………………………………………
「どうした、苗?‥」
「ぅぅ‥だって、
兄さんが苗を捨てるって言うだもぉ‥‥ぅぇっく‥」
「‥‥っ‥人聞き悪いことゆーなょ‥誰も捨てるなんて言ってねぇだろ!?」
「だって、最後の晩餐だからこんなに豪華なんでしょっ‥‥‥ぅぅ‥」
鼻をズビズビすすりながら泣く苗に、晴樹は頭を掻きながら困り果てていた‥
ただ‥ほんのちょっと嬉しい気もする‥‥‥
「なんで、最後なんだよ」
「ぅぅ‥‥だって、アメ捕られたもっ!ワンモアチャンスだったのにぃ‥‥グエッ‥ぅう‥
捨てないでぇ‥‥ぅぇ‥」
「‥‥‥っ!?‥//」
‥さっきの、本気にしてたのか?
それで、大人しかったのかよ?
「兄さん居なかったら苗は生きてけないょぅ‥ぅぅ‥‥」
「別に俺が居なくても生きて行けるだろ?」
少し意地悪を言う晴樹に苗はぐぇぐぇ泣きながら首を振って訴える
「ムリだょぉ‥‥ぅぅ‥
兄さん側にいてょぉ‥ぐぇ‥ぅぅ‥」
「///‥俺が居なくたって夏目がいるだろ‥‥」
料理をつつきながら晴樹は夏目の名前を出してちらっと苗を見た
「ぅぅ‥大ちゃんは違うもん‥‥」
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